突然の停電は、誰にとっても不安な出来事です。特に夜間や悪天候の中では、「早く復旧しなければ」と焦ってしまう方も多いのではないでしょうか。
その心理につけ込むような事案が発覚しました。消費者庁は、虚偽の説明で不要な電気工事を行い、高額な料金を請求していたとして、「新日本電工」と名乗る事業者を公表しました。
これは、消費者の安全を守るために行われる「消費者安全法」に基づく注意喚起です。単なるトラブル事例ではなく、全国的な被害が確認された重大な案件です。
526件の相談、約1億7千万円が支払いか
消費者庁によりますと、2024年12月から2025年10月にかけて、全国の消費生活センターなどに寄せられた相談は526件に上りました。
そのうち、410件で実際に支払いが行われ、被害総額は約1億7千万円にのぼるとみられています。
これは一部地域の問題ではなく、全国規模で被害が広がっていたことを示しています。
停電という緊急性の高い状況で、冷静な判断が難しくなることを悪用したケースといえるでしょう。
「ブレーカーが焼けている」虚偽説明で数十万円請求
この業者は、「生活電気相談センター」や「あんしん電気サポート24h」といった名称のウェブサイトを通じて、停電復旧工事の依頼を受け付けていました。
依頼者の自宅を訪問した後、業者は次のような説明をしていたとされています。
- 「ブレーカーが焼けている」
- 「全面交換が必要」
- 「このままだと危険」
こうした虚偽の説明を行ったうえで、不要な工事を実施し、数十万円を現金で支払うよう求めていたというのです。
しかし、実際にはどうだったのでしょうか。
消費者庁によれば、多くのケースで、電力会社に連絡すれば無料で復旧できる状態だったといいます。つまり、家屋内での工事自体が不要だった可能性が高いのです。
「東京電力の依頼実績多数」など広告表示と実態に差
さらに問題なのは、インターネット広告の表示内容です。
検索結果の上位に表示される広告には、
- 「東京電力からの依頼実績多数」
- 「有資格者が対応」
といった文言が記載されていました。
しかし、消費者庁の調査では、こうした表示内容と実態が異なっていたとされています。
検索上位=信頼できる業者、とは限らないということを、改めて認識する必要があります。
法人登記なし 契約書は別名義「ホワイトベース」
消費者庁が調査したところ、「新日本電工」という名称の法人登記は確認できなかったとのことです。
さらに、最近では契約書の名義が「ホワイトベース」(千葉市中央区)となっているとの情報もあります。
ここで注意が必要なのは、同名または類似名の実在する業者と混同しないことです。実在企業と誤認させる形で営業している可能性も否定できません。
名称が似ているからといって、必ずしも同一業者とは限りませんので、冷静な確認が重要です。
なぜ被害が拡大したのか
今回の事案で特徴的なのは、「停電」という緊急事態を利用している点です。
停電時には、
- 冷蔵庫の食品が傷むかもしれない
- 暖房・冷房が止まる
- 夜間で暗い
といった不安が重なります。
その結果、「すぐに直してもらいたい」という心理が働きやすくなります。
しかし、停電の多くは電力会社側の設備や配電系統の問題であり、家庭内工事が必要とは限りません。
まずは契約している電力会社に連絡することが基本です。
消費者庁の呼びかけ
消費者庁は、今回の相談のほとんどがこの業者によるものだとしています。
そして、次のように注意を呼びかけています。
- インターネット検索で上位表示されているだけで信用しない
- その場で契約しない
- 事前に見積もりを取得する
- 必要であれば家族や知人に相談する
「今すぐ工事しないと危険」などと急がせる業者には特に注意が必要です。
少しでも不審に感じた場合は、消費生活センター(188番)に相談することが推奨されています。
私たちができる防衛策
今回の事案は、電気工事に限った問題ではありません。
- 水道修理
- 鍵のトラブル
- 給湯器交換
など、緊急性の高いサービス全般に共通するリスクがあります。
対策として有効なのは、
- まずは公式窓口に連絡する
- 複数社から見積もりを取る
- その場で現金を渡さない
- 会社情報(法人番号・所在地)を確認する
といった基本的な確認行動です。
冷静なワンクッションが、大きな被害を防ぐ可能性があります。
まとめ
今回、消費者庁が公表した「新日本電工」と名乗る事業者の事案は、全国で526件、約1億7千万円規模に及ぶ重大な消費者トラブルです。
虚偽説明による不要工事、高額請求、法人登記未確認など、問題点は多岐にわたります。
検索上位表示やそれらしい名称だけでは信頼性は判断できません。
停電時や緊急時こそ、まずは電力会社などの公式窓口に確認することが最優先です。
焦らず、冷静に、そして一人で判断しないことが、被害防止の鍵となります。
ソース
denki.docomo.ne.jp
hokkoku.co.jp
news.yahoo.co.jp
nikkei.com
kobe-np.co.jp
okinawatimes.co.jp

