令和8年4月28日付の官報では、号外第99号(3分冊の1)に、労働関係を含む複数の省令と法規的告示が掲載されました。
今回確認できた範囲では、特に重要なのは、派遣労働者・短時間労働者・有期雇用労働者に関する説明関係の明示、社会保険・労働保険分野の手続の電子化、そして労働安全衛生規則等の見直しです。
あわせて、本紙第1696号では、労働安全衛生規則の一部を改正する省令(厚生労働省令第86号)が掲載されました。
こちらは、産業医を選任したときだけでなく、辞任・解任・退任があった場合の報告も新たに求める内容です。施行日は令和8年8月1日です。
今回の記事では、号外=制度改正の大枠、本紙=実務上の具体的な報告ルールという順で整理します。
号外第99号で確認できる公布内容
今回確認できた号外第99号(3分冊の1)の目次では、主に次の省令が掲載されています。
- 総務省令第67号
電気通信事業報告規則の一部を改正する省令 - 厚生労働省令第87号
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則及び短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令 - 厚生労働省令第88号
社会保険審査官及び社会保険審査会法施行規則等の一部を改正する省令 - 厚生労働省令第89号
労働安全衛生規則等の一部を改正する省令
また、法規的告示として、派遣元事業主や派遣先の措置に関する指針の改正、短時間・有期雇用労働者対策基本方針なども掲載されています。
今回確認できた範囲では、法律の公布そのものより、省令と法規的告示の掲載が中心です。
号外第99号の主な省令改正ポイント
電気通信事業報告規則の見直し
総務省令第67号では、高速度データ伝送電気通信役務に係る回線数等状況報告の様式や注記が改められました。
FTTHアクセスサービス、携帯電話・PHSアクセスサービス、全国BWA、地域BWA、公衆無線LAN、衛星アクセスサービス、仮想移動電気通信サービスなどの報告様式が見直されています。
官報で確認できる主な変更点は、どの事業者名を記載するか、どの回線数を自らの回線数に含めるかについて、卸電気通信役務やキャリアアグリゲーション、衛星アクセスサービスなどを踏まえて整理していることです。
この省令の施行日は、附則で公布の日とされています。
派遣・短時間・有期雇用労働者への説明関係の明示
厚生労働省令第87号では、派遣労働者や短時間・有期雇用労働者に対して、説明を求めることができる旨を明示事項に追加しています。
官報では、労働者派遣法施行規則側で法第三十一条の二第四項の規定による説明を求めることができる旨、短時間・有期雇用労働者関係施行規則側で法第十四条第二項の規定による説明を求めることができる旨が加えられています。
これは、待遇や労働条件について、労働者が説明を求めることができることを、書面上でも分かりやすく示す改正です。
施行日は令和8年10月1日です。
社会保険・労働保険分野の手続電子化
厚生労働省令第88号では、社会保険審査官及び社会保険審査会法施行規則、労働者災害補償保険法施行規則、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則、雇用保険法施行規則、石綿による健康被害の救済に関する法律施行規則、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則など、複数の省令が一括で改正されています。
官報で確認できるのは、公示送達や通知、申請等の方法について、電子計算機や電子情報処理組織を用いる規定が整備されていることです。
たとえば、掲示場への掲示だけでなく、電子計算機の映像面表示やインターネットに接続された自動公衆送信装置を用いる方法が定められている条文があります。
また、医薬品医療機器等法施行規則の改正では、報告方法について、従前のFAX送信から電子情報処理組織を使用して送信する方法へ改める内容も確認できます。
施行日は、附則で令和8年5月21日とされています。
なお、条文ごとに経過措置も設けられています。
労働安全衛生規則等の見直し
厚生労働省令第89号では、労働安全衛生規則、労働基準法施行規則、有機溶剤中毒予防規則などが改正されています。
官報で確認できる主な内容は、健康診断項目の表記変更、血清クレアチニン検査の追加、定期健康診断項目の見直し、関係様式の改正です。
具体的には、雇入時健康診断や定期健康診断において、従前のGOT・GPT・γ-GTPに対応する表記が、AST・ALT・γ-GTへ改められています。
様式第八号及び様式第九号の表記変更も確認できます。
また、雇入時健康診断と定期健康診断の項目に、血清クレアチニン検査が追加されています。
さらに、定期健康診断の項目では、第四号が「胸部エックス線検査」となっており、従前の「胸部エックス線検査及び喀痰検査」から改められています。
施行日は令和9年4月1日です。
本紙第1696号の具体化内容
