大分県は3月23日、豊予海峡ルートを海底トンネルで整備した場合、概算事業費が約1兆5200億円に上るとの試算を公表しました。
佐藤樹一郎知事が記者会見で明らかにした内容です。
この構想は大分県と愛媛県を直接結ぶものです。
しかし、過去の約6900億円という試算を大きく上回る結果となりました。
つまり、豊予海峡ルートは現実的な議論の段階に入りました。
今後は、財源と実現性が大きな焦点になります。
九州と四国を結ぶ長年の構想
豊予海峡ルートは、九州と四国を結ぶ構想です。
トンネルまたは橋による接続が検討されてきました。
しかし、この構想は長年進展していません。
その理由は、事業規模が極めて大きいことにあります。
一方で、広域交通網の整備という観点から、重要性も指摘されてきました。
つまり、必要性と現実のギャップが続いていた構想です。
今回の試算で描かれた具体的なルート
今回の試算では、大分市から愛媛県八幡浜市まで約80キロの高速道路整備を想定しています。
そして、海峡部分は海底トンネルで結びます。
また、海峡部は青函トンネルと同程度の水深です。
そのため、青函トンネルの工法を参考にした試算となりました。
さらに、単なるトンネルではありません。
接続する高速道路まで含めた一体整備として計算されています。
1兆5200億円の内訳
今回の総事業費は、約1兆5200億円です。
内訳を見ると、構造が明確になります。
まず、海峡部のトンネル工事費は約9300億円です。
これが最も大きな割合を占めます。
さらに、接続道路として、
大分側17.8キロが約1000億円、
愛媛側40.9キロが約4900億円と見積もられました。
つまり、トンネル単体ではなく、広域インフラ全体の費用が示されています。
なぜ過去の試算より大幅に増えたのか
過去の試算は約6900億円でした。
しかし今回の試算は、その2倍以上です。
この差の最大の理由は、前提条件の違いです。
今回は、作業坑や地質調査用通路の費用を含めた点が大きいです。
作業坑とは、工事を進めるための作業用トンネルです。
また、地質調査通路は地盤を確認するための重要な設備です。
つまり、今回の試算は、より実務的で現実的な内容になっています。
そのため、金額が大きくなりました。
青函トンネル工法を採用した意味
青函トンネルは、日本を代表する海底トンネルです。
長大トンネルの技術基準として広く知られています。
今回の試算では、水深条件が似ている点に着目しました。
そのため、既存の成功事例として青函トンネルの工法を参考にしました。
しかし、条件が完全に同じではありません。
地質や施工環境は異なります。
つまり、この工法はあくまで基準です。
最終的な工事内容は今後の詳細調査で決まります。
国主導を求める知事の発言
佐藤知事は、愛媛県との議論を進める姿勢を示しました。
一方で、重要な発言も行っています。
それは、「国のプロジェクトとして進めるのが本筋」というものです。
この発言は非常に重要です。
なぜなら、1兆円規模の事業は地方単独では難しいからです。
また、九州と四国を結ぶため、国家的な意味も持ちます。
そのため、国主導での推進が不可欠とされています。
期待される効果と役割
豊予海峡ルートには多くの期待があります。
まず、交通と物流の効率化です。
九州と四国が直接つながることで、移動時間が短縮されます。
また、物流の多様化も進みます。
さらに、防災面でも重要です。
広域ルートは災害時の代替経路になります。
つまり、この構想は単なる交通整備ではありません。
国土強靱化、つまり災害に強い社会づくりにも関係します。
最大の課題は財源と費用対効果
しかし、最大の課題は明確です。
それは、1兆5200億円という巨額の費用です。
この規模の事業では、財源確保が最優先課題になります。
また、費用に見合う効果の検証も必要です。
さらに、建設後の維持費も無視できません。
運営コストや防災対策も含めた議論が必要です。
つまり、豊予海峡ルートはこれからが本格的な検討段階です。
数字が出たことで、初めて具体的な議論が可能になりました。
今後の議論の焦点
今回の試算により、議論は次の段階に進みました。
構想から政策論争へ移行した形です。
今後は、愛媛県との連携が重要になります。
また、国への働きかけも不可欠です。
さらに、住民や企業への説明も求められます。
期待される効果を具体的に示す必要があります。
実際に、この構想は多くの可能性を持ちます。
しかし同時に、巨額投資の重みも突きつけました。
ソース
大分県知事記者会見
共同通信
日本経済新聞
大分県資料

