政府は24日の閣僚折衝で、2026年度の診療報酬を全体で2.22パーセント引き上げることで合意しました。
合意したのは、片山さつき財務相と上野賢一郎厚生労働相です。
診療報酬の全体がプラス改定となるのは、2014年度以来12年ぶりです。
同時に、医療費の自己負担を抑える仕組みである高額療養費制度の見直しも決定しました。
高額療養費制度の見直しも同時に決定
高額療養費制度とは、医療費が高額になった場合でも、患者の自己負担額に上限を設ける制度です。
政府はこの制度について、2026年8月から段階的に見直します。
月ごとの自己負担の上限額は、最大で約38パーセント引き上げられます。
一方で、介護保険サービス利用時の2割負担対象者の拡大については、年内の決定を見送る方針が示されました。
医療機関を支えるための30年ぶり大幅改定
診療報酬改定の内訳では、医師や看護師の人件費、医療技術料にあたる「本体」部分を3.09パーセント引き上げます。
3パーセントを超える引き上げは、1996年度以来30年ぶりの水準です。
政府は、このうち1.70パーセントを医療従事者の賃上げ対応に充てます。
さらに、光熱水費などの物価高への対応として1.29パーセントを見込みます。
薬価は引き下げ、全体では2.22パーセント増
一方で、医薬品などの価格を示す「薬価」部分は0.87パーセント引き下げられます。
薬価とは、保険が適用される医薬品の公定価格のことです。
本体部分の大幅引き上げと、薬価引き下げを組み合わせた結果、診療報酬全体では2.22パーセントの引き上げとなります。
物価高や賃金上昇で医療機関の経営が圧迫される中、政府は支援を重視しました。
首相判断で決着した改定率
診療報酬の引き上げ幅を巡っては、省庁間で意見が分かれていました。
厚生労働省は3パーセント超、財務省は2パーセント超の水準をそれぞれ提示していました。
最終的には、高市早苗首相の判断で現在の水準に決まりました。
医療現場の厳しい状況を踏まえた政治判断とされています。
全ての所得層で医療費負担が増加
高額療養費制度の見直しでは、2026年8月に月ごとの上限額が引き上げられます。
年齢や年収に応じて、引き上げ幅は約4パーセントから7パーセントとされています。
さらに、2027年8月には所得区分を細かく分けた上で、一部の区分で追加の引き上げが行われます。
平均的な所得層である年収約370万円から770万円の場合、月の自己負担が約3万円増え、約11万円になるケースがあります。
長期療養患者への配慮措置
政府は、長期にわたり治療を受ける患者への配慮も盛り込みました。
2026年8月から、新たに年間の自己負担上限額を設けます。
平均的な所得層では、この年間上限額は53万円となります。
また、70歳以上を対象とする外来特例についても見直しが行われます。
外来特例とは、高齢者の外来診療時の負担を軽減する制度です。
現行の月8千円から1万8千円の上限額は引き上げられますが、所得が低い層については据え置かれます。
患者団体の反発と政府の対応
高額療養費の負担引き上げは、過去にも議論されてきました。
昨年、政府が同様の方針を示した際には、がん患者団体などの反発を受け、全面凍結されています。
今回は、厚生労働省の専門委員会での議論を踏まえ、引き上げ幅を抑えた形で実施されます。
それでも、全国保険医団体連合会は23日、引き上げ撤回を求める署名17万2918筆を厚労省に提出しました。
患者団体からは、物価高騰で家計が厳しい中での負担増は受け入れられないとの声が上がっています。
介護保険の2割負担拡大は見送りへ
介護保険サービスを利用する際の自己負担が2割となる人の対象拡大については、年内の決定が見送られました。
政府は、2026年度末までに結論を出す方針です。
医療保険制度で高齢者の負担が増える見直しを行うため、影響が重なりすぎると判断されました。
負担増が一度に集中することへの配慮とされています。
高齢者世帯への配慮が判断の背景に
厚生労働省は、2割負担の基準となる年収について見直し案を示していました。
現行の280万円から、230万円または260万円に引き下げる案です。
しかし、物価高の影響を受ける高齢者世帯への配慮から、政府と与党内で慎重な意見が強まりました。
その結果、介護負担拡大の判断は先送りされました。
参考情報源
毎日新聞
東京新聞
神戸新聞
厚生労働省 関連資料
政府関係者発表