本紙第1696号で確認できる中心的な改正は、労働安全衛生規則の一部を改正する省令(厚生労働省令第86号)です。
これは号外第99号の厚生労働省令第89号とは別の省令で、産業医の選任・異動に関する報告ルールを具体的に見直しています。
まず、産業医を選任した場合の報告事項について、前任者がいる場合はその氏名と辞任、解任又は退任の年月日を報告事項として整理しています。
次に、より重要なのは、選任した産業医の辞任等があったときの報告義務が新設されたことです。官報では、事業者は、法第十三条第一項の規定により選任した産業医の辞任等があったときは、遅滞なく、電子情報処理組織を使用して、所轄労働基準監督署長に報告しなければならないとされています。
報告事項としては、後任者がまだいない場合でも、少なくとも辞任等があった産業医の氏名と辞任等の年月日などを報告する仕組みが整えられています。
後任者を選任した場合は、その選任報告で一部を代えることができる旨も定められています。
この省令の施行日は令和8年8月1日です。
附則では、当分の間、書面による報告もできる経過措置が設けられています。
改正の全体像整理
今回確認できた官報を整理すると、号外第99号では制度改正の大枠が示され、本紙第1696号では企業実務に直結する報告ルールが具体化されたと見ることができます。
号外第99号では、派遣・短時間・有期雇用労働者への説明関係の明示、社会保険・労働保険分野の手続電子化、健康診断項目の見直しが主なポイントです。
本紙第1696号では、それとは別に、産業医の辞任・解任・退任があった場合の報告という、事業者の実務に直接関係するルールが加えられました。
つまり、今回は、労働分野でみると、健康診断制度の見直しと産業医体制の把握強化が並んだ日と整理できます。
施行日・経過措置まとめ
号外第99号の施行日
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公布日 | 令和8年4月28日 |
| 総務省令第67号 | 公布の日施行 |
| 厚生労働省令第87号 | 令和8年10月1日施行 |
| 厚生労働省令第88号 | 令和8年5月21日施行 |
| 厚生労働省令第89号 | 令和9年4月1日施行 |
| 附則 | 有 |
本紙第1696号の施行日
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公布日 | 令和8年4月28日 |
| 厚生労働省令第86号 | 令和8年8月1日施行 |
| 経過措置 | 当分の間、書面による報告も可 |
| 附則 | 有 |
影響を受ける主体
企業の人事・労務担当者は、派遣労働者、短時間労働者、有期雇用労働者への説明関係の明示、健康診断項目の変更、産業医の異動報告などへの対応が必要になります。
社会保険・労働保険の実務担当者や社会保険労務士は、公示送達、通知、申請などの電子化に関する条文見直しを確認する必要があります。
通信事業者は、回線数等状況報告の様式や注記変更への対応が必要です。
よくある疑問(Q&A)
Q1.今回の官報で、一般の企業にとって重要なのはどこですか。
労働分野に限れば、健康診断項目の見直しと、産業医の辞任等報告の新設が重要です。
健康診断の様式や運用見直しだけでなく、産業医が辞めた場合の報告体制も整える必要があります。
Q2.血清クレアチニン検査は今回新たに加わったのですか。
官報では、雇入時健康診断や定期健康診断の項目に血清クレアチニン検査が追加されています。
Q3.産業医が辞めた場合は、いつから報告が必要ですか。
本紙第1696号の改正では、令和8年8月1日から、産業医の辞任等があった場合の報告が必要になります。附則では、当分の間、書面による報告も認められています。
Q4.今回、法律そのものの大改正が中心だったのですか。
今回確認できた号外第99号(3分冊の1)と本紙第1696号の範囲では、記事の主軸は省令と告示です。大きな法律公布を中心とする構成ではなく、実務ルールの見直しを整理する日といえます。
まとめ
令和8年4月28日付の官報では、今回確認できた範囲で、労働分野の実務に直結する改正が複数掲載されました。
号外第99号では、派遣・短時間・有期雇用労働者に対する説明関係の明示、社会保険・労働保険手続の電子化、健康診断項目の見直しが確認できます。
本紙第1696号では、産業医の辞任・解任・退任があった場合の報告義務が新たに整備されました。
企業にとっては、令和8年8月1日、10月1日、令和9年4月1日に向けて、報告体制や説明資料、健康診断の様式や社内運用を順次見直す必要があります。
静かな改正日に見えても、実務では見落とせない改正が並んでいます。
ソース
出典:官報発行サイト(令和8年4月28日付 号外第99号/第1696号)
本記事は官報に掲載(公布)された法令情報をもとに、編集・再構成して解説したものです。官報は一次情報ですが、制度改正の詳細な運用は今後の政省令・通達・Q&A等で補足される場合があります。最終確認は官報および所管官庁の公式情報をご参照ください。

