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厚生労働省は、肥満症治療薬「ウゴービ」を公的医療保険の対象とすることを決定しました。
これは約30年ぶりの肥満症の新薬で、デンマークのノボノルディスクファーマが開発したものです。
ウゴービは週に1回、お腹などに注射して投与されます。
ただし、単に太っているだけの「肥満」ではなく、「肥満症」と診断された人が対象で、特定の条件を満たす必要があります。
日本肥満学会理事長は、対象者以外への不適切な使用による健康被害の恐れを指摘しています。
また、日本医師会などは、同じタイプの糖尿病薬が美容・ダイエット目的で不適切に使用されている事例を挙げ、強い懸念を示しています。
肥満症は、世界中で増加している重大な健康問題です。肥満症は、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病のリスクを高めるだけでなく、がんや心臓病などのリスクも高めるとされています。
これまで、肥満症の治療には、食事療法や運動療法が中心でしたが、十分な効果が得られない場合もありました。
そんな中、2023年11月15日、厚生労働省は、肥満症治療薬「ウゴービ」について、公的医療保険の対象とすることを決めました。
これにより、ウゴービは、BMIが27以上の成人のうち、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、2つ以上の肥満に関連した健康障害がある場合に、保険適用で使用できるようになります。
ウゴービの作用機序と臨床試験の結果
ウゴービは、GLP-1受容体作動薬と呼ばれる薬剤で、食欲を抑制する効果があります。GLP-1は、腸から分泌されるホルモンで、食欲を抑制する働きがあります。ウゴービは、GLP-1の作用を長時間持続させるように設計された薬剤です。
臨床試験では、ウゴービを6か月間使用した患者は、プラセボ(偽薬)を投与した患者に比べて、体重が平均で約12.4kg減少したことが報告されています。
ウゴービのメリットとデメリット
ウゴービには、以下のようなメリットがあります。
- 食欲を抑制する効果があり、体重減少が期待できる
- 1日1回投与で済む
- 副作用が少ない
一方、以下のようなデメリットもあります。
- 高価な薬剤である
- 嘔吐、下痢、便秘などの副作用が出ることがある
公定価格の薬価は、量によって5段階が設定され、
1回あたり1876円、3201円、5912円、7903円、1万740円となった。
この価格設定は、ウゴービを投与する際の量や濃度によって異なることを示しています。
ウゴービは、週に1回、お腹などに注射して投与される薬剤です。この薬剤は、特に肥満症の治療に使用されることを目的としており、その使用は特定の医学的条件を満たす患者に限定されています。したがって、薬価は治療を受ける患者の具体的な状況や必要とされる投与量に基づいて決定されることになります。
薬価が量に応じて設定されていることは、患者の個々の治療計画に応じて、必要な量の薬剤を提供するための柔軟性を持たせるためであると考えられます。また、このような価格設定は、医療提供者が患者の特定のニーズに合わせて治療を調整することを可能にします。
ダイエット目的の使用に懸念も
ウゴービは、肥満症治療薬として承認されていますが、ダイエット目的で使用する人も出てくる可能性があります。
ダイエット目的でウゴービを使用すると、体重が急激に減少する可能性があるため、注意が必要です。また、ウゴービは、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病などの生活習慣病のリスクを高める可能性があるため、これらの病気がある場合は、医師に相談の上、使用する必要があります。
まとめ
ウゴービの保険適用は、肥満症治療の大きな進歩と言えます。しかし、ウゴービは、肥満症治療薬として使用することを目的に開発された薬剤であり、ダイエット目的で使用する場合は、注意が必要です。