令和8年4月3日 官報まとめ|ILO第155号条約批准・危険物規制政令改正など主要法令を解説

令和8年4月3日(金)付の官報(号外第80号・第1679号・号外特第21号)において、ILO職業安全衛生条約(第155号)の批准公布をはじめ、危険物規制政令の改正地方税法・所得税法施行期日政令介護保険法施行規則改正省令企業価値担保登記規則(新設) など、複数の重要法令が公布されました。

今回の官報の最大のトピックは、日本がILO「職業安全衛生条約(第155号)」を正式に批准・公布したことです。
 これにより、全産業・全労働者を対象とした職場の安全衛生に関する国際基準への法的コミットメントが明確化されます。

区分法令名番号公布日施行日
条約職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約(第155号)条約第2号令和8年4月3日別途定め
政令地方税法等改正法の一部施行期日政令政令第114号令和8年4月3日令和8年5月21日
政令危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令政令第115号令和8年4月3日公布翌日(4月4日)
政令所得税法等改正法の一部施行期日政令政令第116号令和8年4月3日令和8年5月21日
省令企業価値担保登記規則(新設)法務省令第25号令和8年4月3日別途定め
省令介護保険法施行規則の一部を改正する省令厚生労働省令第76号令和8年4月3日令和8年8月1日
省令無線局開設の根本的基準等の一部を改正する省令総務省令第59号令和8年4月3日別途定め
省令危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令総務省令第60号令和8年4月3日別途定め

号外(主要項目)の改正ポイント

① ILO第155号条約の批准公布(条約第2号)

「職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約(ILO第155号)」 が、条約第2号として令和8年4月3日に公布されました。 この条約は1981年6月22日にILO第67回会期で採択されたもので、日本がこのたび正式批准しました。

条約の主な内容(要点)

  • 適用範囲:全ての経済活動部門・全ての労働者(公務員を含む)に適用。ただし、海上運送業・漁業等、特別な問題がある部門は除外可能。
  • 「健康」の定義:単に疾病がない状態ではなく、作業中の安全・衛生に直接関連する身体的・精神的要素を含む。
  • 国内政策の義務:加盟国は労使団体と協議の上、職業安全衛生に関する一貫した国内政策を定め・実施・定期的に検討する義務を負う。
  • 国レベルの措置:法令の執行に十分な監督制度を確保し、違反に対する制裁を規定する。
  • 企業レベルの措置:使用者は合理的に実行可能な限り、職場・機械・設備・工程が安全で健康上の危険がないことを確保。労働者が生命・健康への急迫した重大な危険から自ら退避した場合、不当な不利益から保護される。
  • 費用負担の禁止:職業安全衛生措置の費用を労働者に負担させてはならない。

関連して、外務省告示第133号「職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約(第155号)の日本国による批准に関する件」も号外第80号に掲載されました。

② 危険物規制政令の改正(政令第115号)

消防法に基づく危険物の規制に関する政令の一部改正で、施行は公布翌日の令和8年4月4日です。

主な改正ポイント

  • 空地規制の特例拡大:製造所・屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・屋外貯蔵所について、耐火構造の塀の設置その他の防火上有効な措置(総務省令で定める措置)を講じたときは、空地の幅を縮小し、または空地を保有しないことができる特例を拡大。
  • 蓄電池貯蔵危険物の屋外貯蔵所:蓄電池により貯蔵される総務省令で定める危険物のみを貯蔵・取り扱う屋外貯蔵所について、特例規定を整備(第16条第4項を新設)。
  • 字句整備:「網入ガラス」→「網入りガラス」、「さく」→「柵」、「起る」→「起こる」、「接手」→「継手」等の表記統一。
  • 附則(経過措置):改正前の行為に対する罰則は、なお従前の例による。

③ 地方税法・所得税法施行期日政令(政令第114号・第116号)

地方税法等の一部を改正する法律(令和5年法律第1号)附則第1条第12号の規定の施行期日が、政令第114号により令和8年5月21日と定められました。

同様に、所得税法等の一部を改正する法律(令和5年法律第3号)附則第1条第7号の規定の施行期日も、政令第116号により令和8年5月21日と定められました。 いずれも令和5年改正法のうち未施行部分の施行期日を今回確定したものです。

省令(本号公布分)の具体化内容

企業価値担保登記規則(法務省令第25号)

企業価値担保登記規則が新設されました。 企業価値担保権(令和6年民法改正で導入された担保制度)の登記手続に関するルールを定めるものです。施行日については官報上の詳細確認が必要です。

介護保険法施行規則の一部改正(厚生労働省令第76号)

介護保険法施行規則の様式第一号の二の二(要介護認定関係の様式)を改正し、施行日は令和8年8月1日です。

  • 経過措置:施行時点で既に旧様式で使用されている書類は新様式によるものとみなす。旧様式の用紙は当分の間使用可能。

本紙(第1679号)の告示・具体化内容

令和8年度支出負担行為実施計画(財務省告示第100号)

財政法第34条の2第1項に基づき、令和8年度分の予算について、財務大臣の承認を要する経費を定める告示が、令和8年4月1日から適用として公布されました。 対象は、国土交通省の各種整備事業費、防衛省の艦船・航空機整備費、在日米軍提供施設移設整備費等、複数の所管・特別会計にわたる経費です。

