近年、インターネット上での不正アクセス被害が後を絶ちません。特に金融機関や証券口座を狙った被害が目立つなか、注目を集めているのが、パスワードを使わずにログインできる新しい認証方式「パスキー」です。
本記事では、その仕組みと導入が進む背景、さらには利用時の注意点まで、初心者にもわかりやすく解説します。
パスキーとは? スマホで「顔認証」や「指紋認証」でログイン
「パスキー」は、スマートフォンの顔認証や指紋認証を使って、IDやパスワードを入力せずにネットサービスにログインできる次世代の認証技術です。
現在は、以下のような幅広いサービスで導入が始まっています:
- インターネットバンキング
- 証券口座
- クレジットカード会社のサイト
- ネットショッピング
- SNS・メールなどのITサービス
2025年に入ってからは、パスキーに対応するサイトが急速に増加しており、今後ますます利用の機会が広がると予想されています。
使い方は簡単!でも最初に「設定」が必要
これまでのようにIDとパスワードを毎回入力するのではなく、最初に一度「パスキーを使う」と設定しておけば、次回からはIDの入力だけでOK。スマホの画面に顔認証や指紋認証が表示され、それに従って操作するだけでログインできます。
これにより、入力ミスや覚える手間がなくなり、セキュリティも向上するというメリットがあります。
なぜ今パスキーが注目されているのか:急増する不正アクセスの実態
実は、従来のパスワード方式には重大な脆弱性があります。その代表が「フィッシング詐欺」です。
フィッシングとは?
本物そっくりの偽サイトに誘導し、そこにパスワードなどを入力させて情報を盗み取る手口です。
とくに2025年は、証券口座を狙った被害が深刻化し、金融庁によれば、1月から10月の被害額は7100億円超にものぼっています。
「二段階認証」も突破される!?リアルタイムフィッシングの脅威
本来、ID+パスワードに加えてワンタイムパスワード(OTP)を要求する「二段階認証」は強固な対策とされてきました。
ところが、近年はその二段階認証ですら突破される「リアルタイムフィッシング」という手口が登場しました。
リアルタイムフィッシングとは?
- 偽サイトにIDとパスワードを入力させる
- 本物のOTP画面に似せた偽画面で、ワンタイムパスワードを入力させる
- その情報を犯罪者が即座に自分の端末に入力し、不正アクセス
つまり、認証コードが生きている間に乗っ取られるという非常に高度な攻撃手法です。
パスキーの仕組みをわかりやすく解説
では、パスキーはどうやって安全性を保っているのでしょうか?
ここには、印鑑のような「電子署名」の技術が使われています。
ざっくり言うとこういう流れです:
- ログインしたい企業(銀行や証券会社など)が「申請書のようなデータ」をスマホに送る
- ユーザーがスマホで指紋認証や顔認証を行うと、その申請書に電子的な「印鑑」が押される
- それを企業側に送り返すと、「この人に間違いない」と認証される
このプロセスは、世界的な標準規格(FIDO)に準拠しており、情報が暗号化されているため、第三者が盗み見ることはほぼ不可能です。
スマホを盗まれたら危ない?→安心してください
パスキーは、「スマホが盗まれたら危ないのでは?」と心配になる方もいるかもしれません。
しかし大丈夫。
- スマホ自体が暗号化されている
- 顔認証や指紋認証なしでは操作できない
- パスキーの認証データは、偽サイトでは発行できないようになっている
こうした設計により、他人に悪用されるリスクは非常に低いのです。
とはいえ注意点もある:「パスワード管理」は依然として重要
「パスワードを使わない」仕組みだからといって、完全にパスワードを忘れていいわけではありません。
一部のサービスでは、パスキーとパスワードの両方に対応しているため、パスワードが漏れてしまうと不正アクセスの恐れがあります。
専門家のアドバイス
「パスワードが推測されたり盗まれたりすれば、パスキーの意味がなくなってしまいます。長くて複雑なパスワードを使いましょう」(NTTデータグループ 新井悠さん)
- 20文字以上のランダムなパスワードを設定
- 紙に書いて保管、もしくはパスワード管理アプリを活用
- 他のサービスとパスワードを使い回さない
パスキーを使っていても、基本的なセキュリティ対策を怠らないことが大前提なのです。
まとめ:便利で安全。でも“油断禁物”なパスキー時代
- パスキーは、不正アクセス対策として有効で、スマートにログインできる次世代技術
- しかし、「万能」ではなく、他のセキュリティ対策と併用する姿勢が重要
- 初期設定や導入時の正しい理解、そして「使わない自由」より「学んで使う安心」が求められています
便利さの裏にある「落とし穴」にも目を向けつつ、日々のセキュリティを少しずつ強化していきましょう。


