文部科学省が実施した調査により、日本の学校現場で続く教員の長時間労働の実態が改めて明らかになりました。特に中学校では、国の残業上限を超える教員が依然として約4割に上ります。
今回の調査は、学校の働き方改革の進捗を把握する目的で実施されました。しかし結果を見ると、改善傾向はあるものの依然として高い水準で、学校現場の負担の大きさが浮き彫りになっています。
政府は2029年度までに残業時間の大幅削減を目標に掲げています。つまり今回の結果は、その達成が容易ではない現状を示しています。
文科省調査で判明した中学校教員の残業実態
文部科学省は「学校の働き方改革のための見える化調査」を実施しました。
この調査によると、2024年度の月平均残業時間が45時間を超えた中学校教諭の割合は39.5%でした。
これは国の指針で定める残業上限を超える水準です。
しかし前年度と比較すると、2.9ポイント減少しています。
つまり改善傾向は見られるものの、依然として約4割の教員が長時間労働を続けている状況です。
全校種で改善傾向も依然として高水準
今回の調査は全国の教育委員会を通じて実施されました。
対象は
・都道府県
・政令指定都市
・市区町村
これら1804の教育委員会です。
調査では、学校の出退勤システムなどから取得した客観的な勤務時間データを使用しました。
その結果、他の校種でも次のような状況が確認されました。
小学校教諭
・22.2%(前年度比2.4ポイント減)
高校教諭
・27.4%(前年度比0.8ポイント減)
特別支援学校教諭
・7.9%(前年度比0.5ポイント減)
つまり、すべての校種で改善は見られます。
しかし、依然として長時間労働が高い水準にあることに変わりはありません。
過労死ラインを超える残業も存在
さらに深刻なのは、過労死ラインとされる月80時間超の残業です。
今回の調査では次の割合が確認されました。
中学校教員
・7.4%(前年度比0.6ポイント減)
小学校教員
・1.3%(前年度比0.3ポイント減)
つまり、依然として一定数の教員が健康リスクの高い長時間労働をしている状況です。
持ち帰り業務は調査対象外
しかし、今回の調査には重要な注意点があります。
自宅などで行う持ち帰り業務の時間は含まれていません。
つまり、実際の労働時間はさらに長い可能性があります。
実際に、日本教職員組合(日教組)の2024年調査では次の結果が出ています。
教員の平均残業時間
・月88時間36分
中学校教員
・月108時間
つまり、公式調査よりもはるかに長い労働時間が指摘されています。
政府目標「残業ゼロ」達成は不透明
政府は2025年9月に働き方改革の指針を改定しました。
その中で、次の目標を掲げています。
残業上限
・月45時間
・年360時間
そしてさらに、
2029年度までに月45時間超の教員をゼロにする
という目標を設定しました。
加えて、平均残業時間を月30時間程度まで削減する方針です。
しかし現状では、8割以上の教育委員会が中学校教員の残業が月30時間を超えていると回答しています。
教員不足が改革の大きな壁
文部科学省は、教員の負担軽減のために人員増加を進めたいとしています。
しかし、学校現場では教員志望者の減少が深刻です。
つまり、教員不足そのものが働き方改革の障害になっています。
こうした状況では、
・授業
・部活動
・事務作業
・保護者対応
など多くの業務を少人数の教員で担う構造が続いています。
そのため、長時間労働の解消は簡単ではありません。
日本の学校現場に残る構造的課題
今回の調査は、学校の働き方改革が一定の進展を見せていることを示しました。
しかし同時に、中学校教員の約4割が依然として残業上限を超えている現実も明らかにしました。
また、持ち帰り業務を含めれば、実際の労働時間はさらに長い可能性があります。
つまり、日本の教育現場には依然として構造的な長時間労働問題が残っています。
政府が掲げる2029年度の残業削減目標を達成できるのか。
教員不足や業務構造の見直しなど、今後の政策対応が大きな焦点となりそうです。
ソース
読売新聞
47NEWS
神戸新聞
沖縄タイムス
テレビ朝日系報道
日本教職員組合(調査)
文部科学省「学校の働き方改革のための見える化調査」

