所得税が課税され始めるライン、いわゆる「年収の壁」をどの水準に引き上げるかを巡り、自民党と国民民主党の協議が難航しています。両党は12日に国会内で協議を行いましたが、合意には至らず、週明けにも再び話し合いを行う見通しです。
今回の調整は、物価高騰が続く中で、低所得者や中所得者を含めた幅広い層の税負担を軽減し、可処分所得を増やすことを目的としています。しかし、その引き上げ幅や対象範囲を巡って、両党の意見が大きく分かれている状況です。
自民党は168万円案から「178万円案」に上積み提示
自民党は当初、年収の壁を160万円から168万円へ引き上げる案を提示していました。しかし、国民民主党が求める178万円案に歩み寄る形で、所得制限付きの178万円案を新たに提案したとみられています。
12日午前、自民党の小野寺五典税制調査会長は記者団に対し「誠意を持って対応したい」と述べ、国民民主党に寄り添う姿勢を示しました。
一方で、国民民主党は「一律178万円」を強く主張しており、両党の溝は埋まらないまま協議は終了しました。
玉木代表「政治決断が必要な段階に近づいている」
国民民主党の玉木雄一郎代表は12日、青森県三沢市での取材に対し、次のように述べました。
「高市早苗首相と党首会談を行い、政治決断をしなければならない段階に来ている。」
玉木代表はさらに、引き上げ幅や対象について「物価高騰で困難を抱える国民が納得できるレベルが重要だ」とし、「理論的には低所得者だけではなく、全ての人に対して所得税控除を引き上げるべきだ」と強調しました。
物価連動で168万円に 自民党案の基礎となる考え方
政府と自民党は、直近2年間の消費者物価指数の上昇率、約6%を基に基礎控除の見直しを進めています。
現行の基礎控除は58万円ですが、これを62万円へ引き上げ、給与所得控除の最低保障額も65万円から69万円へ拡大する案です。
この見直しにより、現状の年収160万円の課税ラインが168万円へと引き上がる仕組みです。
さらに自民党は、低所得者向けの基礎控除上乗せ分(現行37万円)を10万円引き上げることで、課税最低限を178万円とする調整も検討しています。
国民民主党は「より幅広い層への控除拡大」を要求
対する国民民主党は、中所得者向けの基礎控除上乗せ分(現在年収に応じて5万〜30万円)を拡充し、もっと多くの人の手取りを増やすべきだと主張しています。
この違いが、両党の交渉が平行線をたどる最大の要因となっています。
昨年の3党合意「178万円を目指す」から1年
今回の議論には前提があります。昨年12月、自民党、公明党、国民民主党の3党幹事長が「年収の壁を178万円へ引き上げることを目指す」と合意していました。
しかし最終的に、実際の運用では年収850万円までを4段階で控除上乗せする方式となり、最大160万円引き上げにとどまっていました。
今年は2026年度税制改正大綱の取りまとめが迫る中で、年収の壁の再調整は最終局面に入っています。
今後の焦点
・168万円とする政府案を基礎に、どこまで控除拡大が進むのか
・178万円への一律引き上げが政治判断で決着するのか
・所得制限を設定するのか、幅広い層を対象にするのか
・物価高騰に苦しむ世帯にどれだけ実効性のある支援となるか
これらが、来週の再協議で重要な論点になるとみられます。
ソース
sankei.com
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