2026年4月5日、日本財団が公表した第78回「18歳意識調査」が、大きな注目を集めています。
今回の調査では、17〜19歳の日本の若者のうち、「移民の増加」を自国の重要課題に挙げた割合が19.2%に達しました。
これは、2024年2月実施の第62回調査の6.7%から約3倍に急増した数字です。
この変化は、単なる一時的な揺れとして片づけにくい動きです。
日本の若者の移民問題への意識が、わずか2年間で大きく変化したことを示しているためです。
そのため、この調査結果は、日本社会の空気の変化を映すものとして受け止める必要があります。
6カ国比較で実施された今回の調査
今回の調査は、2026年2月にインターネットを通じて実施されました。
対象となったのは、日本、アメリカ、イギリス、中国、韓国、インドの6カ国です。
各国それぞれ17〜19歳の1,000人ずつ、計6,000人が回答しました。
テーマは、「国や社会に対する意識」です。
自国の将来をどう見ているのか、また現状をどう認識しているのかを幅広く聞いています。
さらに、自国の重要課題についても尋ねています。
「移民の増加」が4位に急浮上
今回の調査で、最も大きな注目を集めたのが、「移民の増加」への関心の急上昇です。
自国の重要な課題について、3つまで選ぶ形式で聞いた結果、日本では次のような順位となりました。
つまり、若者が何を優先課題と見ているかが、数字ではっきり示された形です。
| 順位 | 課題 | 回答割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 少子化 | 41.5% |
| 2位 | 高齢化 | 37.1% |
| 3位 | 経済成長 | 27.9% |
| 4位 | 移民の増加 | 19.2% |
前回、2024年2月の調査では、「移民の増加」は12位で6.7%にとどまっていました。
しかし今回は、4位で19.2%となりました。
約3倍近い急増であり、この上昇幅は非常に大きいです。
少子化と高齢化は、今回も上位を占めました。
一方で、その次の層に移民問題が急速に入り込んできた点は見逃せません。
実際に、この結果は日本社会の変化を象徴するものとして受け止められています。
少子化や高齢化と並ぶ新たな関心領域
少子化は、子どもの数が減る問題です。
高齢化は、高齢者の割合が高まる社会の変化を指します。
こうした中で、移民の増加が4位に入ったことは、若者の視線が新しい領域へ広がっていることを示します。
経済成長への関心が27.9%だったことを考えると、移民の増加の19.2%は決して小さい数字ではありません。
むしろ、社会保障や人口構造に関わる課題と並んで認識され始めていることが分かります。
そのため、この数値は日本の若者意識の地殻変動として読むことができます。
国際比較で見えた日本の位置
今回の調査では、6カ国で同じテーマを比較しています。
その中で、「移民の増加」を課題に選んだ割合は、日本が19.2%でした。
公式プレスリリースでは、イギリスの21.1%に次ぐ水準であることが示されています。
欧米では、移民問題は長年にわたり政治課題の一つです。
しかし、日本がイギリスに迫る水準まで関心を高めたことは、非常に目を引きます。
つまり、日本でも若者の間でこのテーマが現実の課題として強く意識され始めたことになります。
一方で、韓国、中国、インドでは関心が相対的に低いとされています。
そのため、日本の上昇幅の大きさが際立ちます。
さらに、短期間でここまで順位が変わった点も、今回の特徴です。
なお、各国の「移民の増加」に関する具体的な割合については、公式報告書PDFの全文確認が推奨されます。
この点は、数字の比較をより正確に把握するうえで重要です。
事実関係を丁寧に追うなら、元資料の確認が欠かせません。
なぜ関心が急増したのか
日本財団は、この増加の要因について「不明」としています。
つまり、公式には原因を特定していません。
そのため、ここから先は社会的文脈に基づく見方として整理する必要があります。
