令和8年5月28日付の官報では、法律の公布は確認できず、号外第118号では重要電子計算機に関する報告命令とPMDA関係の省令改正が掲載されました。
本紙第1714号では、これを補う形で総務省告示第二百五号による特定実験試験局の使用可能周波数の範囲等や、環境省告示第二十八号による対応指針の文言修正、香川用水施設改築事業に関する事業実施計画の認可告示などが掲載されています。
今回の掲載事項のうち、制度運用面で注目されるのが、号外の内閣府・総務・法務・財務・厚生労働・農林水産・経済産業・国土交通省令第四号です。
これは、「特定重要電子計算機」について、何を届出対象とするか、どのような事象を報告対象とするか、いつまでに報告するかを定めた命令です。
施行日は令和8年10月1日です。
法令・省令(号外第118号)の改正ポイント
① 特定侵害事象等の報告等に関する命令
法令番号
内閣府・総務・法務・財務・厚生労働・農林水産・経済産業・国土交通省令第4号
正式名
重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律に基づく特別社会基盤事業者による特定侵害事象等の報告等に関する命令
公布日
令和8年5月28日
施行日
令和8年10月1日
この命令では、重要電子計算機の範囲、導入時の届出、変更時の届出、特定侵害事象等の報告について具体的に定めています。
わかりやすく言うと、重要な設備に関わる電子計算機について、対象機器の範囲、届出期限、報告すべき事象を整理したものです。
条文ごとの要点
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 第1条 | 重要電子計算機の範囲を具体化。ルーティング機器、ファイアウォール等、電磁的記録を一時保存する電子計算機、ネットワーク構成図や識別符号等を保存する電子計算機、アクセス制御機能を有する電子計算機、IPアドレスを割り当てられた電気通信設備である電子計算機などを列挙 |
| 第2条 | 届出義務。特定重要電子計算機を導入した日から4か月以内に、様式第一による届出書を提出 |
| 第3条 | 変更届出。変更の日から4か月以内に、様式第二による届出書を提出 |
| 第4条 | 特定侵害事象等の報告。一定の事象を認知した後、速やかに報告し、さらに認知日から30日以内に追加事項を記載した報告書を提出 |
| 附則 | 施行日は令和8年10月1日。経過措置あり |
届出対象に含まれるもの
第二条では、届出対象として、
アプライアンスに係るハードウェアと、
アプライアンス以外の特定重要電子計算機に組み込まれたオペレーティングシステム、ミドルウェア、アプリケーション
が挙げられています。
つまり、機器本体だけでなく、その上で動くOSやミドルウェア、アプリケーションも対象になります。
報告対象となる事象
第四条では、報告対象として、
不正な指令を与える電磁的記録を受信させる行為、
不正アクセスに関係する入力、
アクセス制御機能の制限を免れる情報や指令の入力、
識別符号の取得、
侵害事象やその痕跡が記録される事象
などを定めています。
重要なのは、特定侵害事象等を認知したら、まず速やかに報告し、その後30日以内に詳しい報告を追完する仕組みになっている点です。
経過措置
附則では、施行時点で現に導入されている特定重要設備に係る特定重要電子計算機について、届出期限の読替えに関する経過措置が置かれています。
施行の際現に導入されているもののうち、一定のものは、通常の「導入日から4か月以内」ではなく、施行日から6か月以内という扱いになります。
② 独立行政法人医薬品医療機器総合機構法施行規則の一部改正
法令番号
厚生労働省令第94号
正式名
独立行政法人医薬品医療機器総合機構法施行規則の一部を改正する省令
施行日
公布の日
今回の改正では、裁決の通知について、従来の裁決書謄本の送付による通知に加え、
通知を受けるべき者の所在が知れない場合その他裁決書の謄本を送付することができない場合には、公示の方法によって通知できる
ことが明記されました。
また、公示による通知については、
当該措置を開始した日の翌日から起算して2週間を経過した時に、裁決書の謄本の送付があったものとみなす
とされています。
要するに、相手方の所在不明などで通常の送付が難しい場合でも、一定の公示手続で通知を完了できるようにした改正です。
告示(号外第118号)
号外には、府令・省令のほかに「その他告示」も掲載されています。
目次および本文で確認できるのは次の3件です。
- 外務省告示第193号
紛失又は焼失の届出により失効した旅券の告示 - 文化庁告示第12号
平成31年文化庁告示第25号を改正する件 - 国土交通省告示第653号
鳥取空港の飛行場灯火について告示した事項に変更を加えた件
本紙の告示による具体化内容
① 総務省告示第二百五号で特定実験試験局の使用可能周波数等を新たに定める
法令番号
総務省告示第205号
施行日
令和8年7月1日
旧告示の扱い
令和7年総務省告示第178号は令和8年6月30日限りで廃止
この告示は、電波法施行規則第7条第5号に基づき、特定実験試験局として使用可能な周波数の範囲等を定めたものです。
官報1ページから5ページにかけて、各総合通信局管内ごとに、
使用可能な周波数帯、使用可能地域、使用可能期間、等価等方輻射電力、陸上限定・屋内限定などの条件
が表形式で整理されています。
主な周波数帯の例
| 周波数帯 | 使用可能地域の例 | 使用可能期間の例 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 72.54MHz〜72.66MHz | 九州・中国・東北総合通信局管内 | 令和9年6月30日まで | 50W以下、陸上限定 |
