長期金利1999年以来の高水準 原油高と円安で日銀利上げ観測強まる

27日の東京債券市場で、新発10年国債利回り(長期金利)が前営業日比11.0ベーシスポイント上昇し、2.380%をつけました。
これは、1月20日以来およそ2カ月ぶりに1999年以来の高水準です。
長期金利の急上昇は、原油高と円安を背景に、日銀の早期利上げ観測が強まったことを映しています。

今回の動きが重要なのは、単に債券市場が荒れたという話ではないためです。
原油高、円安、インフレ懸念、日銀の利上げ観測が一気につながったからです。
そのため、長期金利の上昇は、家計、企業、政府の資金調達コストにも波及しかねない局面として注目されます。

原油高と円安が債券売りを強めた

今回の長期金利上昇の背景には、中東情勢の緊迫化に伴う原油高があります。
また、円安も同時に進みました。
こうした中、エネルギー輸入に依存する日本では、物価がさらに押し上げられるとの懸念が広がりました。

実際に、米WTI原油先物は90ドル台で推移し、ドル/円が159円後半まで上昇しました。
つまり、輸入物価が上がりやすい環境が続いたことになります。
そのため、市場では国債が売られ、長期金利が押し上げられました。

国債先物も大幅続落した

国債市場では現物債だけでなく、先物にも売りが広がりました。
国債先物中心限月6月限は、前営業日比77銭安の130円06銭と大幅続落して取引を終えました。
債券価格が下がると利回りは上がるため、この動きも長期金利上昇と整合的です。

一方で、市場の見方は単純ではありません。
原油高が続けばインフレを押し上げます。
しかし、景気には下押し圧力もかかるため、債券市場は日銀の次の一手を強く意識しました。

市場関係者はビハインドザカーブを警戒

農林中金全共連アセットマネジメントのシニアファンドマネジャー、長友竜馬氏はロイターに対し、原油高と円安で「ビハインドザカーブ・リスクが意識されている」と指摘しました。
ビハインドザカーブとは、中央銀行の対応が物価上昇に追いつかない状態を指します。
つまり、利上げが遅れるほどインフレを抑えにくくなる、という見方です。

また、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジストも、中東情勢は停戦に向けた雰囲気がなかなか強まらず、市場は長期化を懸念しているとの見方を示しました。
そのため、単発の材料ではなく、長引く地政学リスクとして受け止められています。
さらに、こうした不透明感が、債券売りを支える構図になっています。

利回り上昇は10年債だけではなかった

今回の上昇は、10年債だけの現象ではありません。
10年債以外の利回りも軒並み上昇しました。
つまり、金利上昇が全年限に広がったことが特徴です。

新発5年債利回りは7.5bp上昇の1.815%となり、過去最高水準を更新しました。
また、新発2年債利回りは4.5bp上昇の1.380%と、1995年以来およそ31年ぶりの高水準をつけました。
短い年限まで強く売られた点は、市場が日銀の政策変更をかなり意識していることを示します。

超長期ゾーンでも利回りが上昇

超長期ゾーンでも売りは止まりませんでした。
20年債利回りは3.275%、30年債は3.710%、40年債は3.925%まで上昇しました。
一方で、超長期債は保険会社や年金などの運用動向にも左右されるため、値動きが大きくなりやすい面があります。

しかし、今回の上昇は、単なる需給要因だけでは説明しにくい流れです。
原油高と円安がインフレ懸念を強めました。
そのため、将来の政策金利水準そのものが見直され、全年限で利回りが押し上げられた形です。

日銀は先週、政策金利を0.75%に据え置いた

日銀は先週の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%に据え置きました。
これはTBS NEWS DIGでも報じられています。
一方で、利上げの流れ自体を止めたわけではありません。

植田和男総裁は、基調的な物価上昇が2%目標に向かう軌道にあれば、利上げを継続する姿勢を示しています。
基調的な物価上昇とは、一時的な要因を除いた、物価の本当の強さを見る考え方です。
つまり、エネルギー価格の上下だけでなく、賃金や内需を含めた広い物価の流れが重視されています。

4月会合での利上げ観測が強まった

市場では、4月27日から28日の次回会合での利上げ確率が約6割強まで上昇しているとみられています。
また、アナリストの間では、25ベーシスポイントの追加利上げで政策金利が1%に引き上げられるとの見方も出ています。
ベーシスポイントは金利の細かな単位で、25ベーシスポイントは0.25%です。

実際に、市場が4月利上げをおよそ60%織り込んでいると報じられていました。
さらに、黒田東彦前総裁が朝日新聞のインタビューで、4月会合での利上げもあり得るとの見方を示したと伝えられています。
こうした中、債券市場は日銀の早期対応をかなり意識する展開になりました。

ただし政権の判断はなお不透明

一方で、利上げ観測がそのまま政策決定に結びつくとは限りません。
長友氏は、日銀が利上げに前向きな姿勢を示しても、政権が容認するかは不透明だと指摘しました。
そのため、市場は利上げをかなり織り込みつつも、完全には織り込めていない状況です。

ここが今回の相場の難しい点です。
インフレ懸念は強いです。
しかし、原油高が景気を冷やす恐れもあるため、日銀も政府も簡単には判断できません。

長期金利上昇が意味するもの

長期金利の上昇は、国債市場だけの話にとどまりません。
住宅ローン金利、企業の社債発行コスト、政府の利払い負担にも影響します。
そのため、1999年以来の高水準という事実は、金融市場全体にとって重い意味を持ちます。

また、今回の動きは、日本経済が長く続いた超低金利の世界から、さらに離れつつあることも示しています。
しかし、一方で、急激な金利上昇は景気に逆風です。
つまり、インフレ抑制と景気下支えの間で、日銀のかじ取りはますます難しくなっています。

今後の焦点は原油と円相場、そして4月会合

今後の最大の焦点は、原油高がどこまで長引くかです。
また、円安がさらに進むかどうかも重要です。
こうした中、4月27日から28日に開く日銀の次回会合が、市場の視線を集めています。

もし原油高と円安が続けば、インフレ懸念はさらに強まります。
その場合、長期金利の高止まり、あるいは一段の上昇も意識されます。
一方で、中東情勢が落ち着けば、相場の過熱が和らぐ余地もあります。

ソース

TBS NEWS DIG
ロイター
日本銀行

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