政府・与党は2日、2026年度税制改正に向けた議論を本格化させ、複数の重要な税制見直し案が浮上していることを明らかにしました。今回の検討項目は、国民生活に直結するふるさと納税制度の控除上限設定から、観光政策に関わる国際観光旅客税(出国税)の大幅引き上げ、さらに企業向けの大規模設備投資減税まで、多岐にわたります。
税制改正大綱は12月中旬に取りまとめられる予定で、与党税制調査会ではすでに活発な議論が進んでいます。今回の案は、財政健全化、安全保障、観光政策、地域経済、企業成長戦略といった幅広い国の課題を背景にした“総合的な大改革”となる可能性があります。
ふるさと納税に控除額の「上限設定」へ
背景にある“金持ち優遇”批判と返礼品競争の過熱
ふるさと納税制度は、自治体に寄付をすると、住民税から一定額が控除される仕組みです。
本来は地方自治体の財源確保を目的に始まった制度ですが、近年は高額返礼品による過度な競争や、高所得者ほど控除額が大きいことが批判されてきました。
今回の議論の焦点は「控除額の上限設定」です。
◆ 政府試算で見える「所得格差」
現行制度では、寄付額のうち自己負担2,000円を超える部分が住民税等から控除されます。
しかし控除枠は年収によって大きく異なり、次のような試算が報じられています。
・年収300万円 → 年あたり28,000円まで控除
・年収1000万円 → 180,000円まで控除
・年収1億円 → 4,380,000円まで控除
・年収10億円 → 45,240,000円まで控除
そして近年、高所得者向けに
・寄付額500万円以上が対象の純金小判
・3000万円以上のスーツ仕立券
といった、一般家庭では手の届かない超高額返礼品が登場し、制度趣旨から逸脱しているとの批判が高まっています。
政府・与党内では
「制度が富裕層の節税手段になっている」
との指摘が強く、これが上限設定を進める最大の理由となっています。
国際観光旅客税(出国税)を3000円以上へ引き上げ
オーバーツーリズム対策の財源確保が目的
次に議論の中心となっているのが、2019年に導入された**国際観光旅客税(出国税)**の引き上げです。
出国税とは、日本から出国するすべての旅客に課される税金で、現在は1,000円です。
政府と与党はこの金額を3倍以上となる3,000円超に引き上げる案を検討しています。
背景にあるのは、訪日外国人観光客の急増による“オーバーツーリズム問題”です。
観光地で深刻化する
・ゴミ問題
・交通混雑
・地域住民の生活圧迫
などを改善するため、財源を強化する必要があります。
◆ 自民党案では「ビジネスクラス以上は5,000円」
与党の観光立国調査会はさらに踏み込んで、
・出国税:3,000円
・ビジネスクラス以上の利用者:5,000円
とする案を提案しています。
増税によって確保した財源は、
・ゴミ箱の増設
・交通の混雑緩和対策
・観光マナー啓発
などに充てられる方針です。
なお、日本を出国する外国人だけでなく、日本人旅行者も全員が対象です。
年間5,000億円規模の「設備投資減税」へ
企業の成長促進と国際競争力強化を狙う
政府は、国内企業の設備投資を後押しするため、法人税の新たな減税制度を検討しています。
◆ 投資額の8%を法人税から控除
新制度では、企業が
・機械設備
・建物
・ソフトウェア
などに投資した額の**8%を法人税から直接差し引く(税額控除)**仕組みを導入する計画です。
税額控除は「税金が軽くなる」のではなく、「税金そのものを差し引く」制度のため、企業にとって極めて強いインセンティブとなります。
この制度は5年間の時限措置として実施される予定で、年間の減税規模は約5,000億円に達すると試算されています。
◆ トランプ政権下の関税影響企業には控除率15%に拡大
米国のトランプ政権時代の関税措置で影響を受けた企業については、控除率を15%に引き上げる案も示されています。
ただし、減税の対象となるには
・利益率15%超の計画を提出する
といった条件が設けられる見通しです。
◆ 財政悪化を懸念する声も
経済産業省は強力な投資促進策として提案していますが、一方で財務省や与党内からは、
「減税規模が大きすぎて財政悪化につながる」
との慎重意見が出ています。
今後の流れ
今回示された各案は、12月中旬の税制改正大綱に盛り込まれるかどうかが焦点です。
ふるさと納税、出国税、法人税減税といった大きなテーマは、国民生活・企業活動・観光政策に広い影響を及ぼすため、今後の公式発表が注目されます。
ソース
毎日新聞(mainichi.jp)
東京新聞(tokyo-np.co.jp)
熊本日日新聞(kumanichi.com)
47NEWS(47news.jp)
読売新聞(yomiuri.co.jp)
Yahoo!ニュース(news.yahoo.co.jp|共同通信配信)

