二酸化炭素・水素・酸素から生まれる革新的な食品

世界初の商業利用可能な「空気由来バター」誕生
カリフォルニア拠点のバイオテクノロジースタートアップ Savor社 が、二酸化炭素・水素・酸素のみから作られた世界初の商業利用可能なバターを正式発売しました。
この画期的な製品は、従来の農業や畜産業を必要とせずに製造されるもので、マイクロソフト共同創設者 ビル・ゲイツ氏 が Breakthrough Energy Ventures ファンドを通じて支援しています。
Savorは3年間の開発を経て、動物性・植物性原料を一切使用しないバターの商業販売を実現しました。
製造方法と技術的背景
Savor社のバターは、空気中から捕獲した二酸化炭素、水からの水素、そして酸素を原料とし、これらを乳製品バターに含まれる脂肪分子と化学的に同一の形へ変換します。
独自の熱化学プロセスにより、制御された温度・圧力条件下でガスを加熱し、脂肪酸を生成。その後、グリセロールと結合させてトリグリセリドを形成します。
この手法により、動物由来でも植物由来でもない、全く新しいカテゴリーの脂質が誕生しました。
初の商用展開と提携レストラン
Savorはすでに著名な飲食店と提携しており、ミシュラン星付きレストラン「SingleThread」や「ONE65」、カリフォルニアの「Jane the Bakery」などが初期顧客として名を連ねます。
過去1年間、ベイエリアの料理パートナーと共に製品テストを進め、ミシュラン三つ星「Atelier Crenn」のペストリーシェフ Juan Contreras氏 は、この炭素ベースバターを使って古典的なブリオッシュレシピを再構築しました。
環境負荷削減の主張
Savor社は、自社のバターが従来のバターと比べて
- CO₂排出量:カロリーあたり0.8g未満(従来は2.4g)
- 水使用量:従来農業の1/1000未満
であると説明しています。
ゲイツ氏は自身のブログで試食体験を紹介し、「本物のバターではないと信じられなかった」とコメントしました。
生産体制と安全性
同社はイリノイ州バタビアに2万5,000平方フィートのパイロット生産施設を開設し、年間で数メトリックトン規模の脂肪生産を可能にしました。
また、米国食品医薬品局(FDA) により自己確認で「一般的に安全と認められる(GRAS)」ステータスを取得し、米国内での合法販売が可能となっています。今後、正式な「異議なし」レターの取得も予定しています。
市場投入スケジュールと今後の展望
- 2025年:一部レストランへの供給開始
- 2025年ホリデーシーズン:炭素ベースバターを使用したチョコレート発売予定
- 2027年頃:一般消費者向けに広範な市場投入予定
CEOの キャスリーン・アレクサンダー氏 はCBSニュースの取材に対し、「今後10年以内にパーム油やその他広く使われる油脂を代替する立場に立つ」と述べました。
これまでに同社は3,300万ドルを調達しており、2022年にはゲイツ氏のファンド主導で1,000万ドルのシード資金を獲得。2025年後半にはシリーズB資金調達に入る予定です。

