全国80地点の地価上昇が8期連続、家賃も約28年ぶり高水準に
国土交通省が公表した地価LOOKレポートで、全国80地点すべての地価が上昇しました。
さらに、総務省のCPIで民営家賃が前年同月比0.7%上昇し、約28年ぶりの高水準となりました。
地価上昇と家賃上昇が同時に進む状況は、不動産市場と金融政策の両面で重要です。
今後の日本経済と日銀の金融政策判断にも影響を与える可能性があります。
地価LOOKレポートとは何か
地価LOOKレポートとは、国土交通省が四半期ごとに公表する地価動向調査です。
正式名称は「主要都市の高度利用地地価動向報告」です。
対象は三大都市圏と地方都市を含む計80地区です。
住宅地22地点、商業地58地点で構成されています。
今回の調査時点は1月1日時点です。
その結果、80地点すべてで地価が上昇しました。
住宅地は15期連続、商業地は8期連続で全地点上昇
住宅地は15期連続で全地点が上昇しました。
上昇率はいずれも「0%超3%未満」です。
一方で、商業地は8期連続の全地点上昇です。
東京都内の池袋駅東口周辺、品川駅港南口周辺、京都駅周辺など6地点では、「3%以上6%未満」の上昇率となりました。
国土交通省は、住宅地と商業地ともに「全体的に緩やかな上昇傾向が続いている」と分析しています。
マンション需要と観光客増加が追い風
今回の地価上昇の背景には、マンション需要の堅調さがあります。
分譲価格が高騰する中で、需要は依然として強い状況です。
また、国内外からの観光客増加も影響しています。
そのため、ホテルや店舗需要も好調に推移しました。
つまり、住宅と商業の両面で需要が底堅いことが、地価を押し上げています。
民営家賃が0.7%上昇、約28年ぶりの高水準
総務省が発表した1月の全国CPIによると、民営家賃は前年同月比0.7%上昇しました。
前月の0.6%から伸びが拡大しています。
この伸び率は、1998年3月以来約28年ぶりの高水準です。
家賃上昇が再び目立ち始めています。
さらに、東京都区部のCPIでは民営家賃が2.1%上昇しました。
これは1994年2月以来の高い伸びです。
東京主導で家賃上昇が全国に波及する兆しが見えています。
家賃上昇が物価全体を押し上げる構図
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは、家賃引き上げの動きが出ていると説明しました。
長引くインフレに対応した動きだと指摘しています。
さらに、家賃の伸び率は2%物価安定目標の達成において重要との見方を示しました。
家賃は物価の基調を左右する要素です。
CPIにおいて家賃は大きな割合を占めます。
帰属家賃を含めると、全体の約2割です。
帰属家賃とは、持ち家を賃貸したと仮定した家賃相当額を指します。
統計上の概念ですが、物価指数に大きく影響します。
構造的要因が不動産価格を支える
不動産価格と家賃の上昇には、構造的な要因があります。
まず、マンション価格の高騰です。
購入が難しくなると、賃貸需要が増えます。
そのため、賃料が上昇しやすくなります。
また、建築費や人件費も上昇しています。
さらに、オーナー側がインフレに合わせて賃料を改定する動きもあります。
つまり、単なる一時的な上昇ではなく、構造的な需要とコスト増が重なっています。
日本銀行の政策正常化と今後の焦点
日本銀行は2025年12月の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%に引き上げました。
これは30年ぶりの水準です。
その後も政策正常化路線を維持しています。
つまり、超低金利からの転換が続いています。
家賃はCPI全体の約2割を占めます。
そのため、家賃動向は金融政策判断に直結します。
地価と家賃の上昇が続く中、物価の持続性が問われます。
今後の金融政策と不動産市場の動きから目が離せません。
ソース
・国土交通省「地価LOOKレポート」(1月1日時点)
・総務省「全国消費者物価指数(CPI)」1月分
・ブルームバーグ報道
・SMBC日興証券 宮前耕也シニアエコノミスト発言

