ペロブスカイト・ダイオードが太陽電池とLEDで世界記録|発電効率26.7%と発光効率31%を両立

ペロブスカイト素材を使った単一デバイスが、太陽光発電効率26.7%とLED発光効率31%を同時に達成し、世界記録を更新しました。
この成果は2026年4月27日に発表されました。
つまり、これまで両立が難しかった太陽電池とLEDの性能を、ひとつのデバイスで高い水準まで引き上げたことになります。

この動きが重要な理由は明確です。
太陽電池は光を電気に変える技術であり、LEDは電気を光に変える技術です。
しかし、ペロブスカイト・ダイオードは、その二つの世界をつなぐ現実的な道を示しました。

さらに、今後の意味も大きいです。
この技術が広がれば、表示装置や照明の消費電力の考え方が変わる可能性があります。
ペロブスカイト・ダイオードは、発電と発光をまたぐ次世代デバイスとして注目を集めています。

太陽電池とLEDはなぜ両立が難しかったのか

従来、ペロブスカイト太陽電池ペロブスカイトLEDは、求める構造が大きく異なっていました。
そのため、同じ材料を使っても、最適な設計は一致しませんでした。
ここに長年の技術的な壁がありました。

実際に、ペロブスカイト太陽電池は、光を十分に吸収するため、約800ナノメートルの厚い層を必要としていました。
ナノメートルは非常に小さな長さの単位です。
一方で、LEDは光をうまく外へ出すため、50ナノメートルほどの薄膜が最適でした。

つまり、太陽電池では厚さが有利でした。
しかし、LEDでは薄さが有利でした。
この設計矛盾こそが、ペロブスカイト・ダイオード実用化の大きな障害でした。

研究チームが持ち込んだ新しい発想

この課題に対し、コロラド大学ボルダー校のMichael McGehee氏と、中国科学技術大学のJixian Xu氏のチームが新たな手法を示しました。
彼らは、静電的に自己組織化する多孔質アルミナナノ粒子(e-Al₂O₃)島を、ペロブスカイト層の中に埋め込みました。
こうした中、この構造が厚膜と発光性能の両立に道を開きました。

自己組織化とは、材料が外部から細かく並べ替えなくても、性質に従って自然に整う現象です。
また、多孔質とは小さな穴が多くある構造を指します。
そのため、このe-Al₂O₃島は、単なる添加物ではなく、光と電気の流れ方を調整する重要な役割を担いました。

e-Al₂O₃島はどう機能したのか

これらの島は、正負の表面電荷を持つ粒子で形成されました。
具体的には、Me-4PACzODA処理によって、その性質を持たせています。
一方で、電気が流れにくくなれば意味がありませんが、その問題も工夫で乗り越えました。

ペロブスカイトが島を貫通する構造をとることで、電気伝導は維持されました。
そのうえで、光はより効率よく外へ導き出されます。
つまり、発電に必要な厚みを保ちながら、LEDとしての光取り出し性能も高めたのです。

さらに重要なのは、粒子表面の分子が欠陥を不活性化した点です。
欠陥とは、材料内部や表面にある電子の無駄な逃げ道のような部分です。
これが減ると、光にも電気にも有利な状態をつくれます。

表面再結合速度の大幅低減が意味するもの

研究チームは、表面再結合速度を20.2cm/sから1.4cm/sへ低減しました。
再結合とは、電荷が途中で失われる現象です。
そのため、この数値低下はデバイス性能に直結する大きな改善です。

さらに、この改善はフォトンリサイクルの促進にもつながりました。
フォトンリサイクルとは、一度生まれた光を材料内で再利用し、再び有効な発光や発電へ結びつける現象です。
実際に、これが太陽電池とLEDの両方の性能向上を後押ししました。

ペロブスカイト・ダイオードでは、材料の欠陥対策が極めて重要です。
しかし、この研究では単に欠陥を減らすだけではありませんでした。
光の扱い方そのものを変えた点が、今回の画期性です。

太陽電池モードで達成した26.7%の世界記録

太陽電池モードでは、外部認定安定化変換効率26.7%を達成しました。
これは2024年5月から2025年2月にかけての世界記録
にあたります。
そのため、ペロブスカイト太陽電池分野でも極めて強いインパクトを持つ成果です。

安定化変換効率とは、単に一瞬だけ高い数値が出たのではなく、一定条件で安定して確認された発電効率です。
つまり、実用化を考えるうえで重要な指標です。
ペロブスカイト・ダイオードがこの水準に到達した意味は非常に大きいです。