指摘されている背景の一つが、2025年参院選での外国人政策論争です。
2025年夏の参議院選挙では、外国人政策が主要な争点の一つになりました。
また、その議論が若者の間の関心上昇につながった可能性があるとみられています。
さらに、外国人との共生に関する社会的議論の活発化も挙げられています。
共生とは、異なる立場や文化を持つ人が同じ社会で暮らしていく考え方です。
在日外国人数の増加や、多文化共生をめぐる議論が、メディアでも広く取り上げられるようになりました。
制度議論の動きも関心形成に影響か
もう一つの背景として、外国人政策をめぐる法整備の動きが指摘されています。
在留資格や、外国人の受け入れ制度をどうするかという議論が、近年相次いでいます。
こうした制度面の議論は、社会の将来像と直結するため、若者の意識にも影響しやすいです。
ただし、これらはあくまで社会的文脈からの推察です。
日本財団が公式に要因として特定したものではありません。
そのため、公式見解と推察は分けて読む必要があります。
将来への見通しでも日本は最下位
今回の調査では、移民問題だけが注目点ではありません。
日本の若者が自国の将来に最も悲観的だったことも、改めて浮き彫りになりました。
これは、国際比較の中で特に重い意味を持つ結果です。
「自国の将来が良くなる」と答えた割合を、6カ国で比較すると次の通りです。
実際に、日本は15.6%で最下位でした。
一方で、インドと中国は過半数を超えています。
| 国 | 割合 |
|---|---|
| 🇮🇳 インド | 61.8% |
| 🇨🇳 中国 | 54.8% |
| 🇬🇧 イギリス | 34.0% |
| 🇺🇸 アメリカ | 30.8% |
| 🇰🇷 韓国 | 23.5% |
| 🇯🇵 日本 | 15.6%(最下位) |
日本の15.6%は、前回調査の15.3%からわずかに上がりました。
しかし、順位は依然として6カ国中最下位です。
そのため、改善傾向があるとしても、慎重に見る必要があります。
2019年との比較で見える緩やかな変化
2019年に実施した第20回調査では、日本は9.6%でした。
当時は9カ国比較でしたが、それと比べれば今回は緩やかな改善傾向も見られます。
しかし、インドや中国との差は依然として大きいままです。
この差は、単に景気観だけでは説明しきれません。
自国の制度、社会、将来像に対する期待の差もにじんでいます。
つまり、日本の若者の悲観は、構造的な問題意識と結びついている可能性があります。
若者が映す日本社会の変化
「移民の増加」への関心が2年間で約3倍に急増したという結果は、単なる数値の変化ではありません。
少子高齢化が進み、労働力不足を補うために外国人労働者の受け入れ拡大が進む中で、若者がこの問題を身近な社会課題として見始めている可能性があります。
そのため、この調査は日本社会の方向を考えるうえで重要です。
若者たちは、移民や外国人政策を、遠い政治テーマとして見ていないのかもしれません。
むしろ、「自分たちの社会の問題」として捉え始めている様子がうかがえます。
さらに、将来への悲観とこの関心の高まりが同時に出ている点も重いです。
これから何を読み取るべきか
今回の結果は、若者の不安だけを示したものではありません。
一方で、社会の変化を敏感に捉えていることの表れとも考えられます。
つまり、日本社会の構造変化が、若者の意識に可視化されたとも言えます。
少子化、高齢化、経済成長、そして移民の増加。
これらは別々の問題に見えて、実際には深くつながっています。
そのため、今後の政策議論では、若者が何を課題とみているのかを丁寧に追う必要があります。
今後も、日本財団の「18歳意識調査」の動向から目が離せません。
若者意識の変化は、社会の先回りをすることがあります。
静かな数字ですが、なかなか大きな意味を持つ調査です。
ソース
日本財団 第78回18歳意識調査
日本財団 2026年2月実施・2026年4月5日公表の調査データ
Yahoo!ニュース掲載記事
中日新聞掲載記事
沖縄タイムス掲載記事