指定再生医療等製品の追加(厚生労働省告示第179号)

ニバドストロセル(遺伝子治療製品)が、薬機法第68条の7第3項に規定する指定再生医療等製品(第12号)として新設追加されました。 令和8年4月3日付け、厚生労働大臣・上野賢一郎名義。

国際条約付表の改正(外務省告示第129〜131号)

本紙に麻薬・向精神薬関連の国際条約付表改正が告示されました。

  • 1961年麻薬単一条約付表ⅠにN-デスエチルイソトニタゼン等を追加(令和7年6月9日効力発生)
  • 向精神薬条約付表Ⅱ・Ⅳにヘキサヒドロカンナビノール(HHC)・カリソプロドール等を追加(令和7年12月6日効力発生)
  • 麻薬及び向精神薬不正取引防止条約付表Ⅰの一部改正(令和6年12月3日効力発生)

テロリスト関連告示(号外特第21号)

国際テロリスト資産凍結に関し、公告国際テロリスト(名簿記載者QI-311「ハミーダ・ナバガラ」)について、その他参考事項の日本語訳が整備・更新されました。

改正の全体像整理

  • 大枠(条約・政令):ILO155号条約批准で国際水準の職場安全衛生を義務化。危険物施設の空地規制特例拡大(脱炭素・蓄電池対応を後押し)。地方税・所得税改正の一部が5月21日に施行。
  • 具体化(省令・告示):企業価値担保制度の登記実務ルールを新設。介護認定様式を8月1日に更新。再生医療製品リストにニバドストロセルを追加。

施行日・経過措置まとめ

項目内容
公布日令和8年4月3日(金)
ILO条約施行日官報では確認できない(別途外務省・労働省通達等で確定)
危険物政令(115号)施行日令和8年4月4日(公布翌日)
地方税・所得税施行期日令和8年5月21日
介護保険施行規則施行日令和8年8月1日
財務省告示(支出負担行為)適用日令和8年4月1日(遡及)
経過措置危険物政令:罰則は旧例適用。介護規則:旧様式は当分間使用可。
附則各政令・省令に有

影響を受ける主体

  • 全事業者・使用者:ILO155号条約批准により、職業安全衛生の国内政策整備・企業内措置の実施が強化される方向に。
  • 危険物施設の事業者(製造所・貯蔵所等):耐火塀設置等により空地縮小が可能になり、蓄電池設備の設置コスト削減につながる可能性あり。
  • 介護事業者・保険者:令和8年8月1日以降、要介護認定関係の様式変更への対応が必要。
  • 企業(担保設定者・登記実務者):企業価値担保登記規則の施行により、登記手続の具体的ルールが明確化。
  • 税務担当者・地方税課:地方税・所得税改正の残存部分が5月21日に一斉施行。
  • 国際機関・外務省:麻薬・向精神薬条約付表改正の国内適用が告示により確認。

よくある疑問(Q&A)

Q1. ILO155号条約を批准すると、企業は今すぐ何かしなければいけないの?
A. 条約そのものは国際法上の義務であり、直接的な罰則は国内法(労働安全衛生法等)によります。今後、政省令・通達・Q&A等で国内法の整合性確認が行われる見込みですが、既存の労安衛法体制を順守していれば、即座の追加対応を要求するものではありません。

Q2. 危険物施設の空地が縮小できるのはどんな場合?
A. 耐火構造の塀の設置その他の防火上有効な措置として「総務省令で定める措置」を講じた場合に限られます。省令(総務省令第60号)の具体的要件を確認してください。

Q3. 介護保険の様式変更は利用者にも影響する?
A. 様式第一号の二の二は主に行政手続上の書類です。利用者が直接記載する書類ではありませんが、事業者・保険者は8月1日以降は新様式への切替えが必要です。旧様式の用紙は当分の間使用可能です。

Q4. 企業価値担保登記規則はいつから使えるの?
A. 官報で施行日の具体的な記載を確認できませんでした。法務省の関連通達・法務局の運用開始告知を別途ご確認ください。

まとめ

令和8年4月3日の官報では、ILO職業安全衛生条約批准という国際的に重要な条約公布と、危険物施設の規制合理化(脱炭素・蓄電池対応)令和5年税制改正の5月21日施行企業価値担保登記ルールの整備など、幅広い分野にわたる法令が一度に公布されました。

ソース

出典:官報(令和8年4月3日付)

  • 号外第80号(政令第114〜116号、条約第2号、総務省令第59・60号、法務省令第25号、厚生労働省令第76号、各告示)
  • 第1679号(財務省告示第100号、厚生労働省告示第179号、外務省告示第127〜134号、その他告示)
  • 号外特第21号(国家公安委員会告示第15号、外務省告示第134号)

発行:内閣府/原稿作成:国立印刷局

本記事は官報に掲載(公布)された法令情報をもとに、編集・再構成して解説したものです。官報は一次情報ですが、制度改正の詳細な運用は今後の政省令・通達・Q&A等で補足される場合があります。最終確認は官報および所管官庁の公式情報をご参照ください。

タイトルとURLをコピーしました