文部科学省は1月30日、いじめや暴力行為の見過ごしを防ぐための点検を年度内に行うよう、全国の教育委員会に通知しました。
この通知では、2025年度中にアンケート調査やスクールカウンセラーとの面談などを通じて、児童生徒が暴力行為やいじめを受けていないかを丁寧に確認することを求めています。
今回の対応は、SNS上で生徒同士の暴行動画が相次いで拡散したことを受けた緊急的な措置です。
文科省は、いじめや暴力行為が単なる学校内の問題ではなく、場合によっては犯罪行為に該当し得ることを改めて強調しています。
暴力行為やいじめは「犯罪行為」にあたる可能性も
通知では、学校現場に対し、
暴力行為やいじめは犯罪行為に該当する場合があることを、児童生徒にしっかり指導すること
を明確に求めています。
あわせて、
・SNSへの投稿や拡散がもたらす影響
・動画を撮影・共有する行為が他者の人権を侵害する危険性
について理解させるため、情報モラル教育の実施も要請しました。
特に、暴行動画の投稿や拡散が確認された場合には、学校だけで抱え込まず、警察など関係機関と連携した組織的な対応を取ることが重要だとしています。
栃木県と大分市で相次いだ暴行動画の拡散事例
今回の通知の背景には、具体的な深刻事案が相次いで発覚したことがあります。
今年1月、栃木県の県立高校では、2025年12月に校内トイレで撮影された男子生徒への暴行動画がSNS上で急速に拡散しました。
これを受け、栃木県教育委員会は1月7日に記者会見を開き、
「安全・安心であるべき学校でこのような事態が起こったことについて、深くおわび申し上げます」
と謝罪しています。
また、大分市の中学校でも、2025年7月から9月にかけて撮影された3本の暴行動画がSNS上で拡散しました。
大分市教育委員会は1月26日、これらの事案をすべて「いじめの重大事態」と認定しています。
このケースでは、学校側が一部の動画の存在や暴行の事実を把握していたにもかかわらず、市教育委員会に報告していなかったことも明らかになり、対応の遅れが大きな問題となりました。
文科省、教育長向けに緊急オンライン会議を開催
文部科学省は、今回の通知に先立ち、1月14日に都道府県および政令指定都市の教育長を対象とした緊急オンライン会議を開催しています。
この会議では、
・見過ごされている暴力行為やいじめがないかの総点検
・被害児童生徒の安全確保と心のケア
・加害児童生徒への出席停止を含めた厳正な対応
を徹底するよう呼びかけました。
文科省が公表した資料では、
「SNS等におけるエスカレートした投稿や拡散が、誹謗中傷など新たな人権侵害を生むおそれが広がっている」
と警鐘を鳴らしています。
「毅然とした対応」を求め、警察との連携も明示
文科省は、犯罪行為に該当する暴力やいじめについては、学校内の指導にとどめない対応が必要だとしています。
具体的には、
警察など関係機関と連携し、学校教育法に基づく懲戒や出席停止を含めた毅然とした対応を行うこと
を明記しました。
いじめや暴力を「見過ごさない」体制を築くことは、被害を未然に防ぐだけでなく、
学校全体の安全と信頼を守るために不可欠です。
今回の通知は、学校現場に対し、
早期発見・早期対応を徹底し、組織として責任を持つ姿勢を強く求めたものといえます。
ソース
・47NEWS(共同通信)
・読売新聞
・FNNプライムオンライン
・文部科学省 発表資料

