米穀安定供給確保支援機構は2026年4月6日、向こう3カ月のコメ価格見通しを示す3月の指数が、前月比1ポイント増の27になったと発表しました。
この指数は、重要な節目である50を6カ月連続で下回りました。そのため、業界関係者の間では、コメの値下がりを見込む先安観が引き続き優勢です。
わずかな上昇は見られました。しかし、取引関係者が感じる供給過剰への懸念は根強く残っています。つまり、コメ価格見通し指数は少し持ち直したものの、市場心理はなお弱いままです。
コメ価格見通し指数の仕組みと見方
コメ価格見通し指数は、全国の生産者、卸売業者、小売業者を対象にした調査をもとに算出します。
指数は100に近いほど価格上昇の見通しが強いことを示します。一方で、50が中立の分かれ目です。
具体的には、50超なら値上がり見通しが優勢です。50なら横ばいです。さらに、50未満なら値下がり見通しが優勢になります。
「価格が安くなる」「やや安くなる」との回答が多いほど、指数は50を下回ります。そのため、この指数は市場参加者の強気と弱気を読み取る目安として使われています。
高値圏から一転した指数の流れ
コメ需給がひっ迫した2025年8月、指数は69という高い水準を記録しました。
しかし、その後は流れが大きく変わりました。2025年産米の豊作と在庫の積み上がりを背景に、指数は急速に低下しました。
その結果、2025年10月には39となり、初めて50を下回りました。こうした中、先高観から先安観への転換が鮮明になりました。
月ごとの推移で見るコメ価格見通し指数
2025年8月の指数は69でした。需給ひっ迫を映した高水準でした。
2025年10月の指数は39でした。ここで50割れが始まりました。
2025年11月は、2カ月連続の50割れとなりました。2025年12月は27で、4年ぶりの低水準でした。
2026年1月は26でした。これは2021年9月以来の低水準です。
2026年2月も26でした。つまり、横ばいで下げ止まりました。
そして2026年3月は27でした。前月比で1ポイント上昇しましたが、依然として低い水準にとどまっています。
2026年1月の低水準が意味したもの
2026年1月の指数26は、新型コロナウイルス禍でコメ需要が落ち込んだ2021年9月以来の低水準でした。
その後、2月は下げ止まりました。また、3月はわずかに1ポイント回復しました。
しかし、市場全体の見方はなお慎重です。実際に、50を大きく下回る状態が続いているため、需給緩和の見方は変わっていません。
先安観を強めた最大要因は2025年産米の豊作
先安観の背景には、まず2025年産米の豊作があります。
前年は猛暑の影響で不作でした。しかし、2025年産米は一転して収穫量が大幅に増えました。
そのため、農林水産省の試算では、2026年6月末時点の民間在庫量は221万〜234万トンとなる見通しです。これは、適正水準とされる180万〜200万トンを大きく上回ります。
2026年産米の増産懸念も重なっている
高米価は農家の生産意欲を刺激しました。そのため、2026年産米の作付け意向は拡大傾向にあります。
一方で、農林水産省は3月に、需要量の見通しを691万〜704万トンへ下方修正しました。つまり、需要の見通しは弱くなっています。
それでも2026年産米の増産が続いた場合、2027年6月末の民間在庫量は最大271万トンに達する見通しです。これは過去最高水準です。
業者間取引の停滞も需給緩和を映す
取引関係者は、「コメの在庫が積み上がっていて、業者間の売り渡しも滞っている」と指摘しています。
この発言は、流通の各段階で需給緩和への意識が広がっていることを示します。
つまり、コメ価格見通し指数の低迷は、単なる心理的な弱気だけではありません。実際に、流通現場でも在庫の重さが意識されています。
小売価格はなお高止まりしている
先安観が優勢でも、消費者が向き合う店頭価格は依然として高い水準です。
農林水産省によると、3月23日から29日の週における全国スーパーのコメ平均小売価格は、5kgあたり3,935円でした。前週比では43円安で、7週連続の下落となりました。
