ハマスがイランに湾岸諸国攻撃の停止を要請 戦争15日目で地域外交に変化

ハマスは土曜日、イランに対して湾岸の近隣諸国への攻撃を控えるよう求める声明を発表しました。これは、2月28日に戦争が始まって以来、ハマスがイランによる地域全体への報復攻撃キャンペーンから公に距離を置いた初めての事例となります。

声明の中でハマスは、イランの行動を完全に否定する姿勢は示しませんでした。しかし同時に、湾岸地域への攻撃は避けるべきだと明確に求めました。

この動きは、イランとの関係とアラブ諸国との関係の間で揺れるハマスの立場を強く示すものとみられています。

声明の内容とハマスの立場

ハマスは声明の中で次のように述べました。

「国際規範および法律に従い、利用可能なあらゆる手段でこの侵略に対応するイラン・イスラム共和国の権利を確認する」

つまり、ハマスはイランの反撃そのものを否定したわけではありません。

しかしその一方で、次のように続けています。

「われわれはイランの同胞に対し、近隣諸国を標的にすることを避けるよう求める」

この表現は、イランを全面的に批判することなく、湾岸諸国への攻撃だけを抑えるよう求める形になっています。

さらにハマスは、国際社会に対しても戦争を直ちに停止させるよう求めました。また、今回の軍事作戦を「米国・シオニストによるイランへの侵略」と表現し、米国とイスラエルへの批判も改めて示しました。

これまでの沈黙からの方針転換

今回の声明は、ハマスのこれまでの態度と比べると大きな変化です。

2月28日、米国とイスラエルによるイラン攻撃が始まった際、ハマスはこの作戦を強く非難しました。しかし、その後に続いたイランによる湾岸諸国へのミサイルやドローン攻撃については、ハマスは批判を控えてきました。

その沈黙が続く中で、今回初めて湾岸諸国への攻撃回避を求める声明が出されたことになります。

この変化は、ハマスが地域政治の圧力を強く受けている可能性を示しています。

カタールとの関係を巡る圧力

この声明の背景には、カタールとの関係があると指摘されています。

カタールは2012年以降、ハマスの政治事務所や指導部を受け入れてきた国です。ドーハは長年、パレスチナ問題の仲介役としても重要な役割を担ってきました。

しかし、イランによる湾岸攻撃をめぐり、状況は大きく変化しました。

カタール政府は、イランの攻撃を「同国の主権に対する明白な侵害」と強く非難しました。さらに、イランが米国資産のみを標的としたという主張についても、「断固として拒否する」と表明しています。

報道によると、カタールはハマスに対して湾岸諸国への攻撃を非難するよう求めたとされています。しかしハマスがこれを拒否した後、カタールは同組織の指導者の追放を検討している可能性があると伝えられました。

専門家の見方

この問題について専門家の見解は分かれています。

外交問題評議会の上級研究員スティーブン・クック氏は、ハマスの受け入れがカタールにとって重要な外交資産だと指摘しました。

同氏は、「ハマスの受け入れはカタールの地域的影響力と国際的影響力の手段となっている」と述べています。

一方で、別の専門家は状況が根本的に変わった可能性を指摘しています。

元英国外交官で民主主義防衛財団の研究員エドモンド・フィットン=ブラウン氏は、今回の事態について次のように述べました。

「イランの軍事侵略に直面した際の裏切りの度合いは、これまでの問題とは全く異なるレベルにある」

この発言は、湾岸諸国が今回の攻撃を極めて深刻に受け止めていることを示しています。

戦争は15日目に突入

戦争は現在15日目を迎えています。

この間、イランはカタール、サウジアラビア、UAE、バーレーンなど湾岸諸国に対し、数百発の弾道ミサイルやドローンを発射しました。

サウジアラビアでは最大の石油精製施設が炎上しました。さらに地域の複数の空港が攻撃の対象となりました。

カタールでは、重要なエネルギー拠点であるラス・ラファンのガス施設も攻撃を受けたとされています。

イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は3月7日、近隣諸国に対して謝罪しました。しかし、その後も攻撃は続いています。

湾岸諸国の強い反発

イランは、湾岸諸国に米軍基地が存在するため、これらの国々は正当な標的だと主張しています。

しかし湾岸諸国はこの主張を強く拒否しました。

湾岸協力会議(GCC)は、今回の攻撃を「凶悪な行為」であり、主権に対する重大な侵害だとして一斉に非難しています。

湾岸諸国は、今回の攻撃を地域全体の安全保障を揺るがす行動だと位置付けています。

ハマスが直面する外交的ジレンマ

今回の声明は、ハマスが直面している外交的ジレンマを浮き彫りにしています。

ハマスは長年、イランから軍事支援や政治支援を受けてきました。イランは同組織にとって重要な後援国です。

しかし同時に、ハマスはアラブ諸国からの財政支援や外交支援にも依存しています。

そのため、イランの行動を全面的に支持すれば湾岸諸国との関係が悪化します。一方で、イランを批判すれば後援関係が揺らぐ可能性があります。

今回の声明は、こうした状況の中で両者の関係を維持しようとするバランス外交の一例とみられています。

今後の焦点

もしカタールがハマス指導者の追放に踏み切った場合、専門家はトルコが最も有力な移転先になる可能性を指摘しています。

しかし、カタールが実際にそこまで踏み込むかどうかについては、専門家の間でも意見が分かれています。

ハマスの受け入れはカタールにとって外交カードでもあるためです。

今回の声明は、ハマスが湾岸諸国との関係維持を意識していることを示しています。

ただし、イランとの関係も依然として強いため、今後もハマスは極めて難しい外交バランスを迫られる状況が続くとみられています。

ソース

AFP通信
Jewish Insider
Al Jazeera
CNBC
Los Angeles Times
International Action Center

タイトルとURLをコピーしました