片山さつき財務相は3月27日の参院予算委員会で、中東情勢の悪化に伴うエネルギー価格高騰への対応として、2026年度当初予算案に計上した1兆円の予備費を活用する考えを示しました。
一方で、2026年度当初予算案そのものの修正には否定的な姿勢を示しました。
つまり、政府は本予算の枠組みを維持しながら、予備費でエネルギー高騰対策を進める考えです。
エネルギー価格高騰は、家計と企業の両方に影響します。
そのため、今回の発言は今後の財政運営と物価対策を考えるうえで重要です。
すでに2025年度予備費から約8007億円を投入
政府は24日の閣議で、2025年度予算の予備費から約8007億円をガソリン補助金の基金に繰り入れることを決定済みです。
このうち、7948億円はガソリンや灯油を対象とした価格激変緩和措置の基金に充てます。
また、残る約58億円はタクシー事業者向けのLPガス価格高騰対策に使います。
価格激変緩和措置とは、急な値上がりを和らげるための補助制度です。
つまり、政府は足元の価格上昇に対して、すでに具体的な支出を始めています。
2025年度の予備費はほぼ使い切る形に
2025年度予備費の残高は約8100億円でした。
しかし、今回の支出でほぼ全額を使い切る形となりました。
こうした中、新たなエネルギー高騰対策を続けるには、次の財源が必要になります。
そのため、片山財務相は2026年度当初予算案に盛り込んだ1兆円の予備費を使う考えを示したわけです。
年度をまたいで対策を切れ目なく続けるには、予備費の活用が焦点になります。
実際に、今回の国会答弁はその方向性を明確にした発言といえます。
本予算の修正には慎重姿勢を維持
片山財務相は、当初予算案そのものの修正には否定的な姿勢を示しました。
一方で、エネルギー高騰対策の必要性は認めています。
つまり、追加の対応は本予算の組み替えではなく、予備費で賄う考えです。
予備費は、予算編成時に細かい使途を決めず、緊急時に使えるお金です。
そのため、情勢が読みにくい中東情勢への対応では、機動的に使える財源として重視されます。
城内経済財政相は補正予算に明言避ける
城内実経済財政相はロイターの取材に対し、ウクライナ侵攻後のような経済対策や補正予算の編成について明言を避けました。
補正予算とは、年度途中で追加の歳出を決めるための予算です。
しかし今回は、そこにすぐ踏み込まず、まずは既存の予備費で対応する構えです。
一方で、中東情勢がさらに悪化すれば、現在の対応で足りるのかが問われます。
そのため、補正予算の議論が今後再び浮上する可能性は残ります。
ガソリン価格は3月16日時点で190.8円まで上昇
中東情勢の緊迫化を受け、ガソリン価格は急騰しています。
資源エネルギー庁によると、3月16日時点のレギュラーガソリン全国平均価格は1リットルあたり190.8円でした。
前週は161.8円でした。
つまり、わずか1週間で大幅に上昇したことになります。
エネルギー価格高騰は、物流費や生活コストの上昇にもつながります。
そのため、ガソリン価格の動きは家計防衛の観点でも大きな意味を持ちます。
政府は170円程度に抑える措置を再開
政府は、石油元売り企業への補助金を通じて、店頭価格を170円程度に抑える措置を3月19日から再開しています。
この仕組みは、石油元売り会社に補助を出し、販売価格の急騰を抑えるものです。
つまり、消費者に直接現金を配るのではなく、流通段階で価格を抑える方法です。
こうした中、エネルギー高騰対策はガソリン価格の水準管理が中心になります。
また、灯油やLPガスも対象に含めることで、生活と事業の両面を支える形です。
片山財務相は長期化しても途切れさせない考えを強調
片山財務相は、「事態が長期化しても途絶えることなく」措置を続けると強調していました。
この発言は、短期の応急措置ではなく、継続的なエネルギー高騰対策を念頭に置いたものです。
一方で、支出が長引けば財政への負担も重くなります。
つまり、家計支援と財政規律の両立が今後の課題です。
実際に、予備費1兆円の活用方針は、その綱渡りの中で示された対応策です。
暫定予算の編成にも言及
片山財務相は24日、2026年度予算の年度内成立が困難な状況を受け、11日間の暫定予算の編成に着手することも表明しています。
暫定予算とは、本予算が年度開始までに成立しない場合に、一定期間だけ行政運営を続けるための予算です。
つまり、政府は通常予算の遅れに備えた対応も進めています。
しかし、エネルギー高騰対策をその中にどこまで入れるかが争点になりました。
財政運営は、いま少し綱渡り気味です。
国民民主党は補正的な暫定予算を要求
野党の国民民主党の玉木代表は、エネルギー対策を暫定予算に盛り込む「補正的暫定予算」を求めました。
これは、通常の行政経費だけでなく、新たな政策経費も暫定予算に入れる考え方です。
一方で、政府はこれに慎重です。
片山財務相は、本予算にない経費を暫定予算に計上することは、財政法の趣旨から想定されていないとして退けました。
そのため、政府はあくまで本予算の早期成立と予備費対応を基本線にしています。
新年度以降は予備費1兆円で対応する構え
片山財務相は、新年度以降も予備費1兆円で対応し、本予算の早期成立を目指す構えです。
つまり、エネルギー高騰対策を進めながらも、予算制度の枠組みそのものは崩さない方針です。
また、財政法との整合性を重視する姿勢も鮮明です。
一方で、事態が想定以上に長引けば、予備費だけで十分かどうかは見通せません。
こうした中、政府の追加判断のタイミングが今後の注目点になります。
長期化する補助金制度には財政面の懸念もある
野村総合研究所は、補助金制度の長期化が財政を圧迫し、円安を通じた更なる物価上昇を招くリスクがあると分析しています。
補助金は価格上昇の痛みを和らげます。
しかし、その財源は最終的に国の支出です。
つまり、エネルギー高騰対策は必要でも、長期化すれば別の副作用が出る可能性があります。
さらに、財政負担が市場に意識されれば、為替や物価への影響も無視できません。
家計支援と財政規律の両立が今後の焦点
今回の一連の対応から見えるのは、政府がエネルギー高騰対策を継続する意向を明確にしたことです。
一方で、本予算の修正は避け、予備費でしのぐという姿勢も変えていません。
そのため、政策の機動性と制度の安定性を両立させようとしていることが分かります。
しかし、中東情勢がさらに悪化すれば、必要な支出は膨らむ可能性があります。
つまり、今後のエネルギー高騰対策は、家計支援だけでなく財政運営そのものを左右するテーマになります。
ソース
毎日新聞
ロイター
参院予算委員会での片山さつき財務相答弁
政府の3月24日閣議決定内容
資源エネルギー庁
野村総合研究所

