日本における男女の賃金格差の縮小ペースが、過去20年以上で最も鈍い水準に落ち込んでいることが明らかになりました。共同通信が、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を基に分析した結果、2024年時点で男性を100とした場合の女性の賃金水準は75.8にとどまりました。
つまり、同じフルタイムで働いていても、女性の月額賃金は男性の約4分の3という状況が続いていることになります。
過去20年で最も遅い改善ペース
今回の分析で特に注目されたのは、直近5年間の改善幅がわずか1.5ポイントにとどまったという事実です。
過去の推移を振り返ると、
・1999年〜2004年:3.0ポイント改善
・2004年〜2009年:2.4ポイント改善
・2009年〜2014年:2.6ポイント改善
・2014年〜2019年:1.7ポイント改善
・2019年〜2024年:1.5ポイント改善
このように、改善幅は年々縮小傾向にあり、今回が過去20年以上で最も遅いペースとなりました。
男女ともに賃金自体は上昇しており、伸び率は1991年以来の高水準となっています。しかし、男女間の差そのものは依然として大きいのが現実です。
2024年の平均月額賃金は以下の通りです。
・男性:36万3100円
・女性:27万5300円
その差は約9万円に達しています。
なぜ格差が縮まらないのか
背景として指摘されているのが、管理職に占める女性の割合が伸び悩んでいることです。
賃金は役職と強く結びついています。管理職に就く割合が低いと、全体の平均賃金も上がりにくくなります。
帝国データバンクの2024年調査によると、女性管理職の割合は10.9%で、調査開始以来初めて1割を超えました。しかし、政府が掲げる30%という目標には遠く及んでいません。
1986年に男女雇用機会均等法が施行されてから、2026年4月で40年を迎えます。それでもなお、ジェンダー平等の実現には大きな課題が残されていることが浮き彫りになりました。
地域別にみると、格差はさらに顕著
都道府県別のデータを見ると、地域差もはっきりしています。
2024年に公表されたランキングでは、
・栃木県:女性賃金は男性の71.0%
・茨城県:72.1%
と、特に北関東で格差が大きい状況が確認されています。
また、管理職に占める女性割合では、
・愛知県:6.4%(ワースト1位)
岐阜、三重、静岡といった東海地方の県も下位に並んでおり、地域ごとの構造的課題が浮かび上がっています。
今後の制度変更と企業の対応
こうした状況を受け、政府は制度面での対応を進めています。
2026年4月から、従業員101人以上の企業に対し、男女間の賃金差異と女性管理職比率の開示が義務化される予定です。
これは、企業の取り組みを「見える化」することで、改善を促す狙いがあります。
単に平均賃金を比較するだけでなく、
・役職構成
・勤続年数
・昇進機会
・育児休業後の復職状況
といった要素も含めて、より踏み込んだ分析が求められる時代に入っています。
数字の裏にある現実
今回のデータは、単なる統計ではありません。そこには、
・働き方の選択肢
・家庭と仕事の両立支援
・昇進の機会
・無意識のバイアス
といった、社会全体の構造が反映されています。
男女賃金格差は、個人の努力だけでは解決できない問題です。企業の制度設計、社会保障、教育、そして文化的な意識改革まで、複合的な対応が求められます。
改善は確かに進んでいます。しかし、そのスピードは鈍化しています。40年の節目を前に、日本社会は改めて問い直されているのかもしれません。
ソース
共同通信
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
帝国データバンク調査
各紙報道(47NEWS、Yahoo!ニュース、地方紙)