| 143MHz〜143.21MHz | 北海道・東北・信越・東海・北陸・九州・四国・中国・近畿の一部 | 令和9年〜令和13年6月30日まで | 出力条件や地域条件あり |
| 28.2GHz〜29.1GHz | 各総合通信局管内 | 令和9年6月30日まで | 任意の1MHz幅で316mW以下、屋内限定区域あり |
| 102GHz〜1100GHz | 各総合通信局管内 | 令和10年6月30日まで | 任意の1GHz幅で5000W以下、注記条件あり |
② 環境省告示第二十八号は組織名変更に伴う文言修正
法令番号
環境省告示第28号
適用日
公布の日
内容は、環境省組織令の一部を改正する政令の施行に伴い、
対応指針の表中の「廃棄物規制課」を「資源循環課」に改める
というものです。
制度の骨格を変える改正ではありませんが、所管部署名の変更を反映する告示です。
③ 香川用水施設改築事業の実施計画を認可
法令番号
国土交通省・経済産業省・農林水産省告示第2号
認可日
令和8年5月13日
内容は、独立行政法人水資源機構から認可申請のあった香川用水施設改築事業に関する事業実施計画を認可したというものです。
官報では、取水施設、幹線導水路、水路、調整池等の位置も示されています。
④ そのほか本紙で確認できる主な告示
本紙では、このほかにも、
高速自動車国道の供用開始に関する国土交通省告示第644号、
運輸審議会件名表に登載された件(同第645号)、
自動車の共通構造部の型式指定に関する同第646号〜第652号
などが掲載されています。
改正の全体像整理
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 号外(大枠) | 重要電子計算機に関する届出・報告ルールを定める命令を掲載 |
| 号外(省令) | PMDA関係の通知実務に関する省令改正を掲載 |
| 本紙(告示) | 特定実験試験局の使用可能周波数、地域、期間、出力条件を整理 |
| 本紙(告示) | 環境省所管の対応指針で課名変更を反映 |
| 本紙(告示) | 香川用水施設改築事業の事業実施計画認可を公示 |
| 本紙(その他) | 道路、運輸審議会、自動車型式指定などの告示を掲載 |
施行日・経過措置まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公布日 | 令和8年5月28日 |
| 重要電子計算機命令の施行日 | 令和8年10月1日 |
| PMDA省令の施行日 | 公布の日 |
| 総務省告示第205号の施行日 | 令和8年7月1日 |
| 総務省旧告示第178号の廃止 | 令和8年6月30日限り |
| 環境省告示第28号の適用日 | 公布の日 |
| 経過措置 | 施行時点で現に導入されている一定の特定重要電子計算機について届出期限の読替えあり |
| 附則 | 有 |
影響を受ける主体
特別社会基盤事業者として制度の対象になる事業者
特定重要電子計算機の洗い出し、届出体制、特定侵害事象等の報告体制を整える必要があります。
PMDA関係の審査申立て実務に関わる当事者
所在不明時などの通知手続に影響します。
特定実験試験局を運用する研究機関・事業者・大学等
令和8年7月1日以降の使用可能周波数や出力条件を確認する必要があります。
よくある疑問(Q&A)
Q1.今回は「法律の公布」でしたか。
いいえ。
今回確認できた号外第118号と本紙第1714号の範囲では、法律の公布は確認できませんでした。
中心は府令・省令・告示です。
Q2.特定侵害事象等を認知した場合は、すぐ報告が必要ですか。
はい。
命令では、特定侵害事象等の発生を認知した後、速やかに報告し、その後30日以内に詳細を追完する仕組みです。
Q3.届出対象は機器本体だけですか。
いいえ。
ハードウェアだけでなく、オペレーティングシステム、ミドルウェア、アプリケーションも対象に含まれます。
Q4.PMDAの省令改正では何が変わったのですか。
裁決書の謄本を通常どおり送れない場合に、公示による通知ができるようになりました。
また、公示開始の翌日から2週間経過で送付があったものとみなす仕組みが追加されました。
Q5.特定実験試験局の関係者は何を確認すべきですか。
令和8年7月1日以降の使用可能周波数、使用可能地域、使用可能期間、出力条件です。
従来の告示は令和8年6月30日限りで廃止されるため、新告示の条件を確認する必要があります。
まとめ
令和8年5月28日付官報の中心は、重要電子計算機に関する届出・報告ルールを定めた省令第四号と、PMDA関係の通知実務を見直した厚生労働省令第94号です。
号外では、対象となる電子計算機の範囲、届出期限、報告対象事象、速やかな報告と30日以内の追完という流れが具体化されました。
本紙では、特定実験試験局の使用可能周波数等を定める総務省告示第205号、環境省の課名修正告示、香川用水施設改築事業の認可告示などが掲載されました。
今回は、号外で制度ルールを示し、本紙で技術条件や文言修正、事業認可の告示が掲載された日と整理できます。
ソース
出典:官報発行サイト(令和8年5月28日付 号外第118号〔2分冊の1〕/第1714号)
本記事は官報に掲載(公布)された法令情報をもとに、編集・再構成して解説したものです。官報は一次情報ですが、制度改正の詳細な運用は今後の政省令・通達・Q&A等で補足される場合があります。最終確認は官報および所管官庁の公式情報をご参照ください。

