2月12日の東京市場は、株式と為替の両面で大きな動きを見せました。
日経平均株価は取引時間中に史上初めて5万8000円台に到達する場面があった一方で、その後は円高進行を受けて失速し、4営業日ぶりに反落しました。
為替市場では円が買われ、ドル円相場は一時1ドル=152円27銭まで下落しました。朝方は153円前半で推移していましたが、その後下げ幅を広げ、約2週間ぶりの円高水準を記録しました。
株価と為替が連動する日本市場の構図が、改めて鮮明になった1日でした。
円高進行 ドル円は152円台へ
2月12日の東京外国為替市場では、円相場が続伸しました。
ドル円は一時152円27銭まで下落し、心理的節目である152円前半を意識する展開となりました。
「円高」とは、円の価値が上がることを指します。
円高になると、同じ1ドルを買うのに必要な円の額が少なくなります。今回の場合、153円台から152円台へと下がったことで、円が買われていることが分かります。
ロイターの報道によれば、1月27日にトランプ米大統領のドル安容認発言で付けた152円10銭付近が重要な下値の目安とされており、この水準を明確に下抜けるかどうかが今後の焦点とされています。
もし下抜ければ、150円台への調整も視野に入るとの見方も出ています。
みずほ銀行のチーフマーケットストラテジスト鎌田桂輔氏は、「円売りを進めていた投機筋によるポジション巻き戻しが主因」と分析しています。
これは、これまで円安方向に賭けていた投資家が利益確定のために円を買い戻している、という意味です。
今後については、152円台を中心に上値が重い展開が続く可能性が示唆されています。
日経平均、史上最高値更新も失速
東京株式市場では、朝方は強い動きが見られました。
高市政権による積極財政への期待感を背景に、日経平均は続伸して取引を開始し、取引時間中としては史上初めて5万8000円台に乗せました。
しかし、円高が進行すると状況は一変します。
日本の主要企業、とくに自動車や電機などの輸出関連企業は、円安の方が利益を出しやすい構造にあります。
円高になると、海外で得た利益を円に換算したときに目減りするため、業績への懸念が強まります。
その結果、輸出関連株に利益確定売りが広がり、日経平均は反落しました。
終値は前営業日比10円70銭安の5万7639円84銭でした。
値幅としては小幅安ですが、「史上最高値更新後に失速」という流れが投資家心理に影響を与えました。
主な下落銘柄 輸出関連が軟調
個別銘柄では、輸出依存度の高い企業が軟調に推移しました。
- トヨタ自動車
- ホンダ
- ソニーグループ
- NEC
自動車株や電機株は為替の影響を受けやすく、円高局面では売りが出やすい傾向があります。
株式市場では、「円安=株高」「円高=株安」という連動がしばしば見られますが、今回もその典型的なパターンとなりました。
円高の背景 「高市トレード」と介入警戒
今回の円高の背景には、いくつかの要因が指摘されています。
まず一つは、衆院選での高市政権の大勝を受けた「高市トレード」の利益確定売りです。
「トレード」とは、特定の政治・経済イベントに基づいて行われる投資行動を指します。
選挙後は、政策期待から円安・株高方向に動きましたが、その後は利益確定の動きが優勢になったとみられています。
さらに、日米両当局による為替介入への警戒感も円買いを後押ししているとされています。
為替介入とは、政府や中央銀行が通貨の急激な変動を抑えるために市場で売買を行うことです。
市場参加者は、過度な円安が進めば当局が動く可能性を意識しており、その思惑が円買いにつながっています。
今後の焦点 150円台への調整はあるのか
今後の焦点は、152円台を維持できるかどうかです。
この水準を割り込めば、150円台への調整が現実味を帯びてきます。
一方で、日経平均は史上最高値圏にあり、政治的安定や積極財政への期待は依然として株価の支えとなっています。
つまり、現在の市場は、
- 政策期待による株高要因
- 円高による輸出株圧迫要因
という、相反する力がせめぎ合っている状態です。
株式市場と為替市場の綱引きが続く中で、投資家は次の材料を待っている状況と言えるでしょう。
短期的な値動きに振り回されるのではなく、政策、金利、為替、企業業績といった複数の要素を冷静に見極めることが、今後ますます重要になります。
ソース
ロイター通信
Bloomberg
Kabutan
日本経済新聞
毎日新聞
中日新聞

