原油価格が1バレル100ドルを突破しました。
これは2022年以来、約4年ぶりの水準です。
背景には、米国とイスラエルによるイランへの軍事作戦の激化があります。
また、世界の石油・天然ガス輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上封鎖されています。
そのため、世界のエネルギー市場は急激な供給ショックに直面しています。
さらに、国際社会の緊急対策にもかかわらず、価格高騰は収まっていません。
今後は、米国の大規模攻撃計画や海上封鎖の長期化が、世界経済と金融市場に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
中東戦争が引き起こした歴史的供給ショック
今回の原油価格高騰の最大の要因は、ホルムズ海峡の封鎖です。
ホルムズ海峡は、世界の石油・天然ガス輸送の約20%が通過する重要航路です。
しかし現在、この海峡の通航は事実上停止しています。
つまり、世界のエネルギー供給の大動脈が麻痺している状況です。
実際に、ブレント原油価格は100ドルを突破しました。
また、週間では約8%の上昇を記録しています。
さらに、この価格は2月中旬の紛争前と比べ約60%の急騰です。
短期間での急騰としては、非常に異例の水準です。
こうした中、イランのモジュタバ・ハメネイ新最高指導者は、海峡封鎖の継続を宣言しました。
さらに、米国とイスラエルの攻撃が続けば新たな戦線を開く可能性も警告しています。
RBCキャピタル・マーケッツの戦略責任者ヘリマ・クロフト氏は次のように述べました。
「我々は1970年代の石油禁輸以来、最も深刻なエネルギー危機に直面している可能性がある」
つまり、今回の危機は歴史的規模に発展する可能性があります。
ホルムズ海峡でタンカー攻撃が相次ぐ
イランが海峡封鎖を宣言した後、海上交通は急速に減少しました。
通常は世界有数の海運量を誇る航路ですが、現在は通航が大幅に減っています。
その理由は、船舶への攻撃が続いているためです。
今週初めには、イラク沖で2隻のタンカーが攻撃を受け炎上しました。
また、商業船舶に対する攻撃も続いています。
さらに、米国当局者によると、イランは海峡に機雷を敷設し始めています。
機雷とは、海中に設置され船舶を爆破する兵器です。
そのため、航路再開はさらに困難になる可能性があります。
米国が過去最大規模の攻撃を計画
こうした緊張の中、米国は軍事作戦の拡大を決定しました。
ピート・ヘグセス米国防長官は、
米国がイランの標的に対し過去最大規模の攻撃を実施すると発表しました。
つまり、紛争はさらに激化する可能性があります。
この軍事行動により、商業海上交通はさらに停止する恐れがあります。
また、湾岸地域の産油国は生産削減を余儀なくされていると報じられています。
その結果、エネルギー供給の混乱は拡大しています。
国際社会は史上最大の石油備蓄を放出
この危機に対し、各国は緊急対策を発表しました。
国際エネルギー機関(IEA)は、
加盟国の備蓄から4億バレルの石油を放出すると発表しました。
これは、2022年のウクライナ戦争時に放出された
1億8,200万バレルの2倍以上です。
つまり、史上最大規模の備蓄放出となります。
さらに、米国は戦略石油備蓄(SPR)から1億7,200万バレルを追加放出します。
また、日本・ドイツ・オーストリアも備蓄放出を表明しました。
しかし、これらの対策は市場を十分に安定させていません。
ウォール街のアナリストAdam Crisafulli氏は次のように分析しました。
「ホルムズ海峡が封鎖され、タンカーが攻撃される限り、イランの戦略は成功している」
つまり、輸送路が止まる限り、供給は回復しないという見方です。
ロシア産石油制裁を一時緩和
もう一つの重要な政策が、ロシア産石油制裁の一時停止です。
スコット・ベッセント米財務長官は、
既にタンカーに積み込まれているロシア産石油の制裁を
30日間停止すると発表しました。
この措置は、エネルギー市場の安定を目的とした
「限定的かつ短期的措置」と説明されています。
しかし、この決定は大きな議論を呼んでいます。
ロシア政府はこの決定を歓迎しました。
クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は次のように述べています。
「大量のロシア産石油なしに世界のエネルギー安定は不可能だ」
一方、ウクライナは強く反発しました。
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、この措置により
ロシアが約100億ドルの戦争資金を得る可能性があると警告しています。
さらに、米上院の民主党議員らは、
トランプ大統領がプーチン大統領に財政的優位を与えたと批判しました。
エネルギー危機が金融市場にも波及
エネルギー市場の混乱は、金融市場にも影響しています。
米国株式市場では、S&P500が2026年の最低終値を記録しました。
また、株価は3週連続で下落しています。
つまり、エネルギー危機は世界経済全体に波及しています。
一方、クリス・ライト米エネルギー長官はCNNの取材に対し、
原油価格が1バレル200ドルに達する可能性は低いと述べました。
しかし同時に、政権の焦点は
軍事作戦にあることを認めています。
つまり、短期的にエネルギー市場が落ち着く見通しは
依然として不透明な状況です。
今後の焦点はホルムズ海峡の封鎖
今回のエネルギー危機の鍵は、
ホルムズ海峡の封鎖がいつ解除されるかです。
もし封鎖が長期化すれば、
原油価格はさらに上昇する可能性があります。
また、米国とイランの衝突が拡大すれば、
1970年代以来の世界的エネルギー危機へ発展する可能性もあります。
そのため、今後の軍事動向と外交交渉が
世界経済の行方を左右する重要な要因となります。
ソース
CBS News
Fortune
Al Jazeera
Reuters
Wall Street Journal
NBC News
U.S. News
New York Times

