日米両政府が、南鳥島(東京都小笠原村)沖の海底に眠るレアアース(希土類)資源の開発に向け、共同出資による事業を検討していることが明らかになりました。
レアアースは電気自動車や半導体、風力発電などに不可欠な重要資源です。現在は中国が世界市場を大きく支配しています。そのため、日本と米国は供給網(サプライチェーン)の中国依存を減らす戦略を進めています。
こうした中、南鳥島沖の海底資源を共同開発する構想が浮上しました。今後は日米首脳会談の議題となる可能性があり、資源安全保障の観点から大きな注目を集めています。
日米首脳会談で議題となる可能性
複数の日米関係筋によると、日米両政府は南鳥島沖のレアアース開発で共同出資する枠組みを検討しています。
この構想では、
・日米双方が資金を拠出
・採掘や加工は日本側が中心に実施
という役割分担が想定されています。
日本は海洋資源開発の技術面で優位性を持っています。一方で、巨額の投資が必要なため、米国に資金協力を求める形になる可能性があります。
また、この問題は3月19日にワシントンで予定される高市早苗首相とトランプ大統領の首脳会談で議論される可能性があるとされています。
南鳥島沖で世界初の深海試掘に成功
この構想の背景には、南鳥島沖での試掘成功があります。
2026年2月2日、海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、
地球深部探査船「ちきゅう」が水深約5600メートルの深海底から
レアアースを含む泥の採取に成功したと発表しました。
この作業は数日間にわたり連続して引き上げる方式で行われました。深海底からの連続採取は世界初の試みです。
今後は採取した泥を用いて精製試験を行い、2028年3月までに経済性を評価する計画です。
埋蔵量は1600万トン規模
南鳥島周辺の海底には、少なくとも1600万トンのレアアースが埋蔵していると推定されています。
これは現在の世界需要を基準にすると、数百年分に相当する規模とされています。
また、今後の開発スケジュールは次のように想定されています。
・2027年
1日約350トンの泥を採取する採掘試験
・2030年以降
商業採掘の本格化
つまり、このプロジェクトが成功すれば、日本が世界有数のレアアース供給国になる可能性があります。
中国依存からの脱却が最大の目的
今回の構想の最大の狙いは、中国依存の脱却です。
レアアースはハイテク産業に不可欠な資源です。しかし現在、
・採掘
・精製
・加工
の多くを中国が支配しています。
特に加工分野では、世界シェアの約9割を中国が握っているとされています。
中国の輸出規制が背景に
中国は近年、レアアース輸出を外交カードとして活用しています。
2025年4月
レアアース7品目の輸出規制を導入
2025年10月
さらに5品目を追加
と規制を強化しました。
その後、トランプ大統領と習近平国家主席の会談を受け、規制は1年間停止されています。
しかし、構造的な中国依存は依然として続いています。
そのため日米両国は、供給網の多角化を急ぐ必要があると判断しています。
2025年に日米で重要鉱物の協力枠組み
日米両国はすでに、重要鉱物の確保で協力を進めています。
2025年10月のトランプ大統領訪日時には、重要鉱物・レアアース供給確保の枠組み合意が締結されました。
この合意では、
・政府と民間による採掘投資の促進
・共同プロジェクトの選定
・戦略備蓄の協力
などが盛り込まれています。
南鳥島沖のレアアース開発は、この合意を具体化する大型プロジェクトとして位置付けられています。
資源安全保障の転換点になる可能性
レアアースは、
・電気自動車
・半導体
・スマートフォン
・風力発電
・防衛装備
などに不可欠です。
つまり、現代の産業と安全保障を支える基盤資源です。
もし南鳥島沖の資源開発が成功すれば、
・日米の資源安全保障が大きく改善
・中国依存の構造が変化
・ハイテク産業の供給網が再編
といった影響が予想されます。
一方で、水深5600メートルという超深海での採掘は技術的にも経済的にも難易度が高い分野です。
そのため、商業化にはまだ多くの課題が残っています。
ソース
東京新聞
毎日新聞
海洋研究開発機構(JAMSTEC)
日米政府関係者情報
ホワイトハウス発表
Japan Forward 報道

