円急伸で日米が通貨政策協調を表明|160円目前の円安に強い警戒感

米国側の異例の行動が引き金に

1月23日金曜日、円は対米ドルで2カ月以上ぶりの高値まで急上昇しました。
それまで円は、1ドル=160円に迫る水準まで下落しており、市場では「危険な円安水準」と受け止められていました。

このタイミングで、ニューヨーク連邦準備銀行が異例の「レートチェック」を実施しました。
これが、市場の流れを大きく変えるきっかけとなりました。

市場関係者の間では、
日米当局が急激な円安を止めるため、協調行動を意識し始めたのではないか
という見方が一気に広がりました。

レートチェックとは何か

なぜ市場が強く反応したのか

レートチェックとは、FRBの関係者が金融機関に連絡し、
現在のドル円取引の水準を確認する行為です。

一見すると単なる確認作業ですが、
実際には「相場を注視している」という強いメッセージになります。

ロイターが伝えたところによると、
今回のレートチェックは、米国財務省の代理として行われたとされています。

この動きの直後、ドル円相場は急反転しました。
金曜日には約157円だった相場が、一時155円近辺まで円高が進行しました。
さらに月曜日には、1ドル=153.89円まで円高が進み、11月以来の水準となりました。

日本政府が示した強い姿勢

投機的な円安を許さない

円の急伸を受け、日本政府もすぐに反応しました。

高市早苗首相は、
「投機的で極めて異常な市場の動きに対して、必要な措置を取る準備がある」
と明確に警告しました。

これは、
行き過ぎた円安が続けば、為替介入も選択肢になる
という強いメッセージです。

日米は水面下で連携

ただし具体策は明言せず

日本の通貨外交を担う三村淳財務官は、
日本は米国と為替問題について緊密に連携している
と説明しました。

ただし、今回のレートチェックについては、
直接的なコメントは控えています

火曜日のG7会合後には、
片山さつき財務大臣が、
「必要に応じて米国と緊密に調整しながら対応する」
と述べました。

ここから分かるのは、
日本は単独行動ではなく、国際協調を重視しているという点です。

市場関係者の見方

米国が動いた意味は大きい

ナティクシスのアジア太平洋担当チーフエコノミスト、
アリシア・ガルシア・エレーロ氏は、
「FRBの動きは予想外だったが、非常に効果的だった」
と評価しています。

これまで、急激な円安は「日本だけの問題」と見られがちでした。
そこに米国が関与する姿勢を示したこと自体が、市場にとって強い警告となりました。

実際の協調介入は簡単ではない

ただし、日米が本当に共同で為替介入する可能性は低いと、多くの専門家は見ています。

G7が円相場で協調介入を行ったのは、
2011年の東日本大震災後が最後です。
このときは、例外的な非常事態でした。

協調介入が難しい理由

JPMorgan日本法人のチーフ為替ストラテジスト、
田瀬淳也氏は、
「協調介入は金融危機や大災害のときに限られる」
と指摘しています。

さらに、次のような現実的な問題があります。

日本が本格的に円買い介入を続けるには、
米国債を売って資金を確保する必要があります。
これは、すでに不安定な米国債市場に影響を与えるため、
米国側が望まない対応とされています。

また、日本が為替介入を行う際には、
G7各国の理解が必要という国際的な慣例もあります。

個人投資家は円高に慎重

ポジションを大きく縮小

円高が進む中、
日本の個人投資家は円高に賭ける動きを弱めました

東京金融取引所のデータによると、
金曜日から火曜日までの3日間で、
ドル円の売り越しポジションを857億円減らしました

これは、2022年10月以来、最大規模の調整です。
個人投資家が、急激な相場変動に慎重になっていることが分かります。

FRBは為替に距離を置く姿勢

米連邦準備制度理事会は、
1月28日の会合で政策金利を3.5パーセントから3.75パーセントに据え置きました。

ジェローム・パウエル議長は、
「ドルの動向について議論しない」
と述べ、為替政策は財務省の管轄であると明言しました。

今回の円急伸が意味すること

今回の動きは、
日米が「行き過ぎた円安は容認しない」という姿勢を示した
という点に大きな意味があります。

実際に協調介入が行われるかどうかは別として、
市場に対する警告としては非常に強い効果があったと言えるでしょう。

ソース

・Reuters
・Bloomberg
・Japan Forward

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