2026年4月4日、商船三井のインド現地法人MOLインディアが保有するLPG(液化石油ガス)タンカー「GREEN SANVI」が、イランによって事実上封鎖されているホルムズ海峡の通過に成功しました。
米国・イスラエルによるイラン攻撃開始後、日本関係船舶が同海峡を通過したのは、これで2隻目となります。前日の4月2日には、商船三井が共同保有するLNG船「SOHAR LNG」が船舶追跡データ上で先行して通過したとみられます。さらに、4月3日にはロイターがその通過を確認し、報道しました。
このため、2日連続で日本関係船舶の通過が確認されたことになります。つまり、封鎖下でも一定条件のもとで航行が成立した実例が重なった形です。今後の通航判断にも影響する動きとして注目が集まります。
一方で、封鎖によってペルシャ湾内に足止めされている日本関係船舶はなお多く残っています。そのため、この通過は明るい材料ですが、日本のエネルギー安全保障上の懸念が解消したわけではありません。
「GREEN SANVI」の船舶概要と通過時の状況
今回ホルムズ海峡を通過した「GREEN SANVI」は、LPGタンカーです。LPGとは液化石油ガスのことで、家庭用や産業用の燃料として広く使われるエネルギーです。
船籍はインド籍です。また、保有者は商船三井のインド現地法人であるMOLインディアです。さらに、同船はLPGを積載した状態で通過し、現在はインドに向けて航行中です。
商船三井の担当者は、「危険と考えられる水域から出た」と表明しました。実際に、乗組員、積荷、船体に問題がないことを確認しています。しかし、イランへの通航料の支払い有無については、明らかにしていません。
先行通過した「SOHAR LNG」との違い
先に通過が確認された「SOHAR LNG」はLNGタンカーです。LNGは液化天然ガスを指し、LPGとは異なる燃料です。一方で、「GREEN SANVI」はLPGタンカーであり、積荷の種類が異なります。
「SOHAR LNG」の船籍はパナマです。また、保有形態は商船三井とオマーン企業の共同保有です。これに対し、「GREEN SANVI」は商船三井インド現地法人による保有です。
通過日については、「SOHAR LNG」が2026年4月2日と推定されています。確認・報道日は2026年4月3日でした。一方で、「GREEN SANVI」は2026年4月4日に通過が伝えられました。
また、「SOHAR LNG」は安全上の理由から、通過日時や行き先の詳細を公表していませんでした。そのため、船舶追跡データによって通過が確認されました。しかし、「GREEN SANVI」については、インドへの航行中であることが明らかにされています。
ペルシャ湾に残る45隻と足止めされた原油10日分の重み
封鎖が長期化するなか、ペルシャ湾内には日本関係船舶だけで45隻が留め置かれています。大半は依然として出航の見通しが立っていません。
JNNの独自取材で判明した停留船の内訳は、深刻な状況を示しています。原油タンカーは12隻です。さらに、石油精製品・化学薬品タンカーは12隻、その他エネルギー関連船は8隻です。
その結果、エネルギー関連船は合計約32隻となり、全体の約70%を占めます。つまり、封鎖の影響は一部の物流ではなく、日本のエネルギー供給に直結する領域へ集中しています。
実際に、原油タンカー12隻だけで日本の消費量約10日分の原油を積載しているとされます。そのため、足止めが長引けば、エネルギー需給へ直接影響が及ぶおそれがあります。
さらに、封鎖が始まる直前の最後の大型原油タンカーは、4月3日午後に東京湾の受け入れ施設へ到着しました。しかし、次の原油輸送の見通しは、現時点では立っていません。
日本政府と国際社会が進める対応
金子国土交通大臣は4日までに、日本関係船舶2隻のホルムズ海峡通過を正式に確認しました。そして、「乗組員の健康状態に問題はなく、船体にも異常はない」と述べました。
日本政府は、引き続き情報収集を進めています。また、各国との連携も継続しています。こうした中、航行の安全確保とエネルギー供給への影響緩和が大きな課題になっています。
国際的にも動きが出ています。フランス海運大手CMA CGMのコンテナ船「CMA CGM Kribi」も、4月2日にホルムズ海峡を通過しました。これは、西欧関連船舶としては攻撃後初の通過とみられています。
さらに、40カ国以上の外相がオンライン会合でイランへの共同制裁検討を合意しました。そのため、封鎖解除に向けた外交圧力は強まりつつあります。一方で、実効性がどこまで及ぶかは、なお見極めが必要です。
選別的な通航制限の下で残る不確実性
現在、イランは「選別的な通航制限」を行っています。これは全面的な完全封鎖ではありません。しかし、実務上は極めて不安定な状態が続いています。
今後、残る日本関係船舶が安全に通過できるかどうかは、いくつかの要素に左右されます。まず、イランがどの船を通過させ、何を要求するかの基準が不透明です。
また、通航料や条件交渉の行方も重要です。さらに、40カ国以上による対イラン制裁協議がどこまで影響するかも焦点になります。加えて、原油タンカー12隻分の遅延が長引いた場合の代替調達も避けて通れません。
つまり、今回の通過は前進です。しかし、それだけで危機が後退したとは言えません。一方で、商船三井が2日連続で安全通過を果たしたことは、今後の他社・他船の通過に向けた先例として機能する可能性があります。
実際に、日本の海運業界とエネルギー業界は、この動きを固唾をのんで見守っています。今後の判断は、航行の安全だけでなく、日本国内の供給安定にも直結します。
日本のエネルギー安全保障に与える今後の影響
今回の「GREEN SANVI」の通過は、単なる1隻の航行成功ではありません。LPGという生活や産業に関わるエネルギーを載せた船が危険水域を離脱した点に意味があります。
また、前日に確認された「SOHAR LNG」と合わせると、LNGとLPGの両方で通過事例が出たことになります。そのため、日本関係船舶の運航可能性を見極めるうえで、重要な材料が積み上がったといえます。
しかし、ペルシャ湾内にはなお45隻が残っています。さらに、そのうち約32隻がエネルギー関連船です。こうした中、今後の情勢次第では、日本の資源調達、物流、価格形成にまで影響が広がる可能性があります。
一方で、今回の成功例が継続的な通航再開につながるかどうかは、まだ分かりません。そのため、政府、海運会社、エネルギー企業は、外交と実務の両面で慎重な対応を迫られます。
ソース
ニッポンドットコム
Yahoo!ニュース
毎日新聞
スポニチ
沖縄タイムス
ロイター
情報は2026年4月5日時点のものです。情勢は日々変化しており、最新の公式発表をご確認ください。

