国の基金残高が20兆円を超えたことが明らかに

国が補助金を出して設けている「国の基金」の残高が、大きく膨らんでいることが分かりました。
2023年度末時点で、その総額は約20兆4157億円に達しています。

この調査結果は、会計検査院が24日に公表しました。
新型コロナウイルス対策や経済政策に関連して多額の予算が計上された結果、基金残高は2019年度末と比べて約5倍に増えています。

検査院は、使われないまま積み上がった資金や管理の甘さを問題視しました。
そのうえで、基金の規模を見直し、使う予定のないお金は国庫に返すよう求めています。


国の基金とはどのようなお金か

国の基金とは、国庫補助金を元にして、独立行政法人や都道府県などが管理する資金です。
数年にわたる事業に使うことを前提に、あらかじめまとめて確保されます。

年度ごとに使い切る必要がないため、柔軟に使える仕組みです。
一方で、残高や使い道が分かりにくくなりやすいという欠点があります。

そのため以前から、無駄なお金が残りやすい仕組みだと指摘されてきました。


基金残高の内訳を見ると何が起きているか

2023年度末時点の基金残高を運営主体ごとに見ると、大きな差があります。
独立行政法人や公益財団法人などが運営する191の基金が、約18兆7969億円を占めています。

一方、都道府県が管理する63の基金は、合計で約1兆6188億円です。
法人が運営する基金は、2019年度末の約2兆3780億円から、わずか4年間で約8倍に増えました。

これに対し、都道府県が管理する基金は、毎年度おおむね1兆7000億円前後で推移しています。


経済産業省に集中する巨額の基金

省庁別に見ると、最も多くの基金を抱えているのは経済産業省です。
その総額は約12兆円に上ります。

代表的なのが、脱炭素化を目的とした約2兆円規模のグリーンイノベーション基金です。
このほかにも、中小企業支援など、1兆円を超える大型の基金を複数管理しています。


必要以上に配られた基金の実例

会計検査院の調査では、具体的な問題事例も示されました。
子育て支援を目的とした「安心こども基金」では、21都道府県が必要だと申告した金額は合計51億円でした。

しかし、実際に配分された金額は301億円に達しています。
その後、実際に使われた金額は約54億円で、申告額とほぼ同じ水準でした。

また、36の基金では、実際に使われた金額と当初の見込み額の差が75パーセント以上ありました。
検査院は、事業費が見込みより著しく少ないとして、基金の見直しを求めています。


なぜ基金は問題視されてきたのか

基金は、複数年度にわたって資金を積み立てる仕組みです。
この仕組み自体は、長期事業には適しています。

しかし、運用の実態が外から見えにくいという問題があります。
そのため、以前から「無駄の温床になりやすい」と指摘されてきました。

今回の調査は、参議院の要請を受けて行われました。
基金全体の実態がここまで詳しく明らかになったのは、今回が初めてです。


政府の対応と残る課題

政府は、不必要な歳出を点検するための担当室を11月に新設しました。
基金の問題も、この点検対象に含まれています。

ただし、財政の専門家からは懸念の声が出ています。
基金にお金を移すと、翌年度以降の予算審議でチェックされにくくなるためです。

このため、専門家の間では、部分的な見直しでは足りないという見方が強まっています。
基金の仕組みそのものを抜本的に見直す必要があると指摘されています。


参考情報源

東京新聞
毎日新聞
読売新聞
京都新聞
北國新聞
会計検査院公表資料

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