イーロン・マスク氏が率いるNeuralinkは、視覚を回復させるための新しい装置「Blindsight」を、初めて人の体に埋め込む準備が整ったと発表しました。
この装置は、完全に視力を失った人を対象としています。
まだ実際に行うには規制当局の承認が必要ですが、失明治療の考え方を大きく変える可能性がある発表です。
この発表は、Neuralinkが麻痺のある患者に初めて脳チップを埋め込んでから2年を迎えた、2026年1月28日に行われました。
同社はあわせて、臨床試験の参加者が世界で21人に増えたことも明らかにしています。これは、2025年9月時点の12人から大きく増えています。
Blindsightとは何か
目を使わず「脳で見る」ための装置
Blindsightの最大の特徴は、目や視神経を使わない点にあります。
通常、視覚は「目 → 視神経 → 脳」という経路で伝わります。
しかしBlindsightは、この経路を使いません。
メガネに取り付けた小さなカメラで周囲の映像を撮影し、その情報を無線で脳内の装置に送ります。
脳内の装置は、「視覚野」と呼ばれる脳の部分を直接刺激します。
つまり、目や視神経が機能していなくても、脳に直接映像情報を届ける仕組みです。
見え方は最初は粗い
それでも意味がある理由
マスク氏は、過度な期待を持たないよう注意を促しています。
最初に見える映像は、
昔のテレビゲームのように、ドットが荒く、はっきりしないものになる見込みです。
いわば「レトロゲームの画面」のようなイメージです。
ただし、人の脳には慣れる力があります。
使い続けることで、少しずつ見え方が良くなる可能性があると説明されています。
この装置は、両目と視神経を失った人を想定しています。
さらに、視覚を処理する脳の部分が無事であれば、生まれつき目が見えない人が、人生で初めて視覚を得る可能性もあるとされています。
FDAが特別な指定を付与
期待は高いが、承認はまだ先
Blindsightは、2024年9月に米国食品医薬品局から「画期的医療機器」に指定されました。
これは、
命に関わる病気や、元に戻らない重い障害を治療する可能性がある医療機器に与えられる特別な扱いです。
この指定により、審査は通常より早く進みます。
ただし、必ず承認されることが約束されたわけではありません。
Neuralinkの事業拡大と次世代技術
Neuralinkは、今後の計画についても説明しています。
現在の装置よりも、性能が約3倍に向上した次世代インプラントを、2026年後半までに開発する予定です。
また、脳に非常に細い電極を入れるための手術ロボットも開発中です。
このロボットを使うと、電極を入れる時間が、
従来の約17秒から、わずか1.5秒に短縮されるとされています。
これは、手術の負担を軽くし、安全性を高めるための重要な改良です。
臨床試験の現状
重大な事故は起きていない
Neuralinkは、これまでの臨床試験で、
装置が原因となる重大な健康被害は一件も起きていないと説明しています。
別の脳内装置「Telepathy」を使った試験では、
麻痺のある参加者が、考えるだけで次のようなことを行っています。
・インターネットを見る
・SNSに投稿する
・ゲームを操作する
これは、脳とコンピュータを直接つなぐ技術が、すでに実用段階に近づいていることを示しています。
将来は「視力回復」を超える可能性も
マスク氏は、Blindsightの将来について、さらに大胆な構想を語っています。
将来的には、
人間の目では見えない赤外線や紫外線、
さらにはレーダーのような情報を感じ取れる可能性もあるとしています。
これは、単なる治療ではなく、人間の感覚そのものを拡張する技術につながる考え方です。
投資家のビル・アックマン氏は、
「もし盲人が視力を取り戻せるなら、これまでのどんな実績よりも偉大だ」
と評価しています。
専門家の慎重な意見
それでも価値は大きい
一方で、研究者の中には慎重な意見もあります。
2024年に発表されたワシントン大学の研究では、
脳を刺激する方法で、細かくはっきりした映像を再現できるかには疑問があると指摘されています。
ただし、現在まったく治療法がない人にとって、少しでも見えるようになることは人生を変える可能性があるという点では、多くの研究者が一致しています。
ソース
・teslarati.com
・CNBC TV18
・Storyboard18
・NewsBytes
・India TV News
・Moneycontrol
・Benzinga

