— 太陽放射線が飛行制御システムに影響、世界で6000機が緊急対応**
欧州の航空機メーカー大手エアバスの最高経営責任者(CEO)、ギヨム・フォーリ氏は11月29日、A320シリーズに発生した飛行制御システムの不具合について正式に謝罪しました。
この問題は太陽放射線の影響で電子機器に誤作動が起きる可能性が指摘されたもので、世界で約6000機に影響が及ぶ「エアバス史上最大規模の緊急対応」とされます。
フォーリ氏はLinkedInで
「影響を受けている航空会社と乗客の皆さまに心からおわびする。エアバスにとって安全以上に重要なものはない」
と述べ、技術チームが24時間体制で対処に当たっていると説明しました。
■ 発端となった急降下トラブル
この問題が顕在化したのは10月30日。
ジェットブルー航空のカンクン発ニューアーク行き1230便が巡航中、高度約3万5000フィートで突然機体の機首が下がり、わずか7秒間で約100フィート(約30メートル)急降下しました。
この急激な挙動で乗客15人〜20人が負傷し、機体はフロリダ州タンパへ緊急着陸。
原因調査の結果、A320シリーズの飛行制御を担う
ELAC(昇降舵・補助翼コンピューター)
が、強力な太陽放射線によって内部データの一部が破損した可能性が高いことが判明しました。
■ 太陽フレアと放射線が航空機に与えるリスク
現在、太陽は11年周期の“活動極大期”に向かっており、2025年はピークを迎える時期とされています。
この期間は、
- 太陽フレア
- コロナ質量放出(CME)
- 荷電粒子の増加
などが起こりやすく、地球周辺の宇宙空間でも強い放射線が観測されます。
航空機は2万8000フィート以上の高度で飛行するため、地上よりも放射線の影響を受けやすく、電子制御システムの一部が誤作動するケースが懸念されます。
今回のA320問題は、宇宙天気が航空安全に直接影響した稀有な事例として注目されています。
■ 世界6000機が緊急改修へ
欧州航空安全機関(EASA)は28日、緊急耐空性改善命令(AD)を発出。
対象となるA319、A320、A321について、
次のフライト前にソフトウェア修正
または
必要機体はハードウェア交換
を義務付けました。
● 各社の対応状況
- アメリカン航空、デルタ航空、エア・インディア
→ 改修作業はほぼ完了 - ANA(全日本空輸)
→ 29日に国内線95便を欠航、約1万3200人に影響
→ 30日も6便欠航見込み - ピーチ・アビエーション、ジェットスター・ジャパン
→ 29日昼までに整備完了し欠航なし - JAL(日本航空)
→ 対象機なし、影響なし
● 作業内容
- ソフトウェアのロールバック(以前の安定版に戻す作業)
→ 1機あたり2〜3時間程度 - ハードウェア交換が必要な機体(約1000機)
→ 数週間の整備が必要
A320シリーズはエアバスの主力機で、世界で最も普及している旅客機の一つです。
そのため今回の問題は、航空各社の運航スケジュールに広範な影響を与えています。
■ エアバスCEO「安全が最優先」
フォーリCEOは、謝罪と同時に
「安全こそ最優先であり、問題解決のため全力で取り組む」
と強調。
航空会社は安全確保のため即時対応が求められ、世界規模で整備スタッフが急ピッチで作業を進めています。
今後は太陽活動のピークを迎える2025年に向け、航空業界における宇宙放射線耐性の強化が改めて課題となります。
■ ソース
usatoday
abcnews
NDTV
AeroTime
People
EASA

