AIブームが私たちのスマホやPCを高くしている理由
最近、パソコンやスマートフォン、ゲーミングPCの価格が急に高くなったと感じている人は少なくありません。
その背景には、世界規模で起きている深刻な「メモリチップ不足」があります。
この不足は一時的なものではなく、業界の専門家の間では、早くても2027年ごろまで続く可能性があると見られています。
つまり、値上がりは「しばらく続く現象」だということです。
原因はAIブーム
半導体の使い道が変わった
今回のメモリ不足の最大の原因は、生成AIや大規模なAIシステムの急速な普及です。
AIを動かすためのデータセンターでは、普通のパソコンやスマートフォンとは比べものにならないほど大量で高速なメモリが必要になります。
そのため、半導体メーカーは、
一般消費者向けのメモリ
よりも
AI向けの高性能メモリ
を優先して生産するようになりました。
結果として、私たちが使うパソコンやスマートフォン向けのメモリが不足し、価格が一気に跳ね上がっています。
メモリ価格はすでに異常水準
国際的な報道によると、主要なメモリメーカーは2024年秋以降、メモリチップの価格を最大で60パーセント引き上げています。
具体例として、32GBのDDR5メモリは、
149ドルだったものが
239ドルまで上昇しました。
これは企業向けの取引価格ですが、最終的には私たちが買う製品の価格にも反映されます。
メーカーの中には、「この不足は2028年ごろまで続く可能性がある」と投資家に説明しているところもあります。
価格高騰が最も分かりやすい国
バングラデシュの例
この影響がどれほど深刻かを示す例が、バングラデシュのPC市場です。
現地では、
10月に7,500タカだったRAMが
12月には最大30,000タカ
にまで跳ね上がりました。
SSDやCPUの価格も約40パーセント上昇し、その結果、パソコンの販売台数は約70パーセントも減少しています。
買いたくても、値段が高すぎて買えない人が急増しているのです。
スマートフォンも例外ではない
スマートフォン市場にも値上げの波が及んでいます。
OPPOはインドで、Reno 14シリーズの価格を最大11,000ルピー引き上げました。
最も基本的なモデルでも、発売時より約5,000ルピー高くなっています。
これは特定のメーカーだけの話ではなく、部品コストが上がった結果、どのメーカーも値上げせざるを得ない状況になっています。
安いスマホほど影響が大きい
調査会社の分析によると、
世界のスマートフォン価格は2026年に約7パーセント上昇する見通しです。
特に影響が大きいのは、200ドル未満の低価格スマートフォンです。
この価格帯では、部品コストが20から30パーセントも上昇しています。
一方で、高価格帯のスマートフォンでも、10から15パーセント程度のコスト増が続いています。
結果として、
価格は上がる
売れる台数は減る
という悪循環が起きています。
日本でもすでに起きている異変
日本でも、影響ははっきり見えています。
東京・秋葉原では、メモリ製品に購入制限を設ける店舗が出始めました。
ゲーマーに人気の32GB DDR5メモリは、
10月中旬 約17,000円
12月 47,000円超
と、わずか数か月で約3倍になっています。
これは「円安」や「便乗値上げ」だけでは説明できない、世界的な供給不足の結果です。
政治の動きが不足をさらに悪化
この問題をさらに深刻にしているのが、国際政治の影響です。
オランダ政府が、半導体メーカーNexperiaに対し、中国の親会社への製品輸出を禁止しました。
これに対し中国側も対抗措置を取り、製品の流れが止まっています。
半導体は今や、
経済
安全保障
産業競争
すべてに関わる重要な物資となっており、政治判断がそのまま価格に跳ね返る時代になっています。
なぜ生産を増やせないのか
需要があるなら、たくさん作ればいい。
そう思うのは自然ですが、半導体は簡単に増産できません。
新しい工場を建てるだけで、
2年以上
莫大な投資
が必要です。
さらに、AIブームがいつまで続くのか分からないため、メーカーは慎重になっています。
もしAI投資が落ち着いた後に需要が急減すれば、巨額投資が無駄になるからです。
このため、本格的に供給が改善するのは、早くても2027年以降と見られています。
私たちにとっての現実
今回のメモリ不足は、AIが便利になる一方で、そのコストを私たちが負担していることを意味します。
スマートフォン
パソコン
ゲーム用PC
これらは、今後もしばらく高いまま推移する可能性があります。
「いつもの感覚」で買い替える時代は終わり、
本当に必要か
今買うべきか
を考える必要がある状況に入っています。
ソース
ロイター通信
Counterpoint Research
CNBC
Daily Sun
KED Global
各国報道機関および業界関係者の発言