一方で、研究の価値は発電効率だけではありません。
同じデバイスがLEDとしても高性能だったからです。
ここに今回の成果の本質があります。

LEDモードで31%の発光効率を達成

LEDモードでは、外部量子効率約31%を記録しました。
外部量子効率とは、投入した電気からどれだけ効率よく外部に光を出せるかを示す値です。
31%という数値は、LEDとしても世界記録級の成果です。

また、輝度は平坦制御デバイスの10倍に向上しました。
輝度は光の明るさを示します。
つまり、単に効率がよいだけでなく、目に見える明るさの面でも大幅な改善が確認されたのです。

こうした中、太陽電池とLEDの両方で高性能を示した点が注目されます。
従来はどちらか一方に寄せる設計が一般的でした。
しかし、このペロブスカイト・ダイオードは両立そのものを実証しました。

耐久性1200時間でも95%維持

性能だけでなく、耐久性も重要です。
このデバイスは、連続運転1200時間後でも初期効率の95%を維持しました。
一方で、制御デバイスは67%にとどまりました。

これは、長時間の使用に対する安定性でも優位性を示したことになります。
新材料の研究では高性能でも寿命が短い例が少なくありません。
そのため、この耐久性の結果は実用化を考えるうえで極めて重い意味を持ちます。

実際に、発電デバイスでも照明デバイスでも、長く安定して動くことが求められます。
ペロブスカイト・ダイオードは、その点でも前進を示しました。
性能と寿命の両方を押し上げたことが今回の核心です。

GaAsに次ぐ2例目という位置づけ

今回の成果は材料史の中でも重要です。
多結晶デバイスで26%超の太陽電池効率と30%超のLED効率を両立したのは、GaAsに次ぐ2例目とされています。
GaAsはガリウムヒ素で、高性能半導体材料として知られます。

つまり、ペロブスカイト・ダイオードは、従来は高性能材料の象徴だったGaAsに並ぶ領域へ近づいたことになります。
しかし、ペロブスカイトには別の強みがあります。
それが製造コストの低さと拡張しやすさです。

一方で、GaAsは高性能でも高価になりやすい材料です。
そのため、より安価に広い面積へ展開しやすいペロブスカイトが同等級の成果を示した意味は大きいです。
ここに産業面での期待が集まっています。

実用化で見えてくる新しい使い道

この技術は、待機中のディスプレイが周囲光を回収して消費電力を相殺する可能性を拓きます。
つまり、表示していない時間帯に周辺の光を活用し、無駄な電力消費を減らせるかもしれません。
これは電子機器の設計思想を変える可能性があります。

また、省エネ照明への応用も期待されます。
発電と発光の境界をまたぐデバイス設計が進めば、用途に応じた新しい製品群が生まれる余地があります。
さらに、同じ材料基盤で複数機能を持たせやすくなる可能性もあります。

こうした中、ペロブスカイト・ダイオードは単なる研究記録ではありません。
将来の表示装置、照明、エネルギー利用の考え方まで変える芽を持っています。
そのため、今回の成果は学術面だけでなく産業面でも注目されます。

論文掲載と今後の現実味

論文はJoule誌に掲載されました。
DOIは10.1016/j.joule.2026.102389です。
確認済み掲載という点も、成果の信頼性を支える重要な要素です。

また、ペロブスカイトの強みとして、製造コストの低さスケーラビリティが挙げられます。
スケーラビリティとは、研究室レベルの成果を大きな面積や大量生産へ広げやすい性質です。
そのため、量産や応用展開を見据えた材料として高い期待が続いています。

しかし、実用化には量産工程の安定性や長期信頼性の検証が欠かせません。
一方で、今回の成果は、その入口を大きく押し広げました。
ペロブスカイト・ダイオードは、太陽電池とLEDを分けて考える時代に新しい問いを投げかけています。

二つの世界を繋いだ今回の意義

今回の最大の意義は、太陽電池とLEDの設計矛盾を解決する画期的なアプローチを示したことです。
厚い層が必要な太陽電池と、薄膜が有利なLEDは、本来は両立しにくい関係にありました。
しかし、この研究はそこに突破口を開きました。

実際に、e-Al₂O₃島の導入、欠陥の不活性化、光取り出しの改善、表面再結合速度の低下が連動しました。
その結果として、26.7%の太陽電池効率31%のLED効率が同時に現れました。
つまり、個別の改良ではなく、構造全体の統合設計が成功したのです。

さらに、耐久性でも優れた結果が示されました。
そのため、今回のペロブスカイト・ダイオードは、記録更新だけで終わらない成果です。
次世代エネルギー・光デバイスの基盤技術として、今後の展開が注目されます。

ソース

EurekAlert!
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