投稿日:2025年8月1日|カテゴリ:健康・医療・がん治療|出典:Cancer Discovery, dxbnewsnetwork.com, news-medical.net
がん治療中の「ゼロカロリー甘味料」に再考の余地
がん患者が免疫療法を受ける際、一般的に「健康的」とされるゼロカロリー飲料の選択が、実は治療効果を阻害しているかもしれません。
2025年7月30日に医学誌『Cancer Discovery』で発表された新たな研究によると、人工甘味料「スクラロース」(商品名:スプレンダ等)の高摂取が、進行性メラノーマおよび非小細胞肺がんに対する免疫療法の効果を大きく低下させることが明らかになりました。
ピッツバーグ大学らが臨床的証拠を提示
この研究を主導したのは、ピッツバーグ大学とUPMCヒルマンがんセンターの研究チーム。スクラロースががん治療に与える影響を初めて臨床的に裏付けた点で画期的とされています。
研究では、進行性メラノーマおよび非小細胞肺がんの患者132人を対象に、食事調査によって人工甘味料の摂取量を詳細に追跡しました。
腸内細菌が治療効果を左右する鍵に
研究の焦点となったのは、「腸内細菌叢の変化」。
スクラロースの摂取により、腸内のバランスが崩れ、アルギニンというT細胞機能に不可欠なアミノ酸を分解する細菌種が増加。その結果、免疫応答を担うT細胞の働きが妨げられ、免疫療法が効かなくなる可能性が示されました。
「スクラロースによりアルギニンが枯渇すると、T細胞が本来の機能を果たせなくなります」と、ピッツバーグ大学免疫学助教授で研究の筆頭著者アビー・オーバーエーカー氏は説明しています。
マウス実験でも同様の結果が確認される
人間の臨床調査と並行して行われたマウス実験では、スクラロースを摂取したマウスに抗PD-1抗体治療を行った結果、腫瘍の増大および生存率の低下が確認されました。
この結果は、スクラロースの摂取が免疫療法の効果を実際に阻害する可能性があることをさらに裏付けています。
アルギニン補給で効果が回復? 希望の可能性
しかしながら、研究チームは明るい兆しも報告しています。
スクラロースを与えられたマウスに、アルギニンまたはシトルリン(体内でアルギニンに変換されるアミノ酸)を補給したところ、免疫療法の効果が完全に回復したというのです。
「がん患者はすでに多くのことに対処しているため、『ダイエットソーダをやめなさい』と言うのは簡単ではありません。だからこそ、アルギニン補給という介入法が期待されるのです」とOveracre氏は述べています。
今後の展望:臨床試験と他の甘味料の検証へ
研究チームは今後、高スクラロース摂取者へのアルギニンまたはシトルリン補給の臨床試験を計画中。また、アスパルテーム、サッカリン、ステビアなど他の人工甘味料の影響についても調査を進める方針です。
まとめ:食事とがん治療の新たな接点
今回の研究は、免疫療法というがん治療の柱に対し、日常的な食習慣が深く影響を及ぼす可能性を示しました。
がん患者や医療従事者にとっては、人工甘味料の摂取を見直す新たな指針となり得る重要な発見です。今後の追加研究・臨床試験の結果が注目されます。


