SoftBankのリチウムフリー電池開発とは AIデータセンター向け新戦略を解説

ソフトバンクグループは、韓国スタートアップのCosmos Labと提携し、リチウムやコバルトを使わない亜鉛ハロゲン化物電池の商用化を進めています。

この電池は、亜鉛と臭素を使う亜鉛-臭素水系電池です。
水系とは、水を使った電解液の仕組みです。
そのため、不燃性で安全性が高い点が大きな特徴です。

AIデータセンターは、人工知能の計算を大量にこなす施設です。
一方で、消費電力が非常に大きいという課題があります。
こうした中、SoftBankは新しい電池技術で対応を急いでいます。

リチウムイオン電池とは異なる新しい選択肢

従来のリチウムイオン電池は、広く使われてきました。
しかし、価格変動が激しく、供給リスクが高いという弱点があります。
また、用途によっては安全対策の重さも課題になります。

一方で、Cosmos Labの電池は水系電解液を使います。
つまり、火が出にくく、火災リスクが極めて低い不燃性を実現します。
AIデータセンターのような大電力設備では、この点が重要です。

さらに、この電池はリチウムやコバルトを使いません。
そのため、資源価格の乱高下や調達不安への備えにもつながります。
実際に、電池の素材戦略そのものを見直す動きとして注目されています。

Cosmos Labの技術と性能

Cosmos Labは、韓国・大田に拠点を置く企業です。
同社は2021年創業です。
また、次世代蓄電池の商用化を進めています。

この電池は、4,000サイクル以上の長寿命を特徴とします。
サイクルとは、充電と放電を繰り返す回数です。
長く使えるほど、設備全体の運用負担を抑えやすくなります。

さらに、高出力性能も備えています。
高出力とは、短時間に大きな電力を出せる性質です。
そのため、AIデータセンターのような負荷変動への対応力が期待されます。

堺工場跡地で始まる生産計画

生産は大阪府堺市の堺工場跡地で、2027年度に始まる予定です。
初期段階では、同サイトのAIデータセンターに供給します。
つまり、製造と利用を近い場所で結びつける形です。

この計画では、段階的な拡大も見込んでいます。
年間生産能力は2030年までに1GWh規模へ拡大する計画です。
GWhは、電力をためる規模を示す単位です。

また、堺の拠点は単なる工場ではありません。
一方で、AIインフラを支える重要拠点としての意味も持ちます。
こうした中、電池とデータセンターを一体で整備する動きが進みます。

AI時代を見据えた垂直統合の構図

SoftBankは、AI時代に向けて広い領域を押さえています。
Arm、Graphcore、Ampere Computingのチップ設計を掌握しています。
チップ設計は、AI計算の土台となる半導体の設計分野です。

また、米オハイオ州Lordstownでは、モジュール型データセンターを製造しています。
モジュール型とは、部品のように組み合わせて設置する方式です。
そのため、短期間で拡張しやすい利点があります。

さらに、SB Energyでは3GW超の太陽光発電を展開しています。
発電、半導体、データセンターに加え、今回の電池生産が入ります。
つまり、この電池生産はエネルギー貯蔵の最終ピースを埋める動きです。

Stargateプロジェクトと堺サイトの意味

SoftBankは、Stargateプロジェクトにも関わっています。
これは、OpenAI、Oracleと5000億ドル規模で進める計画です。
AI向けの大規模インフラ整備を目指す取り組みです。

このプロジェクトでは、GPU10万基級のインフラ構築を進めています。
GPUは、AIの学習や推論で使う演算装置です。
実際に、AI開発の速度と規模を左右する中核設備です。

こうした中、堺サイトは国内有数の大規模AIデータセンターになります。
一方で、大規模化すればするほど電力の安定供給が重要になります。
そのため、リチウムフリー電池の導入は戦略上の意味を強めています。

資金調達と事業化への本気度

SoftBankは大きな資金を動かしながら、この構想を進めています。
総債務は約1350億ドルです。
そのうえで、投資を止めずに新分野へ踏み込みます。

4月には3.56億ドルの外債と4180億円の社債を発行しました。
クーポン率は4.97%です。
これは資金調達に一定のコストをかけても、成長投資を優先する姿勢を示します。

さらに、今月中旬の中期経営計画で電池事業を新成長分野に位置づけ、年商1000億円を目指します。
つまり、今回の取り組みは実験段階にとどまりません。
実際に、収益事業として育てる前提で進めています。

リチウムフリー電池が持つ今後の重み

AIデータセンターの増設は今後も続く見通しです。
しかし、電力需要の急増はインフラ全体に重圧をかけます。
そのため、蓄電技術の選択は経営課題そのものになります。

一方で、リチウムやコバルトに依存しない電池は、調達面でも意味を持ちます。
また、不燃性という特性は、設置場所や運用設計にも影響します。
つまり、安全性、供給安定性、拡張性を同時に狙う技術だといえます。

SoftBankは、発電、半導体、データセンター、そして蓄電までを押さえようとしています。
さらに、堺での生産開始と1GWhへの拡大計画も示しました。
こうした中、AI時代の基盤を自前でそろえる垂直統合戦略が鮮明になっています。

ソース

日本経済新聞
SBBIT
Lartnec
Yahoo!ニュース
AI Vmtch
Pulse(Maeil Business News Korea)
SoftBank Group プレスリリース
The Japan Times

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