中東情勢の悪化を受けて史上最高値を更新していたレギュラーガソリン価格が、政府の補助金再開によって下落に転じました。
3月23日時点の全国平均価格は、1リットルあたり177.6円でした。
前週から6.3円下落し、6週間ぶりの値下がりとなりました。
一方で、資源エネルギー庁は、26日以降の補助金支給単価を1リットルあたり48.1円に引き上げると発表しました。
補助額は制度史上最高となります。
つまり、政府は価格抑制をさらに強める局面に入ったということです。
最高値の190.8円から一転、補助金が価格を押し下げた経緯
イラン情勢の緊迫化と、ホルムズ海峡の事実上の封鎖を背景に、3月16日時点のレギュラーガソリン全国平均価格は190.8円を記録しました。
これは1990年の調査開始以来の最高値です。
また、前週からの上昇幅も29円と過去最大でした。
こうした中、政府は3月19日の出荷分から、緊急的激変緩和措置として補助金の支給を再開しました。
全国平均の小売価格を1リットル170円程度に抑える方針のもと、170円を超える部分を全額補助する変動型の仕組みを導入しました。
初週の支給単価は30.2円でした。
経済産業省は、店頭価格への反映に1〜2週間かかると説明していました。
実際に、補助再開後は各地で値下がりが確認されています。
つまり、制度は一定の効果を発揮しているといえます。
補助金の仕組みと48.1円引き上げの意味
今回の制度は、価格が一定水準を超えた分を補助する方式です。
そのため、原油高や円安が進むと、補助額も大きくなります。
しかし、その分だけ財政負担も急拡大します。
26日以降の補助金支給単価は、ガソリン1リットルあたり48.1円です。
これは制度開始以来の最高額です。
一方で、価格上昇圧力がそれだけ強いことも示しています。
実際に、補助金がなければ小売価格はさらに上振れしていた可能性があります。
そのため、今回の引き上げは家計対策であると同時に、物流や地域経済の急激な負担増を抑える措置でもあります。
ガソリン補助金の再拡大は、生活防衛策としての意味合いを強めています。
予備費8000億円を投入、財源は1兆800億円規模へ
政府は24日、2025年度予算の予備費からおよそ8000億円をガソリン補助金の財源に充てることを閣議決定しました。
既存の専用基金である約2800億円と合わせると、財源は計1兆800億円規模に拡大する見通しです。
さらに言えば、制度維持に必要な資金を急いで積み増した形です。
野村総合研究所の試算によると、ガソリンの1日あたりの消費量は約1.2億リットルです。
30円規模の補助を続けた場合、1日の補助金額は36億円に上るとされています。
つまり、補助単価が上がれば、財政負担も一段と重くなります。
累計予算は9兆円前後へ、財政負担の重さも鮮明に
補助金制度は2022年1月に始まりました。
過去およそ4年間で、累計8兆1719億円の予算が計上されてきました。
今回の追加分を含めると、累計は9兆円前後に膨らむ見通しです。
一方で、ガソリン補助金は価格を直接押し下げる効果がある半面、財政コストが非常に大きい制度でもあります。
そのため、家計支援と財政規律をどう両立するかが、今後の大きな課題になります。
まさに、財布には優しくても、国家財政には重い制度といえます。
ホルムズ海峡の緊張継続で、追加放出も始まる見通し
ホルムズ海峡をめぐる緊張は依然として続いています。
そのため政府は、26日から石油国家備蓄の追加放出も開始する方針です。
価格抑制策は、補助金だけでなく供給面の対応にも広がっています。
しかし、中東情勢が長引けば、原油調達コストや国内販売価格への圧力は続きます。
一方で、補助金を増やし続ければ、財源確保の問題はさらに重くなります。
ガソリン補助金をどこまで続けるのかは、今後の政策判断で大きな焦点になります。
ガソリン補助金の再拡大が示すもの
今回の動きで明確になったのは、ガソリン補助金が価格高騰局面で即効性を持つ一方、財政負担を急速に膨らませるという点です。
全国平均価格は下がりました。
しかし、その裏では補助額が過去最高に達しています。
つまり、ガソリン補助金は、価格を抑えるほど国費を必要とする構造です。
こうした中、政府は当面、170円程度を意識した価格抑制を優先するとみられます。
また、中東情勢と原油市場の動向次第では、ガソリン補助金のさらなる延長や見直しが議論される可能性があります。
ソース
資源エネルギー庁
経済産業省
産経新聞
ロイター
朝日新聞デジタル

