異常気象が世界で多くの命を奪った一年
科学者たちは、2025年が観測記録の中で最も暑い年の上位3年に入ることを確認しました。
2025年は、2023年と並んで「2番目に暑い年」となり、最も暑かったのは2024年でした。
この年、世界各地で異常気象が相次ぎ、数千人が命を落とし、数百万人が避難を余儀なくされました。
専門家は、こうした事態の背景に、人間活動による気候変動があると指摘しています。
数字で見る2025年の異常さ
2025年の世界平均気温は、産業革命前と比べて1.48度高くなりました。
さらに重要なのは、2023年から2025年までの3年間の平均気温が、初めて1.5度を超えたことです。
この1.5度という数字は、2015年のパリ協定で「超えてはならない目安」とされた重要な基準です。
科学者たちは、これを超える状態が続くほど、元に戻せない被害が増えると警告しています。
気温が下がるはずの年でも暑かった
2025年は、本来であれば地球の気温を下げる方向に働く「ラニーニャ現象」が起きていました。
それにもかかわらず、気温は異常な高さを記録しました。
これは、自然の影響よりも、石油や石炭などの化石燃料を使うことで出る二酸化炭素などが、気温上昇を強く押し上げていることを意味します。
1年で157件の深刻な異常気象
研究者たちは、2025年に世界で157件もの深刻な異常気象が発生したと報告しています。
その中の22件について詳しく調べた結果、多くが人為的な気候変動と強く関係していることが分かりました。
異常気象は、特定の地域だけの問題ではなく、すべての大陸で起きています。
最も多くの命を奪ったのは熱波
2025年、最も多くの人が亡くなった気象災害は「熱波」でした。
特にヨーロッパでは、4月から9月にかけての熱波により、約16,500人が死亡したと推定されています。
研究によると、これらの死亡の約3分の2は、気候変動がなければ起きなかった可能性が高いとされています。
また、今回調査された熱波は、10年前と比べて10倍起こりやすくなっていることも分かりました。
台風やハリケーンも被害を拡大
11月には、アジアで強い熱帯低気圧が相次ぎました。
サイクロン・センヤールは、タイ、マレーシア、インドネシアを襲い、少なくとも1,438人が死亡し、被害額は約198億ドルに達しました。
数日後には、サイクロン・ディトワがスリランカを直撃し、647人以上が命を落としました。
大西洋ではハリケーン・メリッサが急激に勢力を強め、ジャマイカやキューバ、ハイチで大きな被害が出ました。
急に勢力を増す嵐が増えているのも、海の温度が上がっていることと関係しています。
山火事と洪水も深刻だった
2025年1月、アメリカ・南カリフォルニアでは大規模な山火事が発生しました。
18,000棟以上の建物が焼失し、公式発表では30人が死亡しました。
しかし研究者は、煙による健康被害なども含めると、実際の死者数は約440人に上る可能性があるとしています。
また、
パキスタンの洪水で1,000人以上が死亡
インドとパキスタンの熱波で455人が死亡
するなど、被害は世界中に広がりました。
初めて超えた「1.5度」という境界線
ヨーロッパの気候監視機関は、2023年から2025年の平均気温が、初めて1.5度を超えたと報告しました。
この数字は、単なる目安ではなく、気候が危険な段階に入っていることを示しています。
専門家は、「この節目は、気候変動がどれほど速く進んでいるかを表す現実的な警告だ」と述べています。
過去11年はすべて記録的な暑さ
2015年から2025年までの11年間は、176年に及ぶ観測史の中で、最も暑い11年間でした。
これは偶然ではなく、地球が確実に温暖化している証拠です。
研究報告では、多くの人々がすでに「適応の限界」に近づいていると指摘されています。
これは、防災対策をしても、異常気象の被害を防ぎきれなくなりつつある状態を意味します。
もう待てない状況に
科学者たちは、
化石燃料からの脱却を急ぐこと
被害を減らすための対策を同時に進めること
が必要だと訴えています。
ただし、対策だけでは不十分で、温室効果ガスの排出そのものを早急に減らさなければならないと強調しています。
2025年は、気候変動が「将来の話」ではなく、
すでに命と暮らしを脅かす現実の問題であることを、はっきり示した一年となりました。
ソース
Phys.org
ロイター
World Weather Attribution
コペルニクス気候変動サービス
ABCニュース
各国の気象・科学機関の公表資料

