漢方薬大手の ツムラ は3日、養命酒製造が手がける「薬用養命酒」などの事業について、買収を検討していることを公式に認めました。
これを受け、 養命酒製造 も同日、筆頭株主である投資会社「湯沢」との間で、事業売却を含めた検討を進めている ことを明らかにしています。
今回の動きは、単なる製品買収にとどまらず、伝統的な生薬ビジネスを軸とした再編の可能性を示すものとして、市場関係者の注目を集めています。
非公開化と事業売却を組み合わせたスキーム
日本経済新聞 の報道によると、養命酒製造は筆頭株主の湯沢と連携し、株式を非公開化したうえで主力事業を切り出して売却する方針とされています。
この計画では、
・まず養命酒製造を上場廃止にする
・その後、「薬用養命酒」などの主力事業を第三者に売却する
という段階的な手法が想定されています。
売却額は数十億円規模とみられ、現時点ではツムラが最有力の買い手候補と報じられています。
ただし、養命酒製造側は「条件や売却先は未定」としており、最終決定には至っていません。
生薬調達の効率化が最大の狙い
ツムラは国内最大手の漢方薬メーカーであり、生薬の調達・管理において圧倒的な規模とノウハウを持っています。
一方、「薬用養命酒」は 14種類の生薬をアルコールに浸して抽出する薬用酒であり、その製造工程は漢方薬と共通する部分が多くあります。
今回の買収が実現すれば、
・生薬の共同調達によるコスト削減
・品質管理や供給体制の一体化
・研究開発面での相乗効果
といった 事業効率の向上が期待される とみられています。
なお、ツムラ自身も「ツムラの薬養酒」という類似製品を展開しており、両社はこれまで生薬系薬用酒の分野で競合関係にありました。
その競合関係が、今回の検討を機に 統合へ向かう可能性 が出てきた形です。
旧村上ファンド系投資会社「湯沢」の存在
今回の再編を語る上で欠かせないのが、投資会社「湯沢」の存在です。
湯沢は養命酒製造の 株式の3割超を保有する筆頭株主で、旧村上ファンド創設者・村上世彰氏の親族である野村幸弘氏が実質的に関与しているとされています。
2025年3月には、大正製薬ホールディングスが保有していた養命酒株を湯沢が取得し、株主構成が大きく変化しました。
この時期から、非公開化や事業再編を視野に入れた動きが本格化していたと見られています。
KKRとの交渉決裂と現在の状況
昨年12月末には、米投資ファンド KKR が養命酒製造の非公開化に向けた入札で 優先交渉権を獲得していました。
しかし、湯沢が株式売却に応じない姿勢を示したことで、交渉は打ち切られる結果となりました。
KKRが提示した TOB価格は1株4,282円 でしたが、
当時の市場株価は 5,480円前後まで上昇しており、価格面で大きな乖離が生じていました。
この経緯を経て、金融投資ファンドではなく、事業会社による買収として、ツムラが浮上したことは自然な流れとも言えます。
今後の見通しと業界への影響
養命酒製造は、湯沢との間で非公開化の具体的手法について協議を進めるとしています。
市場では、非公開化と事業売却に関する発表が、早ければ今月中にも行われる可能性があるとの見方が広がっています。
今回の動きは、
・伝統的な生薬・漢方分野の再編
・投資ファンドと事業会社の役割分担
・老舗ブランドの行方
といった点で、医薬・健康食品業界全体に影響を及ぼす可能性があります。
今後の正式発表と交渉の行方が注目されます。
ソース
・読売新聞
・日本経済新聞
・ロイター
・Yahoo!ファイナンス

