アレクセイ・ナワリヌイ氏とは誰か

アレクセイ・ナワリヌイ氏は、ロシアの反体制派指導者として知られています。
汚職追及や政権批判を続け、国内外で大きな注目を集めました。
2024年2月16日、北極圏の刑務所コロニーで死亡しました。
この死因をめぐり、国際社会で深刻な議論が続いています。
ヤドクガエル由来説に専門家が疑問

イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン、オランダの5か国は共同声明を発表しました。
それによれば、ナワリヌイ氏は南米のヤドクガエルに天然に含まれる神経毒「エピバチジン」で毒殺されたと主張しています。
エピバチジンとは、ヤドクガエルの皮膚に含まれる極めて強力な神経毒です。
神経毒とは、神経の働きを阻害し、呼吸停止などを引き起こす物質を指します。
しかし両生類生物学と毒物学の専門家らは、この説明に疑問を呈しました。
生きたカエルから致死量を抽出することは、事実上不可能だと指摘しています。
致死量には「膨大な数」のカエルが必要
コロンビアの保護センター「テソロス・デ・コロンビア」で取引許可を持つディレクター、イバン・ロザーノ氏はAFP通信に説明しました。
人間に致死量の毒を生成するには、体長約2〜3センチのカエルが膨大な数必要だと述べました。
彼は、それほど多くのカエルを集めることは「不可能」だと断言しました。
そして、致死性を持ち得るのは実験室で製造された合成版のみだと語りました。
飼育下では毒性を失うという指摘
イリノイ大学の研究者デビン・エドモンズ氏は、毒素の起源について説明しました。
ヤドクガエルの毒は、天然の昆虫食に由来するといいます。
アルカロイドとは、植物や動物に含まれる窒素を含む有機化合物の総称です。
ヤドクガエルの毒性も、このアルカロイドに由来します。
しかし飼育下では、通常ショウジョウバエを餌にします。
そのため、毒性は失われると述べました。
野生の個体も、同じ餌を与えると数か月以内に毒性を失うといいます。
つまり、生きたカエルから安定して毒を得ることは極めて難しいのです。
化学的合成は可能
リーズ大学の環境毒性学教授アラステア・ヘイ氏は、NBC Newsに説明しました。
エピバチジンの化学構造は既に知られていると述べました。
そのため、化学的に合成することは可能だと指摘しました。
わざわざ南米へ行く必要はないと述べています。
ここでいう「合成」とは、天然物を採取するのではなく、化学反応によって人工的に作り出す方法です。
近代化学では既知の構造を再現できます。
ロシアの合成能力を示す過去の論文
調査報道ジャーナリストらは、ロシアの国立有機化学技術研究所に注目しました。
正式名称はGosNIIOKhTです。
この研究所の科学者は2013年に論文を発表しました。
その中で、エピバチジンの製造方法を記述していました。
同研究所は、かつてノビチョク神経剤の開発に関与したとされます。
ノビチョクとは旧ソ連が開発した神経剤です。
現在、この研究所はEU、英国、米国の制裁対象です。
こうした背景が疑惑を強めています。
化学兵器専門家の見解
旧ソ連の科学者で化学兵器専門家のヴィル・ミルザヤノフ氏はDWに語りました。
この毒は合成されたものだと信じていると述べました。
南米から数キロ、あるいは100グラムを持ち込むことは想像しがたいと語りました。
つまり、天然抽出説は現実的ではないという立場です。
ロシア側は全面否定
ロシア政府はこの告発を拒否しました。
クレムリンの報道官は、告発は偏向的で根拠がないと述べました。
ロシア当局は、ナワリヌイ氏は自然死したと主張しています。
刑期19年を服役中でした。
英国政府は声明で強い表現を用いました。
飼育下のヤドクガエルはこの毒素を生成しないと指摘しました。
さらに、この毒素はロシアには自然には存在しないと述べました。
そして、無実の説明はあり得ないと強調しました。
争点は「天然か合成か」
今回の最大の争点は、毒が天然由来か合成かという点です。
専門家の多くは、合成毒の可能性が高いとみています。
一方で、ロシア側は全面否定を続けています。
事実関係をめぐる対立は解消していません。
今後、さらなる国際調査や証拠提示が焦点になります。
この問題は外交関係にも影響を与えています。
ソース
newyorker.com
philstar.com
ctvnews.ca
nbcnews.com
theins.ru
amp.dw.com
thehill.com
aljazeera.com
gov.uk

