相続手続きを一括化へ 大手金融10社が新会社設立へ|みらいたすく(仮称)とは

大手金融機関9社とNTTデータの計10社が2026年4月8日、金融業界横断の相続手続き一元化プラットフォーム「みらいたすく」(仮称)の構築に向けた基本合意書を締結したことが明らかになりました。

この動きは、相続手続きの負担を大きく減らす可能性があります。
一方で、銀行、信託、証券の垣根を越えて仕組みをそろえる点に大きな意味があります。

そのため、今回の取り組みは単なる新サービスではありません。
日本の相続手続きの進め方そのものを見直す動きとして注目されています。

なぜ相続手続きの見直しが必要なのか

日本では少子高齢化が急速に進んでいます。
その結果、年間数百万世帯で相続が発生しています。

しかし、金融機関における相続手続きは、長年にわたって利用者にとって非常に煩雑な事務手続きのひとつとされてきました。
実際に、亡くなった方が複数の金融機関に口座や有価証券を保有していた場合、相続人はそれぞれの機関ごとに個別対応を求められてきました。

戸籍謄本は、家族関係を公的に証明する書類です。
また、印鑑証明書は、実印が本人のものだと示す公的書類です。

さらに、遺産分割協議書は、相続人同士で遺産の分け方を決めた内容を記した書面です。
こうした書類を各金融機関に提出する必要がありました。

そのため、相続人は同じような説明や提出を何度も繰り返してきました。
つまり、手続きの負担は非常に重く、完了まで数カ月を要するケースも珍しくありませんでした。

「みらいたすく」(仮称)の基本構想

今回の取り組みの中心となるのが、「みらいたすく」(仮称)です。
これは、銀行、信託、証券などの金融機関の垣根を越えて、相続手続きをオンラインで一括対応できる業界共通プラットフォームです。

現在は、金融機関ごとに異なる書式や手続きが存在しています。
一方で、「みらいたすく」では、こうした違いを整理し、共通化・標準化を進める方針です。

共通化とは、複数の金融機関で同じ流れや形式を使えるようにすることです。
標準化とは、手続きの基準をそろえ、利用者にも現場にも分かりやすくすることを指します。

そのため、相続人は一度情報を入力し、一度書類を提出するだけで、提携するすべての金融機関での手続きが完了する仕組みが目指されています。
一度の入力と提出で複数の金融機関に対応できる点が、この構想の大きな特徴です。

業界横断で使える仕組みを目指す理由

「みらいたすく」(仮称)は、新会社に出資する金融機関だけが使う仕組みではありません。
また、出資に参加しない金融機関も利用できる想定とされています。

これは非常に重要です。
なぜなら、相続手続きの煩雑さは特定の企業だけの問題ではなく、業界全体に共通する課題だからです。

一方で、利用できる金融機関が広がれば、相続人にとっての利便性も一段と高まります。
つまり、「みらいたすく」は将来的に業界全体へ広がる可能性を持つ仕組みとして設計されています。

なお、プラットフォーム名の「みらいたすく」は仮称です。
そのため、今後名称が変更される可能性があります。

基本合意書を締結した参加企業

今回、基本合意書を締結したのは計10社です。
このうち8社が公表されており、残り2社は現時点で非公表です。

企業名区分代表者
SMBC日興証券株式会社証券吉岡 秀二
株式会社大和証券グループ本社持株会社(証券グループ)荻野 明彦
野村ホールディングス株式会社持株会社(証券グループ)奥田 健太郎
三井住友信託銀行株式会社信託銀行米山 学朋
株式会社三井住友フィナンシャルグループ持株会社(銀行グループ)中島 達
三菱UFJ信託銀行株式会社信託銀行窪田 博
三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社証券関 浩之
株式会社NTTデータITインフラ鈴木 正範

参加企業の顔ぶれが示す意味

今回の参加企業には、証券大手3社が含まれています。
また、信託銀行2社に加え、メガバンクグループの持株会社も入っています。

さらに、システム基盤を担うNTTデータが加わっています。
そのため、今回の構想は金融サービスとIT基盤の両面から支える体制だと言えます。

実際に、銀行、証券、信託の垣根を越えた大規模な連携になっています。
こうした中、業界横断で共通の相続手続きを整える枠組みが現実味を帯びてきました。

新会社設立から全国展開までのスケジュール

今後の予定は、次の通りです。

  • 2026年秋頃:新会社設立
  • 2027年夏頃:「みらいたすく」(仮称)を一部地域で試験導入
  • 2028年秋頃:「みらいたすく」(仮称)を全国で提供開始

