上野賢一郎厚生労働相は3日の記者会見で、外国人による生活保護の利用状況を詳しく把握したうえで、制度の見直しを検討する考えを明らかにしました。
その中には、生活保護の利用対象を縮小する可能性も含まれるとしています。
ただし、現時点では具体的な見直し内容や実施時期は決まっていないとし、まずは現状を正確に把握することを優先する姿勢を示しました。
上野厚労相は記者団に対し、「まずは実態把握が重要で、そこにしっかり注力していきたい」と説明しました。
そのうえで、「適正な利用を確保するために、どのような対応が必要なのか、丁寧に検討を進めていく必要がある」と述べています。
今回の発言は、外国人の生活保護を一律に制限する方針を示したものではなく、制度の運用実態を踏まえた見直しの検討を始める段階であることが強調されています。
政府の「総合的対応策」を受けた動き
今回の厚労相の発言は、政府が1月23日に取りまとめた
「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」を受けたものです。
この対応策では、外国人の受け入れを進める一方で、社会制度の適正な運用を確保するため、生活保護制度の運用適正化が明記されました。
具体的には、自治体と国が連携し、生活保護を受給している外国人の在留資格をオンラインで確認できる仕組みを整備することが盛り込まれています。
さらに、総合的対応策では、
税金や社会保険料の納付状況を在留審査に活用することや、
生活保護の対象となる在留資格の範囲について見直しを検討することも示されています。
一方で、厚生労働省幹部は「外国人を切り捨てるような制度変更を行うものではない」と説明しており、
今回の見直し検討は、あくまで制度の公平性と持続性を確保するための対応であるとの立場を取っています。
外国人が生活保護を利用できる仕組み
日本の生活保護制度は、法律上は生活保護法の適用対象を日本国民に限定しています。
しかし、人道的な観点から、一定の在留資格を持つ外国人については、自治体の判断による「行政措置」として生活保護の利用が認められてきました。
対象となっているのは、主に
永住者
特別永住者
定住者
など、長期にわたって日本で生活基盤を持つ外国人です。
この運用については、2014年の最高裁判決でも、
「生活保護法の適用対象ではないが、行政措置として保護の対象となり得る」
と判断されており、現在の制度運用の法的根拠となっています。
外国人世帯の受給割合と運用実態
厚生労働省の統計によると、2023年度に生活保護を受給している世帯のうち、
世帯主が外国籍の世帯は約4万7千世帯でした。
これは、生活保護を受けている全世帯のうち、約2.9%に相当します。
割合としては少数派ではあるものの、制度の公平性を巡る議論が続いている背景には、この数字が注目されている側面があります。
なお、生活保護の審査基準は日本人世帯と外国人世帯で同一とされており、
外国人に対して特別な優遇措置が設けられているわけではないと説明されています。
今回の見直し検討は、こうした現状を踏まえ、
制度の趣旨に沿った適正な運用が行われているかを確認することが主な目的とされています。
今後の焦点は「実態把握」と制度のバランス
厚労相が強調しているとおり、現段階では具体的な制度変更が決まったわけではありません。
今後は、生活保護を利用する外国人の在留資格や生活実態、制度運用の実情を丁寧に検証したうえで、必要な対応が検討されることになります。
外国人労働者の受け入れが進む中で、
人道的配慮と制度の公平性をどう両立させるのかが、今後の大きな課題となります。
制度を支える国民負担への理解と、共生社会の在り方の両面から、
今回の見直し検討は、引き続き注目を集めそうです。
ソース
・47NEWS
・東京新聞
・産経新聞
・FNN
・神戸新聞
・各種政府発表資料

