静脈内鎮静法のリスクとは?歯科治療中に起きた悲しい事故から学ぶこと
「うたたねしているような心地よさ」「不安や痛みは感じない」――そんなふうに宣伝されていた歯科治療中の鎮静法「静脈内鎮静法」ですが、実は命に関わるリスクもあるということをご存じですか?
令和元年、東京都内の歯科医院でこの方法を用いた治療を受けた女性患者が、低酸素脳症によって亡くなるという痛ましい事故が起きました。
「安心できる」と思って選んだ歯科医院で…
亡くなったのは、当時57歳の女性。器具が口の中に入ると吐き気を催すという不安を抱えており、安心して治療が受けられると宣伝されていた新宿区の歯科医院を訪れました。
しかし、治療中に投与された鎮静剤の影響で「舌根沈下」と呼ばれる状態になり、舌が気道をふさいで呼吸が停止。翌日、息を引き取りました。
院長が書類送検された理由
この事故を受け、警視庁は2025年3月、当時の院長(70代)を業務上過失致死の疑いで書類送検。薬の副作用を認識しながらも、血圧や脈拍のモニタリングを怠ったことが原因とされています。
過去にもこの医院では約1,700件の鎮静法を行っていたとみられますが、院長は「事故がなかったため、深く考えていなかった」と話しています。
静脈内鎮静法とは?メリットと注意点
静脈内鎮静法は、患者の不安や緊張を和らげ、リラックスした状態で治療を受けられる麻酔方法。外科処置が必要なインプラント手術などでも使われています。
ただし、薬の投与量やスピードによっては、呼吸停止や心停止など、命に関わる合併症が起こることもあります。
安心して受けるためにできること
日本歯科麻酔学会によると、認定施設で実施された12万件以上の鎮静法では、麻酔関連の死亡例はゼロ。安全に受けるためには、以下のポイントが大切です。
- 麻酔専門医や認定医が在籍しているか確認する
- 治療中に血圧・脈拍などのモニタリングがされているか
- 医院の設備や対応体制が整っているか
医院選びが命を守る
静脈内鎮静法を受ける際は、日本歯科麻酔学会のホームページで認定資格者がいるかを確認しましょう。
安心して治療を受けるために、「不安がない」だけでなく「安全が確保されている」医院を選ぶことが何より重要です。