しかし、価格水準そのものはなお高いままです。そのため、先安観がすぐに家計の負担軽減へつながっているわけではありません。
4000円台が長く続いた店頭価格
コメの小売価格は、2025年9月上旬から半年以上にわたって4000円台が続きました。
2026年3月第2週まで、約27〜28週にわたり4000円台を維持しました。これは消費者にとって重い負担です。
一方で、最新の3,935円は下落基調を示しています。しかし、専門家が試算する適正価格の約3,250円とはまだ差があります。
卸売価格の下落と小売価格の時差
卸間取引価格は下落傾向にあります。しかし、小売価格への反映には時間差が生じています。
そのため、コメ価格見通し指数が示す先安観が、実際の店頭価格にどこまで、どのくらいの速さで反映されるかが今後の焦点になります。
さらに、前年同月比では初めて前年を下回る水準になりました。こうした中、消費者が体感する値下がりが本格化するかどうかが注目されています。
政府は食糧法改正で安定供給を目指す
政府は2026年4月3日、コメに「需要に応じた生産」と明記した食糧法改正案を閣議決定しました。
農林水産省は、「需要に応じた生産はイコール生産調整ではなく、需要を拡大しこれに応じた生産を推進するもの」と説明しています。
つまり、政府は単純な生産抑制ではなく、需要拡大を前提にしながら、生産者が市場実態に合った生産に取り組むよう促す考えです。
備蓄義務の導入で供給体制も見直す
改正案には、民間事業者に一定量のコメ備蓄保有を義務付ける制度も盛り込まれました。
そのため、政府は価格だけでなく、安定供給体制の整備にも踏み込むことになります。
一方で、制度をつくるだけで需給のゆがみがすぐに解消するわけではありません。実際に機能するかどうかは、今後の運用にかかっています。
長引く高値が「コメ離れ」を招く懸念
価格高騰の長期化は、消費行動にも影響を与え始めています。
北海道など各地では、「高値が続いた結果、消費者のコメ離れが進んでいる」との声が出ています。
これは一時的な節約行動にとどまらない可能性があります。つまり、需要の構造的な落ち込みが、今後の価格形成に影響するおそれがあります。
需要見通しの下方修正が示す変化
農林水産省が需要量の見通しを下方修正したことも、コメ離れの実態を反映しているとみられます。
価格が高い状態が長く続くと、消費者はパンや麺など別の主食へ移りやすくなります。そのため、価格が下がっても需要がすぐには戻らない可能性があります。
さらに、需要の弱さと在庫の増加が重なると、コメ価格見通し指数の低迷が長引くことにもつながります。
今後の焦点は店頭価格と生産行動の変化
コメ価格見通し指数が6カ月連続で50を下回る状況は、市場参加者の間で需給緩和の流れが既定路線になりつつあることを示しています。
今後の最大の焦点は、先安観が実際の店頭価格にどのくらいのスピードで反映されるかです。また、食糧法改正が生産者行動にどのような影響を与えるかも重要です。
コメ価格見通し指数の低迷は、単なる相場観の問題ではありません。供給、在庫、需要、制度改正が重なり合う中で、日本のコメ市場の構造変化を映しているともいえます。
今後のチェックポイント
今後は、農林水産省が公表する毎週のコメ小売価格に注目が集まります。7週連続下落がさらに続くのかが一つの焦点です。
また、2026年産米の作付け動向と、生産量の最終見通しも重要です。ここが増産方向に傾けば、先安観はさらに強まる可能性があります。
さらに、食糧法改正による需給調整の実効性や、2026年6月末の民間在庫量の実績値も、今後の相場を見通すうえで重要な材料になります。
ソース
米穀安定供給確保支援機構「米取引関係者の判断に関する調査結果」(2026年4月6日発表)
農林水産省 コメ価格週次データ
食糧法改正案 閣議決定(2026年4月3日)
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