RFK Jr.、mRNAワクチン研究契約5億ドルを撤回 ― アメリカのワクチン政策に大転換

公開日:2025年8月6日
出典:fda.gov / CBS News / STAT News / Respiratory Therapy.com 他


mRNA研究契約の大規模中止を発表

保健長官のロバート・F・ケネディ・ジュニア氏は2025年8月6日(火)、mRNAワクチン開発のために締結されていた22件、総額約5億ドルにのぼる連邦契約を終了すると発表しました。
この決定は、COVID-19パンデミック以降、アメリカのワクチン政策における最も劇的な転換と見なされています。

中止の対象には、ファイザー、モデルナ、サノフィなど大手製薬企業が開発していたCOVID-19、季節性インフルエンザ、H5N1鳥インフルエンザなどの呼吸器ウイルス用mRNAワクチンプログラムが含まれます。

ケネディ氏は、「データはこれらのワクチンがCOVIDやインフルエンザなどの上気道感染症に対して効果的に保護できないことを示している」と主張。今後は、ウイルスの変異に左右されず、より安全で幅広いワクチンプラットフォームへの投資に切り替えるとしています。


科学界からは強い反発と懸念の声

この発表に対し、感染症専門家や公衆衛生当局は即座に強く反発しました。

  • ポール・オフィット博士(フィラデルフィア小児病院)
    「科学的証拠に基づかない決定で、この国を不必要なリスクにさらしている」とCBSニュースで批判。
  • マイケル・オスターホルム博士(ミネソタ大学)
    「公衆衛生準備の仕事に従事して50年間で見た中で最悪の決定の一つ」と指摘。
    「インフルエンザパンデミックが起きた場合、従来の卵ベース製法では18ヶ月で人口のわずか1/4分しかワクチンを製造できない」と警鐘。
  • リック・ブライト元BARDA長官
    「迅速なワクチン対応が必要な場面で、人命の喪失という深刻な代償をもたらす」と述べました。

実証されたmRNAワクチンの有効性

ケネディ氏の主張とは裏腹に、mRNAワクチンは呼吸器感染症に対して極めて高い有効性を示していることが、数多くの研究で証明されています。

  • COVID-19 mRNAワクチンは、感染予防で90%、重症化・入院・死亡に対しては90%以上の有効率を記録。
  • 変異株(例:デルタ株)に対しても、93〜96%の有効性を維持。

このmRNA技術は、トランプ政権のオペレーション・ワープスピードによって180億ドルを投じて開発され、通常7〜10年かかるワクチンをわずか11か月で実用化。多くの命を救ったと科学界では高く評価されています。


広がる政策改革とその波紋

mRNA研究費の削減は、ケネディ政権によるワクチン政策の大規模改革の一部に過ぎません。

CDC諮問委員の解任と交代

2025年6月には、CDCの予防接種実施諮問委員会の全17名を解任し、ワクチン研究の経験が乏しい8名を新たに任命。そのうち4名は、ワクチンに関する科学論文を一度も執筆していないことが判明しています。

これらの新メンバーは最近、チメロサール(防腐剤)を含むインフルエンザワクチンの使用に反対。安全性が実証され、現在でも微量しか使用されていない成分にもかかわらず、異論を唱えています。

研究助成金の停止と表現規制

さらに、国立衛生研究所(NIH)は、mRNAワクチン関連の表現を含む助成金申請を制限
2025年3月からは、研究者に対して「申請書からmRNAへの言及を削除するように」との指示が出されたと報告されています。


医療界が連邦訴訟で対抗

これに対し、米国小児科学会(AAP)や米国内科医師会(ACP)など6つの医療団体が連邦政府を提訴。7月には、以下のような主張を含む訴訟が提起されました。

  • 「これらの違法かつ一方的なワクチン政策変更は、我々の患者への適切な医療助言を妨げている」
  • 「医療ケアの基準を破壊する行為であり、ただちに停止すべきである」

訴訟では、ケネディ氏によるワクチン推奨の変更を停止し、専門的で科学的根拠に基づく助言プロセスの復元を求めています。


結語:分裂深まるワクチン政策の未来

RFK Jr.による今回の決定は、アメリカのパンデミック対応体制を根底から揺るがす可能性を秘めています。
一方で、mRNA技術の科学的信頼性や人命救助の実績を無視することは、今後の感染症対策に深刻な影響をもたらす懸念が広がっています。

今後、科学と政治のバランスがどのように保たれるかが問われる局面に突入しようとしています。

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