ホルムズ危機でINPEXが日本優先供給|カスピ海原油ルート確保とエネルギー安全保障

日本最大の石油・ガス開発企業であるINPEX(旧国際石油開発帝石)が、カスピ海地域の油田から産出する原油の販売で、日本企業を優先する方針を決めたと報じられました。
ロイターによると、対象となるのはアゼルバイジャン沖のアゼリ・チラグ・グナシリ油田と、カザフスタンのカシャガン油田です。

これは、イランでの戦争と、ホルムズ海峡の事実上の閉鎖で、日本のエネルギー調達が強い圧力を受ける中で打ち出された対応です。
つまり、INPEX カスピ海 原油 優先供給は、単なる販売方針ではなく、日本の供給網を守る動きとして位置づけられます。

また、日本は石油輸入の9割超を中東に依存しています。
そのため、ホルムズ海峡を通らない既存ルートの価値が一気に高まりました。

中東依存の弱点が一気に表面化

今回の危機は、2月28日に米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始して以降、急速に深まりました。
ロイターは、ホルムズ海峡が閉鎖状態にあり、日本向けタンカーの出航が止まっていると伝えています。

ホルムズ海峡は、世界の原油やLNGが通る重要海路です。
いわば海上の細い関門です。ここが機能しにくくなると、日本のように中東依存度が高い国は直撃を受けます。

しかし、一方で全ての供給が止まったわけではありません。
こうした中、ホルムズ海峡を経由しない調達先を持つ企業の存在が、政策面でも実務面でも重みを増しています。

日本向けに振り向けるカスピ海産原油の意味

INPEX カスピ海 原油 優先供給で焦点となるのは、アゼルバイジャン沖のアゼリ・チラグ・グナシリ油田です。
ロイターによると、この油田は日量約33万バレルを生産しており、INPEXは約9.31%の権益を保有しています。

また、対象にはカザフスタンのカシャガン油田も含まれます。
カシャガンはカスピ海北部にある大型油田で、INPEXが権益を持つ重要案件です。
つまり、INPEX カスピ海 原油 優先供給は、既に権益を持つ資源を日本向けに振り向ける判断だといえます。

さらに、今月初めにINPEXは経済産業省からACG持株会社の残り49%株式を取得し、完全所有権を確保したと伝えられています。
そのため、今回の優先供給方針は、権益面でも実行しやすい形が整っていたことになります。

代替ルートとしてのBTCパイプライン

ACG油田の原油が注目される最大の理由は、ホルムズ海峡を通らないことです。
原油はバクー・トビリシ・ジェイハンパイプラインを通って、トルコの地中海沿岸へ運ばれます。

このパイプラインは、カスピ海からコーカサスを経て地中海に抜ける陸上輸送路です。
つまり、ペルシャ湾のチョークポイント、すなわち詰まりやすい要所を完全に迂回できます
実際に、紛争の影響を受けにくい既存ルートとして価値が高まっています。

一方で、カシャガン油田は通常の輸送経路に制約もあります。
しかし、供給源を複線化する意味は大きく、INPEX カスピ海 原油 優先供給は、日本にとって数少ない現実的な逃げ道の一つです。

政府の備蓄放出と並ぶ供給確保策

今回の動きは、民間企業だけの判断では終わりません。
日本政府も供給確保へ動いています。
高市早苗首相は、3月16日に民間備蓄の放出を始め、3月26日には国家備蓄と共同備蓄の活用を進めたと表明しました。

さらに、日本はサウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェートとの共同備蓄も活用しています。ロイターによると、日本はこの共同備蓄のうち5日分を使う方針です。

そのため、INPEX カスピ海 原油 優先供給は、備蓄放出と並ぶ供給確保策の一つとして機能します。
つまり、政府の在庫対応と、民間企業の調達対応が同時に進んでいる構図です。

日本は調達先の多角化も急ぐ

石油連盟は、北米のほか、エクアドル、コロンビア、メキシコなどからの原油調達も検討しています。
これは、特定地域への依存を減らす「供給源の多様化」にあたります。

また、経済産業省は国内卸売業者に対し、ガソリン価格の基準をドバイ原油からブレント原油へ切り替えるよう求めました。
ブレントの方が相対的に安く、国内価格の急騰を抑える狙いがあります。

実際に、ドバイ原油は先週、1バレル170ドル近辺まで上昇しました。
一方でブレントは約100ドル前後とされ、価格差が大きく開きました。
こうした中、INPEX カスピ海 原油 優先供給は、価格面でも供給面でも意味を持ちます。

アジアでも資源の争奪が強まっている

代替調達先を探しているのは日本だけではありません。
ロイターが入手した文書によると、ベトナムは出光興産が共同所有するギソン製油所向けに原油供給を要請しました。

また、インドネシアはINPEXからLPGの調達に関心を示し、インドは原油やナフサとの交換取引を模索しています。
LPGは液化石油ガスです。家庭用や工業用に広く使う燃料で、LNGより扱いやすい場面もあります。

つまり、今回の危機は日本だけの問題ではありません。
地域全体でエネルギー争奪戦が起きる中、日本政府も企業も、自国向け確保を優先する色合いを強めています。

国内優先の姿勢がより鮮明に

赤澤亮正経済産業相は、戦略備蓄からの石油は「原則として」国内製油所に販売すると述べました。
これは、他のアジア諸国から支援要請がある中でも、現時点で国家備蓄を共有する計画がないことを示す発言です。

この姿勢は、INPEX カスピ海 原油 優先供給とも方向が一致します。
つまり、政府備蓄も、民間が持つ代替供給ルートも、まずは日本国内の需給安定に使う考え方です。

しかし、一方で危機が長引けば、近隣国との調整や国際協力の圧力も強まる可能性があります。
そのため、国内優先と地域協調をどう両立させるかが、今後の大きな論点になります。

今後の焦点は「どこまで持ちこたえられるか」

ロイターによると、民間と公的備蓄の放出で外部供給の穴を埋められるのは、現時点では4月末ごろまでとの見方があります。
一方で、米国などから代替原油を調達しても、日本到着は6月以降になる可能性が示されています。

そのため、INPEX カスピ海 原油 優先供給の意味は非常に重いです。
既存権益から、ホルムズ海峡を避けて、日本企業向けに動かせる原油があることは、時間を稼ぐうえで大きな材料になります。

さらに、今回の危機は、日本のエネルギー安全保障の弱点を改めて浮き彫りにしました。
つまり、中東依存をどう減らすか、そして平時からどの代替ルートを確保するかが、今後の政策と企業戦略の中心課題になります。

日本のエネルギー安全保障を映す今回の判断

INPEX カスピ海 原油 優先供給は、緊急時の販売調整というだけではありません。
日本が権益を持つ資源を、どのように自国経済の安定へつなげるかを示す具体例です。

また、BTCパイプラインのようなホルムズ海峡回避ルートの価値も、今回の危機で一段と明確になりました。
こうした中、資源の「量」だけでなく、「どこを通って運べるか」が安全保障の核心になっています。

実際に、備蓄放出、価格対策、代替調達、そしてINPEX カスピ海 原油 優先供給が同時進行しています。
少し皮肉ですが、危機の時ほど、地図帳とパイプライン図が家計に直結します。

ソース

ロイター
NHK
INPEX関連情報
経済産業省関連説明資料
石油連盟関連発言

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