米系金融大手のプルデンシャル・ファイナンシャルは、日本国内における生命保険の新規販売を90日間、自主的に停止すると発表しました。停止期間は2026年2月9日からで、長年にわたる従業員の不正行為が明らかになったことを受けた対応です。
今回の不正行為は、30年以上にわたり約31億4,000万円(約2,000万ドル)相当の顧客被害を生じさせたとされ、生命保険業界に大きな衝撃を与えています。販売停止という異例の措置は、信頼回復と抜本的な組織改革を進めるための時間を確保する狙いがあります。
内部調査で100人超の不正が判明
プルデンシャル生命保険は、現職および元従業員100人以上による不正行為が確認されたとしています。内部調査の結果、不正の内容は多岐にわたっていました。
具体的には、
顧客に対する不適切な投資勧誘を通じた資金受領、
顧客からの個人的な金銭借り入れ、
暗号資産など、会社と無関係な金融商品の販売
といった行為が確認されています。
影響を受けた顧客は約500人に上り、同社は返金対応を行うため、独立した補償プログラムを設置しています。
経営トップ交代とガバナンス改革
この問題を受け、前CEOの馬原完氏は2026年2月1日付で退任しました。後任には、プルデンシャル・ジブラルタ・ファイナンシャル生命保険の社長兼CEOを務め、20年以上の業界経験を持つ徳丸博光氏が就任しています。
徳丸氏は声明で、
「お客様や関係者の皆様に多大なご心配をおかけしていることを心よりお詫び申し上げます」
と述べた上で、
「新規販売の自主停止は、信頼回復と必要な改革を導入するために不可欠な判断です」
と説明しました。
不正の背景にあった組織的課題
不正行為は、2024年8月に開始された「契約者確認」調査によって表面化しました。この調査では、数百万人の契約者に直接連絡を行い、取引実態を確認しています。
その結果、単発の不正ではなく、
営業担当者による不適切な金融取引が長期間にわたり見過ごされていた組織文化
が存在していたことが明らかになりました。
経営幹部は、手数料収入に大きく依存する報酬制度が、過度な利益追求を助長したことを認めています。馬原氏は記者会見で、
「お金を稼ぐことへの過剰な欲望を持つ人材を引き寄せてしまった」
と語り、リスク管理が十分ではなかった点を反省しました。
毎日新聞の報道によると、不正行為は1991年から2025年まで続き、約23億円が未回収のままとなっています。
今後の対応と顧客への影響
プルデンシャル・ファイナンシャルのCEOであるアンディ・サリバン氏は、
「コンプライアンス、業務運営、ガバナンスの課題に対し、断固とした対応を取る」
と強調しています。
同社は、
「既存の保険契約や現在の顧客サービスは、販売停止期間中も通常どおり継続される」
と説明しており、保障内容や給付への直接的な影響はないとしています。
約40年にわたり日本市場で事業を展開してきたプルデンシャルにとって、今回の問題は経営の根幹を揺るがす事態です。販売停止期間中に、どこまで信頼回復と体制刷新を進められるかが、今後の日本事業の行方を左右することになりそうです。
ソース
・Reuters
・Channel NewsAsia
・Yahoo Finance(シンガポール版/米国版)
・Insurance Journal
・毎日新聞

