旧統一教会の元幹部らが新団体設立を検討 解散命令後も宗教活動継続へ

東京高裁が世界平和統一家庭連合、いわゆる旧統一教会に解散命令を出してから、約1カ月が経過しました。
こうした中、2026年4月2日、FNNプライムオンラインとTBS NEWS DIGの独自取材により、旧統一教会の元幹部らが新たな団体の設立を検討していることが明らかになりました。

この動きは、被害者救済の観点から大きな波紋を広げています。
つまり、解散命令が出たあとも、別の形で宗教活動が続く可能性が浮上したことになります。

解散命令に至るまでの経緯

旧統一教会をめぐっては、長年にわたり、信者やその家族に対して、生活の維持に支障が生じるような高額な献金を強く求める問題が社会的な批判を集めてきました。
そのため、文部科学省は2023年10月に解散命令を請求しました。

その後、東京地裁が請求を認めました。
しかし、教団側は即時抗告し、東京高裁は2026年3月4日、1審に続いて解散を命じる決定を出しました。

高裁は、信者らが不法行為にあたる献金勧誘などを行い、全国の被害者に多大な損害を与えたと認定しました。
さらに、「不法行為を防止するための実効性のある手段は、解散命令以外に見当たらない」と判断しました。

この決定により、民法上の不法行為を理由とした宗教法人の解散命令としては、日本で初めてのケースとなりました。
実際に、この判断は宗教法人制度と被害者救済の両面で大きな節目と受け止められています。

清算手続きはいまどうなっているのか

解散命令の効力は、高裁決定と同時に発生しました。
そのため、教団は直ちに宗教法人格を失いました。

東京地裁は、清算人に伊藤尚弁護士(第一東京弁護士会)を選任しました。
現在は、この清算人が教団の財産の管理や処分を担っています。

伊藤清算人は、清算手続きには年単位の期間がかかる見通しを示しています。
一方で、現時点では、教団の礼拝施設や銀行口座は使用できない状態にあります。

そのため、組織的な宗教活動や献金の受け取りはできなくなっています。
つまり、宗教法人としての旧統一教会は、従来の運営形態を維持できない状況です。

2024年度時点での教団の総資産は、約1,040億円とされています。
また、2025年3月時点の現金・預金は668億円とされています。

今後は、こうした財産が被害者への賠償に充てられることになります。
さらに、どの範囲まで賠償に回せるのかが大きな焦点になります。

元幹部らが検討する新団体の中身

こうした状況の中、旧統一教会の元幹部らは、新たな団体を設立し、組織的な宗教活動を継続する方針を固めたことが、複数のメディアによる教団関係者への取材で明らかになりました。
これは、解散命令後の教団の動きを考えるうえで極めて重要です。

新団体について、現時点で判明している主な内容は以下の通りです。

  • 同じ教義のもとで宗教活動を続ける
  • 信者の集会は信者個人の自宅などで開く
  • 献金も受け付ける方針で、新団体が資金の受け皿や管理役を担う
  • 設立時期は未定
  • 元幹部は「問題とされるような献金の受け取りがないよう配慮する」としている

一方で、団体の名称や具体的な設立手続きはまだ明らかになっていません。
しかし、同じ教義のもとで活動を続ける方針は、実質的な継続性を強く印象づけます。

献金の受け皿になる懸念

今回の動きで最も懸念されているのが、新団体が献金の受け皿になる点です。
高裁が解散命令を出した根拠は、不当な高額献金による不法行為でした。

そのため、新団体が形を変えて同様の献金活動を続けるなら、解散命令の趣旨が骨抜きになるおそれがあります。
つまり、法人格を失っても、実態が変わらなければ被害防止につながりにくくなります。

被害対策弁護団は、潜在的な被害者は膨大にいると指摘しています。
また、現在も弁護団は約86億円の損害賠償を求めて集団訴訟を起こしています。

さらに、日本弁護士連合会も3月4日の解散命令確定を受けて会長談話を発表しました。
その中で、清算手続きの適正な実施と被害者への賠償を強く求めています。

残った財産はどこへ向かうのか

さらに注目されているのが、清算後に残る財産、いわゆる残余財産の行方です。
残余財産とは、清算を終えたあとになお残る財産を指します。

旧統一教会は過去に、清算終了後の残余財産を北海道帯広市の宗教法人「天地正教」に移転することを決議していたことが判明しています。
この点は、今後の法的な争点としても重みがあります。

天地正教は、旧統一教会との関係が深い宗教法人とされています。
また、解散命令決定書でも、財産移転先としてその名前が挙がっています。

そのため、宗教法人の解散制度の趣旨に反する可能性があるとして、弁護士や市民団体から強い懸念の声が上がっています。
実際に、被害者救済に回るべき財産が別の宗教法人へ流れるのではないか、という疑念が広がっています。

信者の間に広がる複雑な思い

解散命令が出ても、個人の信仰そのものは憲法上保障されています。
そのため、多くの信者は自宅などで礼拝を続けています。

信者からは、複雑な心境が伝わってきます。
一方で、これまでのように集団で活動できなくなったことへの苦しさもにじみます。

「自分のお家で(礼拝を)やるとか、そういうことしかできなくなってしまったのは非常に辛いですね」(男性信者)

「今までみんなで一緒にやれたものがやれないっていうのが、すごく悔しいし、なんでこんな仕打ちを受けなきゃならないのか」(女性信者)

こうした声は、解散命令が信者側にも大きな影響を与えていることを示しています。
しかし、被害者側の受け止めはこれとは大きく異なります。

被害者からは、解散命令を歓迎する声も多く上がっています。
また、「弁護団として1人でも多くの被害者の救済を目指す」とのコメントも出ています。

今後の焦点は三つある

今後の注目点を整理すると、主に三つの論点が挙げられます。
これらは、旧統一教会問題がまだ終わっていないことをはっきり示しています。

まず一つ目は、新団体の設立時期と実態です。
同じ教義と同じ幹部によって運営される新団体が、実質的に旧統一教会の後継組織となるのかが問われます。

二つ目は、清算手続きの進行と被害者への賠償額です。
1,040億円の資産が、どこまで被害者救済に活用されるのかが重要になります。

さらに、清算手続きは年単位の長期化が見込まれています。
そのため、被害者救済の実効性をどう確保するかも課題になります。

三つ目は、残余財産の移転問題です。
「天地正教」への財産移転を阻止する法的、行政的な措置が講じられるのかが焦点になります。

解散命令のあとも問題は終わらない

旧統一教会問題は、解散命令が出たことで終結したわけではありません。
むしろ、ここから先の清算と被害者救済、そして新団体の動向が新たな局面になります。

一方で、信仰の自由という憲法上の保障もあります。
そのため、被害防止と宗教活動の自由をどう両立させるかが、今後の大きな社会的課題になります。

つまり、この問題は単なる一宗教法人の解散にとどまりません。
被害者救済の実効性、宗教法人制度のあり方、そして法の限界まで問うテーマとして、今後も議論が続くことになります。

ソース

FNNプライムオンライン(2026年4月2日)
TBS NEWS DIG(2026年4月2日)
神戸新聞(2026年4月2日)
読売新聞(2026年3月4日)
毎日新聞(2026年3月4日)
Yahoo!ニュース(2026年4月2日)

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