マクマスター大学の研究者らが主導した大規模な分析により、ワクチン接種と小児の食物アレルギーとの間に、関連性は認められないことが明確に示されました。
一方で、湿疹の有無や食品の与え始める時期、幼少期の抗生物質使用などが、食物アレルギーの発症と強く関係していることが確認されています。
この研究は、2月9日に医学誌のJAMA Pediatricsに掲載されました。
世界各国で行われた190の研究、約280万人分のデータを統合し、食物アレルギーに関係すると考えられてきた342の要因について、科学的な確かさの度合いごとに整理しています。
食物アレルギーと最も強く結びついていた要因
研究で最も確実性が高いとされたのは、乳幼児期に湿疹などのアレルギー症状があることです。
あわせて、幼少期に喘鳴、つまりゼーゼーとした呼吸を経験すること、そしてピーナッツの摂取を始める時期が遅いことも、強い関連があるとされました。
また、母親や兄弟姉妹に食物アレルギーがある場合、子ども自身も食物アレルギーを発症しやすい傾向が見られました。
これは、生まれつきの体質と育つ環境の両方が影響している可能性を示しています。
特に重要なポイント 湿疹と食物アレルギーの関係
この研究で特に強調されているのが、湿疹と食物アレルギーの深い関係です。
これまでの研究では、湿疹のある乳児は、湿疹のない乳児と比べて、生後1年までに卵アレルギーを発症する可能性が約6倍、ピーナッツアレルギーを発症する可能性が約11倍高いことが示されています。
その背景として説明されているのが「二重抗原曝露仮説」です。
これは、皮膚のバリアが弱くなっている湿疹のある子どもでは、皮膚を通じて食品の成分に触れることで、体がそれを危険なものとして覚えてしまう可能性がある、という考え方です。
一方で、適切な時期に口から食品を摂取することは、体に「これは安全なものだ」と学習させる働きがあるとも考えられています。
抗生物質や出生時の状況など、注意が必要な要因
確実性はやや低いものの、無視できない要因として、次の点が挙げられました。
小児期後半に湿疹を発症すること、湿疹が重症であること、皮膚から水分が失われやすい状態、ピーナッツ以外の食品の導入を遅らせることなどです。
また、妊娠中に母親が抗生物質を使用した場合や、生後1年以内に乳児が抗生物質を使用した場合も、食物アレルギーとの関連が指摘されました。
ただし、これらは関係がある可能性を示すもので、直接の原因と断定できるものではありません。
帝王切開での出生や人種的要因についても触れられていますが、これらの確実性はさらに低いと評価されています。
ワクチン接種についての明確な結論
この研究で重要なのは、ワクチン接種が食物アレルギーのリスクを高めるという証拠は見つからなかったという点です。
膨大なデータを分析した結果でも、ワクチンと食物アレルギーを結びつける明確な関連性は認められませんでした。
研究の共著者は、「食物アレルギーを発症する子どもは全体として少数で、100人の赤ちゃんのうち5人未満です」と説明しています。
この数字は、多くの保護者が抱く不安を和らげる材料になると考えられます。
親ができることと、できないことを分けて考える
研究者らは、親が影響を与えられる行動と、そうでない要因を区別することが大切だとしています。
ピーナッツや卵の早期摂取などは、状況に応じて検討できる行動のひとつです。
一方で、遺伝的な体質や皮膚の状態、出生時の事情など、どれだけ注意しても避けられない要因が存在することも事実です。
必要な抗生物質の使用は、アレルギーへの不安よりも、感染症から守るという健康上の利益が大きい場合が多いと、研究者らは強調しています。
食物アレルギーは単一の原因では説明できない
今回の研究は、小児の食物アレルギーが、ひとつの原因だけで起こるものではないことを改めて示しました。
遺伝、皮膚の健康状態、腸内細菌を含むマイクロバイオーム、生活環境への曝露が複雑に影響し合っていると考えられています。
研究者らは、誤解や不安をあおる情報ではなく、科学的根拠に基づいた判断と情報共有が重要だと指摘しています。
ソース
JAMA Pediatrics
McMaster University
Canadian Broadcasting Corporation
PubMed

