去年5月、塩尻市の老人ホームで入所者の77歳の女性に薬物を飲ませて殺害したとして、40歳の元職員が殺人の疑いで逮捕されました。
逮捕されたのは、塩尻市の老人ホーム「ケアハウスえんれい」の元職員望月大輔容疑者(40)です。
警察によりますと、去年5月28日、勤務していた老人ホームの中で入所者の前田裕子さん(77)に薬物を飲ませて殺害したとして殺人の疑いが持たれています。
元職員は前田さんの介助を担当していて、事件当日は勤務日だったということです。
前田さんは、元職員が休みだった事件翌日の朝、老人ホームの中で死亡しているのが見つかり死因は薬物中毒と分かりました。
警察は何者かに薬物を飲まされ殺害された疑いがあるとみて捜査を進め、11日元職員を殺人の疑いで逮捕しました。
警察は、捜査に支障があるとして認否を明らかにしていません。
元職員は、亡くなった前田さんなど複数の入所者の通帳などを使って金融機関から現金を引き出した罪や、同僚に薬物入りの飲み物を飲ませて中毒症状にさせた傷害の罪で起訴されていて現在も裁判が続いています。
【逮捕された容疑者は】
11日殺人の疑いで逮捕された容疑者は入所者名義の印鑑と通帳を使って現金をだましとった罪や、同僚の職員に薬物入りの飲み物を飲ませて中毒症状にさせた傷害の罪などでこれまで4回にわたって起訴されています。
起訴状やこれまでの裁判によりますと、最初の起訴は去年7月。
入所者名義の通帳と印鑑を使って、金融機関から現金5万円をだましとった罪でした。
さらに去年8月、別の入所者名義の通帳と印鑑を使って金融機関から現金90万円をだまし取った罪で再び起訴されました。
そして去年10月、施設の同僚職員に薬物入りの飲み物を飲ませて中毒症状にさせた傷害の罪と、入所者名義の通帳を使って金融機関から現金7万円を引き出した罪で相次いで起訴されました。
このうち、4回目に起訴された事件で使われた通帳が、殺害された疑いのある前田裕子さんの名義でした。
これまでの裁判で検察側は、前田さんの通帳を使って現金を引き出した理由について、「女性との交際に金が必要だったため」などと指摘しています。
【施設長は】
容疑者は老人ホームに勤務していた当時、入所者の金銭管理などを行う「生活相談員」を務めていました。
老人ホームの施設長は、「容疑者は介護福祉士の資格を持ち、入居者に対しては優しく接していて特段不自然に感じることはありませんでした。逮捕事実が本当ならこの職に携わる者がどうしてそんなことをしたのかという思いです」と話していました。
一方、亡くなった前田さんは、穏やかな性格で入所中のトラブルなどはなかったということです。
また、鍵付きの個室に入居していて、通帳も自分で管理していたということです。
施設長は、前田さんが亡くなる前に会った最後の職員が容疑者だったと見られると話しています。