このスケジュールを見ると、段階的に展開する方針が明確です。
まず新会社を立ち上げ、その後に試験導入を行い、最終的に全国展開へ進みます。

一方で、全国提供までには時間をかけています。
これは、相続手続きという重要な業務を扱うため、慎重な制度設計や運用確認が必要になるためです。

しかし、全体としては非常に積極的な計画です。
新会社設立から約1年後に試験運用を始め、2028年秋には全国展開を目指す流れになっています。

相続人にとってどんな利点があるのか

相続人、つまり実際に手続きを進める利用者側には大きな利点があります。
その中心にあるのは、手続きの重複を減らせることです。

まず、戸籍謄本や印鑑証明書などの書類提出が1回で完結する方向が示されています。
これにより、同じ書類を複数の金融機関へ何度も提出する負担が軽くなります。

また、複数金融機関への個別連絡や訪問が不要になることで、時間と手間の大幅削減が期待できます。
これは、平日に窓口へ行く負担が大きい人にとって重要です。

さらに、オンラインで情報連携が可能になれば、手続き全体の流れも把握しやすくなります。
つまり、相続人は状況を整理しながら進めやすくなります。

実際に、故人の財産の全体像を一元的に把握しやすくなる点も見逃せません。
ばらばらだった情報がまとまれば、相続全体の確認も進めやすくなります。

金融機関側にも大きい効率化効果

今回の構想は、利用者だけでなく金融機関側にも利点があります。
一方で、その利点は単なる便利さにとどまりません。

少子化に伴う労働力不足の中で、金融機関は事務処理の効率化を急ぐ必要があります。
相続手続きは書類確認が多く、現場の負担も重い業務です。

そのため、手続きの標準化が進めば、業務フローを整理しやすくなります。
また、確認手順がそろうことで、ミスやトラブルの低減も期待できます。

さらに、各社が個別にシステムを維持し続ける負担も見直せます。
つまり、共通基盤を活用することで、個別システム維持コストの削減につながる可能性があります。

地方でも進んでいた効率化が全国規模へ

今回の発表は突然生まれたものではありません。
実際には、地方金融機関を中心に、相続手続きの書類共通化やデジタル化の取り組みが各地で進んでいました。

こうした中、「みらいたすく」(仮称)は、その流れを全国規模・業界横断へ押し上げる存在として期待されています。
つまり、これまで地域ごと、機関ごとに進んでいた改善を、より大きな枠組みに広げる動きです。

一方で、地域ごとの工夫を全国でどう生かすかも今後の焦点です。
しかし、複数の大手金融機関が最初から足並みをそろえたことは、普及の後押しになる可能性があります。

高齢化社会の中で相続手続きはどう変わるのか

高齢化社会では、相続件数の増加が今後も続くと見込まれます。
そのため、相続手続きをどう効率化するかは、個人だけでなく社会全体の課題です。

今回の取り組みでは、金融機関が業界の壁を越えて連携します。
この点が、従来の部分的な改善と大きく異なります。

つまり、相続人が金融機関ごとに別々の対応を迫られる時代から、共通基盤の上でまとめて進める時代へ移る可能性があります。
日本の相続手続きの在り方を大きく変える可能性があると言えるでしょう。

さらに、2026年秋に新会社が設立されれば、具体的な制度設計や運用の中身が見えてきます。
その後は、参加金融機関の拡大やサービス内容の詳細発表にも注目が集まります。

今後の焦点と注目点

今後の最大の焦点は、どこまで多くの金融機関が参加するかです。
利用できる機関が増えるほど、相続人の利便性は高まります。

また、オンラインで一括対応するとしても、実際の操作性や本人確認の方法が重要です。
さらに、相続という性質上、正確性と安全性の両立が欠かせません。

一方で、名称が仮称であることからも分かるように、サービスの細部はこれから固まっていきます。
そのため、2026年秋の新会社設立後に示される具体策が次の注目点になります。

ソース

NTTデータ株式会社 2026年4月8日発表の公式プレスリリース

注記として、プラットフォーム名「みらいたすく」は仮称です。
また、参加10社のうち2社は現時点で非公表です。

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