0歳から利用可能、12歳から引き出し可能──子育て世代の資産形成を後押しする新制度とは
政府・与党は、少額投資非課税制度(NISA)を18歳未満の未成年にも適用する新制度「こどもNISA」の創設に向けて本格的な調整を進めています。2026年度税制改正大綱への盛り込みを目指すもので、子育て世代の資産形成を支援する政策の柱のひとつとして位置づけられています。
今回の制度では、親が子ども名義で投資を行う仕組みが想定されており、0歳から運用を開始できる案が俎上に乗っています。また、子どもが12歳になれば資金を引き出せるようにする方向も検討されており、大学進学や留学、部活動費用など、将来のさまざまな資金需要に柔軟に対応できる設計が目指されています。
■ 制度検討の背景:「資産運用立国」への流れ
今回の動きの背後には、自民党の岸田文雄元首相が会長を務める 「資産運用立国議員連盟」 の提言があります。議連は11月20日、高市早苗首相に対し、以下の内容を含む政策提言を提出しました。
- つみたて投資枠の「18歳以上」という年齢制限の撤廃
- 全世代が資産形成に参加できる制度への転換
- 資産運用を国家戦略として推進する枠組みの整備
提言後、岸田氏は記者団に対し、「首相から非常に前向きに受け止めてもらった」と語り、制度創設への政治的後押しが強まっていることを示しました。
これに先立ち、金融庁は8月29日の2026年度税制改正要望において、こども家庭庁と共同で「つみたて投資枠の対象年齢見直し」を求めており、政府全体として若年層への投資参加を促す方針が明確化しています。
■ ジュニアNISA廃止の反省を踏まえた制度設計
「こどもNISA」は、2023年末に廃止された ジュニアNISAの反省を踏まえた制度 として注目されています。
● ジュニアNISAが普及しなかった理由
- 18歳まで引き出し不可という厳しい制限
- ライフイベントの早期資金需要に対応できなかった
- 制度の柔軟性不足
2023年3月時点の口座数は約99万口座で、一般NISA・つみたてNISAと比較すると利用者が少なく、制度設計の硬直さが課題として指摘されてきました。
● こどもNISAの暫定案
現時点で想定されている主な内容は以下の通りです。
- 年間投資枠:120万円
- 非課税保有限度額:1,800万円
- 12歳以降であれば引き出し可能(検討中)
- 0歳から運用開始可能(案)
さらに、経済格差拡大を防ぐ観点から、投資信託などの売却に一定の制限を設ける案も議論されています。制度優遇を利用した過度な短期売買や投機行動を抑制する意図があるとみられます。
■ 政策的意義:子育て支援 × 資産形成の新モデル
政府が「こどもNISA」に力を入れる背景には、2つの大きな政策課題があります。
● ① 子育て世代の経済的支援
教育費・習い事・受験・住宅費など、子育てにかかる費用は右肩上がりです。家庭の経済的負担を減らす施策として、税制優遇と資産運用支援を組み合わせる政策が注目されています。
● ② 日本全体の資産形成推進
日本は長年「預金中心」の金融文化が続いてきましたが、政府は成長投資を促進するために「貯蓄から投資へ」の流れを強めています。
こどもNISAは、若年層から投資文化に触れる機会を提供する役割も担います。
■ 年末に向け議論は大詰めへ
与党税制調査会は、年末に向けて議論を加速させ、12月中旬に公表予定の2026年度税制改正大綱に、こどもNISAの詳細を盛り込む方針です。
0歳から利用可能、12歳で引き出し可能という柔軟な制度が実現すれば、ジュニアNISAを超える普及が期待され、子育て世代の資産形成にとって重要な選択肢となるでしょう。
続報が入り次第、この記事も更新していきます。
■ ソース
- nikkei.com
- FNN(fnn.jp)
- 首相官邸(kantei.go.jp)

