米国・EU・日本が重要鉱物協定を準備 価格下限制度で中国のレアアース支配に対抗

米国、欧州連合(EU)、日本が、中国のサプライチェーン支配に対抗するための重要鉱物協定を準備しています。
この枠組みには、価格下限制度や関税調整などの新たな貿易ルールが含まれる見通しです。

Bloomberg Lawの報道によると、三者は数週間以内に初期計画を発表する準備を進めています。
つまり、この構想は世界の資源安全保障を大きく変える可能性を持つ政策です。

さらに交渉は2026年4月に開始される予定です。
今後はG7など国際会議でも重要な議題になるとみられています。

中国支配の重要鉱物市場

重要鉱物とは、半導体やEV、軍事装備などに不可欠な資源です。
代表例がレアアース(希土類)です。

中国は世界のレアアース採掘の約70%を占めています。
さらに精製工程では約90%を支配しています。

そのためスマートフォンや電気自動車、戦闘機などの製造において、
中国は極めて大きな影響力を持っています。

しかし中国政府は2025年、
米国の関税措置への報復としてレアアース輸出規制を導入しました。

その結果、世界の製造業は供給混乱への対応を迫られています。
こうした状況が、西側諸国による新しい資源協定の背景です。

価格下限を導入する新しい貿易圏構想

今回検討されている枠組みの特徴は、
重要鉱物の価格下限制度(フロア価格)です。

この構想は2026年2月、ワシントンで開催された
重要鉱物閣僚会議で最初に提示されました。

この会議には55カ国の代表が参加しました。
議題は中国依存を減らすための資源戦略です。

この場で、米国のJD・ヴァンス副大統領が新構想を発表しました。

ヴァンス副大統領は次のように説明しています。

「重要鉱物の優先貿易圏を構築する。
その中で価格下限を設定し、外部の混乱から市場を守る。」

また次の仕組みも示されました。

「参照価格は、調整可能な関税によって維持される下限として機能する。」

つまり価格が一定水準を下回る場合、
関税を調整して市場価格を維持する仕組みです。

協定交渉を主導する米通商代表部

この新協定の交渉を主導するのは
米通商代表部(USTR)です。

USTRはすでにEUと日本との枠組み協議を進めています。
さらに今後は拘束力のある協定交渉を開始する予定です。

交渉開始は2026年4月と見込まれています。
これは3月19日に終了するパブリックコメント期間の直後です。

また初期計画の発表は、
高市早苗首相のワシントン訪問と時期が重なる可能性があります。

USTRのジェイミソン・グリア大使は2月、次のように述べています。

「EUと日本とのパートナーシップは、
市場志向型経済圏が重要鉱物の新しい貿易枠組みを作ることを示す。」

協定に含まれる可能性のある政策

今回検討されている協定は、
単なる関税協定ではありません。

複数の政策を組み合わせる構想です。

主な内容として次の分野が議論されています。

・協調関税
・戦略備蓄
・研究開発協力
・共通規制基準
・投資審査
・サプライチェーン監視

つまり資源政策、産業政策、安全保障政策を
一体化した国際枠組みになる可能性があります。

またメキシコはすでに、
国境調整価格メカニズムに関する予備協議を米国と開始しています。

この仕組みは、輸入品の価格を調整する制度です。
将来的に多国間枠組みに発展する可能性があります。

価格下限制度のメリット

アナリストは、この制度の利点として
資源投資の安定化を挙げています。

鉱山開発は巨額投資が必要です。
しかし価格が不安定だと企業は投資をためらいます。

そのため価格下限が設定されれば、
採掘企業は長期投資を行いやすくなると期待されています。

これは特に次の地域で重要です。

・オーストラリア
・カナダ
・米国
・アフリカ
・南米

つまり西側諸国の資源供給能力を
拡大する狙いがあります。

予想されるリスクと課題

一方で、この制度にはリスクもあります。

最大の懸念は製造業のコスト上昇です。
価格下限が設定されると、資源価格が上昇する可能性があります。

また中国政府の報復措置も懸念されています。
中国はすでに輸出規制を政策手段として使用しています。

もし対抗措置が取られれば、
サプライチェーンの混乱がさらに拡大する可能性があります。

しかし西側諸国は現在、
資源安全保障を国家戦略の中核に位置づけています。

そのためこの取り組みは、
今年のG7サミットでも重要議題になる見通しです。

ソース

Bloomberg Law
USTR(米通商代表部)発表
Reuters
CNBC
Fox Baltimore
Covington & Burling分析レポート

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