
― わずか1秒未満で突破される“脆弱性”の実態と、今日からできる防御策
日本人が日常的に利用しているパスワードの多くが、実はわずか1秒未満で解読されてしまう──。
セキュリティ企業「NordPass(ノードパス)」が2024年に公表した最新調査は、その深刻な現実を改めて浮き彫りにしました。
本記事では、調査結果をもとに 日本人のよく使うパスワードの傾向、危険性、被害事例、攻撃者の手法、そして安全なパスワードの作り方 に至るまで、専門的な内容を丁寧に解説します。
■ 日本人が最も使うパスワードTOP5
(2024年 NordPass調査)
| 順位 | パスワード | 解読時間 |
|---|---|---|
| 1位 | 123456789 | 1秒未満 |
| 2位 | password | 1秒未満 |
| 3位 | 12345678 | 1秒未満 |
| 4位 | 1qaz2wsx | 1秒未満 |
| 5位 | asdfghjk | 1秒未満 |
ランキングを見れば一目瞭然ですが、共通する特徴は「簡単すぎる」「推測しやすい」という点です。
◎ なぜ “1秒未満”で破られるのか?
その理由は、攻撃者が利用する「辞書攻撃(Dictionary Attack)」にあります。
この攻撃は、世界中で使われたパスワードや、キーボード配列の一般的パターンをまとめた辞書データを使って、自動的に高速でパスワードを試行するものです。
「123456789」や「password」は、“世界共通で最もよく使われるパスワード”であるため、攻撃者が 最初の数秒で試す候補 の中に必ず含まれてしまいます。
■ なぜ日本人は弱いパスワードを使い続けてしまうのか?
▼ 1. キーボード配列パターンの多さ
日本人のランキングに特に顕著なのは、
- asdfghjk
- 1qaz2wsx
など、キーボードの並びをそのままパスワード化したもの。
これらは見た目は“複雑に見える”かもしれませんが、攻撃者にとっては 真っ先に試す「定番パターン」 です。
▼ 2. 短くて覚えやすいものを好む文化
調査によれば、多くの日本人が
- 「忘れにくいもの」
- 「入力しやすいもの」
を選ぶ傾向が強いことが判明しています。
▼ 3. サービス間のパスワード使い回し
最も深刻なのがこれ。
なんと 約85%の人が同じパスワードを複数サービスで使い回している とされています。
1つのサービスから漏れた情報が、
→ メール
→ 銀行
→ ネットショッピング
→ SNS
と芋づる式に悪用される「認証情報の横展開攻撃」が発生します。
■ 攻撃者はどうやって突破するのか?
代表的な手口をわかりやすく解説
▼ ブルートフォース攻撃
考えうる全ての組み合わせを総当たりで試す方法。
現在の処理能力では、6〜8桁の単純な組み合わせは数秒で突破可能。
▼ 辞書攻撃
もっとも実践的な攻撃手法。
攻撃者は過去に流出した数億件規模のパスワード一覧を持っており、
「よくあるパスワードから順に試す」だけで成功する。
あなたのパスワードが
- 123456
- qwerty
- password
のような“定番”であれば…
攻撃者は 1秒以内に突破 できます。
▼ 認証情報の横展開(Credential Stuffing)
パスワード使い回しによって発生する被害。
1つの漏洩データを数百サービスで試すだけで、銀行口座にログインできるケースもある。
金融庁は2025年に「ネット証券への不正アクセス急増」を公表しており、実際に資産が勝手に売買される事例まで発生しています。
■ 安全なパスワードは「長さ」が最重要
NIST(米国標準技術研究所)の新ガイドラインでは、
複雑さより“長さ”が重要 と明言されています。
| 文字数 | 数字のみ | 英数字 | 英数字+記号 |
|---|---|---|---|
| 6文字 | 1秒 | 5秒 | 5秒 |
| 8文字 | 1秒 | 1時間 | 8時間 |
| 12文字 | 25秒 | 2,000年 | 34,000年 |
| 16文字 | 1時間 | 200億年 | 400兆年 |
12文字以上あれば、もはや一般的なコンピュータでは「解読不能」に近い強度になります。
■ 今日から実践できる“鉄壁のパスワード対策”
✔ 12文字以上、可能なら16文字以上
例:
MoriSakura!2025Tokyo
✔ サービスごとに異なるパスワード
絶対に“使い回し”はしない。
✔ パスワードマネージャーを使う
NordPass、1Password、Bitwarden など。
✔ 二段階認証(2FA)の導入
特に
- Gmailなどのメール
- 金融関連アプリ
は必須。
■ まとめ
日本人が使いがちなパスワードの多くは、
攻撃者から見れば「差し出された鍵」のようなもの です。
わずか1秒未満で破られるという現実は、
セキュリティ意識の改善が急務であることを示しています。
しかし、
- 12〜16文字の長いパスフレーズ
- サービスごとの個別設定
- パスワード管理アプリの活用
といった対策を実践すれば、セキュリティ強度は劇的に向上します。
今日から、あなた自身のデジタル資産を守る第一歩を踏み出してください。

