2月8日に投開票された第51回衆議院議員選挙をめぐり、弁護士グループが9日、「1票の格差」を是正しないまま選挙が行われたのは憲法に反するとして、全国の高等裁判所とその支部に対し、選挙の無効を求める訴訟を一斉に起こしました。
提訴先には、仙台高裁秋田支部や大阪高裁などが含まれており、今回も全国的に司法の判断が問われる展開となっています。
「1票の格差」とは、選挙区ごとに有権者数が異なることで、同じ1票でも当選に与える影響力に差が生じる状態を指します。
日本国憲法は、すべての国民が平等に扱われることを原則としており、選挙においても「投票価値の平等」が重要な憲法上の考え方とされています。
今回の最大格差は2.10倍 制度改正後も拡大
共同通信が、公示日前日の1月26日時点の有権者数を基に試算したところ、今回の衆院選における1票の最大格差は2.10倍でした。
有権者が最も多かったのは北海道3区で46万2999人、最も少なかったのは鳥取1区で22万820人です。
この数字は、鳥取1区の1票が、北海道3区のおよそ2票分の重みを持つことを意味します。
格差が2倍を超えた選挙区は全国で17に上りました。
過去の選挙と比べると、2021年衆院選では最大2.08倍、議席配分に「アダムズ方式」を採用し、「10増10減」の新区割りが行われた前回2024年選挙でも2.06倍でした。
制度見直しが行われたにもかかわらず、今回はさらに格差が広がった点が、原告側の強い問題意識につながっています。
弁護士「投票価値の平等は民主主義の根幹」
仙台高裁秋田支部前で取材に応じた原告側の小川尚史弁護士は、「投票価値の平等は、民主主義を支える極めて重要な憲法上の原則だ」と訴えました。
そのうえで、「不平等な状態が続くのであれば、司法が明確な判断を示す必要がある」と述べ、裁判所に対して強い是正メッセージを求めています。
今回の一連の訴訟では、早ければ2026年度中にも各高裁や支部の判断が出そろい、その後、最高裁が統一的な判断を示すと見込まれています。
最高裁の判断次第では、今後の選挙区割りや制度改正の在り方に大きな影響を与える可能性があります。
高知県では投票率が上昇 厳しい条件下でも関心高まる
こうした制度面での課題が浮き彫りになる一方、投票行動そのものには前向きな動きも見られました。
高知県選挙管理委員会によりますと、県内小選挙区の投票率は54.94パーセントとなり、戦後3番目に低かった前回2024年の51.97パーセントを2.97ポイント上回りました。
選挙区別では、高知1区が53.37パーセントで3.78ポイント増、高知2区は56.68パーセントで2.09ポイント増となっています。
真冬の短期決戦という厳しい条件の中でも、結果的に前回より多くの有権者が投票所に足を運びました。
期日前投票が過去最高 投票行動の多様化が進む
公示後に行われた電話調査では、「今回の選挙に大いに関心がある」と答えた有権者が、高知1区で70.3パーセント、高知2区で67.3パーセントに達しました。
いずれも前回選挙を上回っており、政治や選挙に対する関心が高まっていたことがうかがえます。
また、期日前投票率は25.59パーセントとなり、過去最高を更新しました。
前回より3.81ポイント上回っており、仕事や天候などの事情に左右されずに投票できる仕組みが、着実に浸透してきていることを示しています。
全国投票率も上昇 結果は自民党の歴史的大勝
総務省の発表によりますと、全国の投票率は小選挙区で56.26パーセント、比例代表で56.25パーセントとなり、いずれも前回比で2.41ポイント上昇しました。
都道府県別では、高市早苗首相の地元である奈良県が62.17パーセントで最も高く、鳥取県が47.69パーセントで最も低い結果となっています。
選挙結果は、自民党が単独で316議席を獲得する歴史的大勝となりました。
投票率が上昇した中での大勝であった点は、幅広い有権者層から一定の支持を得ていたことを示しています。
投票率上昇と「1票の格差」という二つの現実
今回の衆院選では、投票率の上昇や期日前投票の拡大といった明るい動きが見られました。
その一方で、1票の格差という制度的な課題が、再び司法の場で厳しく問われる状況となっています。
有権者の関心が高まるほど、投票の価値が平等に保障されているかどうかは、民主主義の信頼性に直結します。
今後の高裁、そして最高裁の判断が、選挙制度の将来像をどのように方向づけるのか、引き続き注目されます。
ソース
高知新聞
共同通信
神戸新聞
総務省
FNNプライムオンライン
TBS NEWS DIG

